𝐀𝐧𝐳𝐚𝐤𝐢 𝐔𝐦𝐢 / 君のドアとは

ようこそ。空間とセカイの狭間へ。

貴方がここにいるということは
君のドアを見つけ、中のことをまだ覚えていることでしょう。また、続きが見たい、といったところでしょうか。

もし心当たりがないようでしたら、
この先に進んではなりませんよ。

君のドアを見つけてから、
この道を進まれることをお勧めします。

もし進むなら私についてきてください。
案内します。

私ですか？私には名前がありません。ただセカイと空間を繋ぎ止めている存在です。あるのにないようなもの、ないのにあるようなもの、ですかね。

貴方がセカイへ旅立つ前に、あの空間を恋しがっていたので、この狭間が生まれました。貴方の想いが私を生んだのです。しかし、この狭間もいつか終わりが来ます。
それまで、暫し私と楽しみましょう。

さぁ、あの空間では沢山の素敵なことを体験されたようで。是非お話を聞かせてください。あの方のご様子はいかがでしたか。どんな雰囲気でいらっしゃいましたか。えぇ、えぇ、そうでしたか。今ぼんやりと頭に浮かべているそのお姿、そのお姿で合っていますよ。あの方はハッキリ掴めない存在なのです。あの方は、毎回どこか違うお姿をされますからね。今の貴方が一番求められているお姿で迎えてくださるとか。

ん、何だか貴方からいい香りもしますね。美味しい物を召し上がられたのですね。それはどんな物でしょう。思い出せなくても、ぼんやりでもいいのです。忘れてもいいし、分からなくてもいいのです。思い出しているうちに急に出てきますから。それが答えです。ともかく、あの空間でいっぱいに貴方が満たされた。この事実が私は嬉しいです。

最後に、あの景色はどうでしたか。ふむふむ、なるほど、なるほど。前回より、景色に深みが出たようですね。貴方が立派に成長している証です。毎日セカイで頑張っているのですね。素晴らしいです。

だから、面白いですよね。同じドアのはずなのに毎回違う話になるのですから。もちろん似た話もありますけどね。それもそれで面白いです。変わらないのは、あの方はいつも貴方を心から待っている、ということです。

忘れるのが怖い？大丈夫ですよ。それは一時的な忘れです。むしろ、これからセカイに戻られるのであれば忘れることは大切なのです。大丈夫、貴方の奥深くでちゃんと覚えています。そして必要な時に、必ず思い出せますから。

ほら、ここをご覧なさい。あの方が送ってくださった星の欠片が貴方に刻まれている。今回はここにくださったのですね。素敵です。

しかし貴方はこのあと全てを忘れてしまうので、ここ見ては暫く嫌がるかもしれませんね。私から見て、寂しさから嫌な気持ちになっているだけですが、貴方だけの素敵なチャームポイントです。ぜひ星の欠片を見ては微笑んでみてください。
これから増えていくでしょうが、それは貴方とあの方がお会いした証なのです。

さぁ、狭間の端まで来ましたよ。
私の案内は終わりです。
セカイへ戻れますね。

ここからは貴方一人ですが、
君のドアはすぐそこに。

それでは、再び出会うその時まで
貴方のお話楽しみに待っています。

いってらしゃいませ。