フォトグラファーが風上に立てる環境をつくりたい
PHOTONEXT2024 講演レポート_3
「選ばれ続けるフォトグラファーになるためにいまやるべきこと」
アンズフォト代表の安澤剛直が、2024年6月11日・12日にパシフィコ横浜で開催された「PHOTONEXT2024」で講演を行いました。
PHOTONEXTとは、写真ビジネスに関連する機材・サービス等の展示&セミナーの総合イベントです。2004年に「スタジオ写真フェア」として産声を上げ、規模拡大をしながら2010年にPHOTONEXTとして装いも新たに再発進した、伝統ある業界催事です。
主催者企画枠でお声がけいただきました今回のセミナー、3回目のレポートになります。ぜひ最後までお楽しみください!!
※1回目はこちら:
https://note.com/anzphoto/n/n8351ae91287c
※2回目はこちら:
https://note.com/anzphoto/n/nf39a197eb1eb
「守・破・離」が繰り返されて高次元へ
25歳くらいでウェディングを始めて、30代前半、そこそこの自信もついていましたが、何かを変えたいけど何をすれば良いのか分からず悩んでいました。そのとき、思い切って撮影スタイルを変えてみようと思い、ストロボを使わない撮影をしてみました。やっていると、ふだんいかにストロボに頼って撮影をしていたんだなと感じました。最初はノンストロボで撮ることに怖さを覚えましたが、逆に露出をシビアに見るようになりました。その場の状況や環境の光などを瞬時に判断しなければならず、カメラの操作も含めてすごく意識して撮影していました。それが私にとって撮影スタイルの大きな転換期でした。
40代になり、多くの皆さんの前でお話しする機会をいただいたりする中で、プロフォトさんから当時新製品だったストロボの「B1」をウェディングロケで使ってみてくださいと依頼をされました。私は、自分の経験や知識を活かして、これまでに見たことないような撮影をしようと思いました。しかし、アンケート等で私の発信する内容が難しくてうまく伝わっていないということがありました。「何が難しいのか」「どこが分からないのか」を考察したとき、次の考えにたどり着きました。
ゼロベースで毎回ライティングを考える広告とウェディング撮影は、アプローチが異なる。すなわち光をつくり込むことをあまりしないウェディング撮影では、ライティングを考える以前の「光を見ること」を意識できていないのではないかと気づいたのです。
その流れで「誰も教えてくれないライティングの基礎」を発信することがありましたし、専門学校で教えるときもそこからスタートしています。当社スタッフにも同様です。以前出版した本にも書きましたが、ポートレートを撮る際、基準をしっかり作らないとライティングは迷子になりやすいんです。そのためにメインライトからどのように構築するのか考えることを大切にしましょうということで、セミナーやフォトグラファー養成講座をやってきました。
そしていま私は48歳で、これから50代へ向かっていく中で、30代のときのような熱さでもう一度新たな挑戦をしていきたいと思っています。「守」に立ち戻り、フォトグラファーの育成に力を入れたり、海外への架け橋のような活動をしたいと考えています。40代のいま、まだまだ頑張り切れていない自分を感じることもあり、自分でケツを叩いています。
これからの業界を担う人々を育成したい
将来(60代)へ向けて、私は仲間たちとクリエイティブ集団をつくっていきたいと考えています。仲間と、撮影技術の研鑽や向上はもちろん、楽しく仕事をして学び続けられる環境を作りたいのです。
やはりフォトグラファーが風上に立てる環境が必要だと。そこでプラスαができるのがディレクションです。このごろは、「写真ありきでデザインするので、何でも対応できるようにパターンを撮ってほしい」という相談が増えているのですが、それはある意味で無駄な撮影が増えることでもあります。デザイナーが理詰めで「こういう写真を撮ってください」と言ってくれたら、必要な撮影に注力することができますし、そのようなデザイナーならばいる意味がないのではないかという考えの下、フォトグラファーがディレクションをできる世界にしたいですし、アンズフォトではすでにそうしたカタチで動いています。現在当社では、元リクルートのマーケターにも入ってもらい、また話題のチャットGPTを用いたりして、さまざまな提案ができるように環境を整えています。今後はそうした部分を含めた、フォトグラファーのためのスクールも展開する予定です。
どんな人でも、順風満帆に来ている人はそういないと思います。私がそうであったように、浮いたり沈んだりしていると思います。すごく混沌とした時代、皆さんも迷うことがあるのではないでしょうか。その中で、自分自身が一番自分の可能性を信じてあげないとダメだと思うんです。可能性は皆さん平等に持っていますので、やるか否か、決めるか否かだけです。この先、時代がどうなっているのか、自分が5年後10年後にどんな生活をしていて、どんな写真を撮りたいのか、明確に考えていてほしいです。皆さんがますます活躍できるよう祈っていますし、自分も負けないように頑張りたいと思います。