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他人の修羅場
その後、お互いに誘い合って何度かデートをした。
最初からリラックスして会えたせいか、その後も会うたびにお互いにリラックスしていたのだけれど、私の中で何となく「なんか、流れるかも?」という気配が少しだけした。
何となく、一緒にいるとお互いに楽しいし、話も合うんだけど、どこかそこから一歩をお互いに進めない、というような印象を持っていたからだ。
お互いに、別に相手はいないけれど、友達のままの方がいいのかな?と言う所で悩んでいるような。。。
そんなある時、Jの方から誘ってきた。
「今日の夜、俺の部屋で飲まない?」
初めて彼の家に行く事になった。
彼の部屋は、黒で統一されたモダンなインテリアだった。
きちんと片付いていて、おしゃれな感じで驚いた。
「男性の一人暮らしという割に、すごくきれいだよね。すごくきちんとしてるんだね。」
「そうかな?もちろん、今日はしっかり片づけたよ!(笑)」
彼の部屋に行く前に買ったケンタッキーフライドチキンとお惣菜系をつまみながら、冷えた白ワインを飲むことにした。
私も一本、おススメのドイツワインを持っていったので、喜ばれた。
相変わらずの雑談が楽しくて、ついついワインも進みながら、この後どうしたらいいのかをお互いに探っていた。
そして、程よく酔っぱらったタイミングで、彼は私の手を引いて、ベッドルームに連れていった。
彼が、ゆっくりと私をベッドに倒して、キスをしてきた。
Jの唇はちょっと渇いていて、男らしい感じがした。
ゆっくりと彼の舌が入ってきたところで、玄関のインターフォンが鳴った。
びっくりして二人で目を合わせたが、とりあえず体を離して、彼が玄関に向かった。
・・・何だか、女の人と言い争いしているようだった。
取りあえず、私は上着を羽織り荷物を持って、様子を覗いてみた。
女の人がJに「どうして連絡くれないの?」というようなことを怒鳴っているのが聞こえた。
今出ていくと、何だか面倒くさそうなのでしばらく隠れて様子を見守っていたが、女の人の声が大きくなって、こじれる一方のようだった。
そのうち、女の人が部屋に上がってきて、居間にいた私と目が合った。
彼は彼女を制することができなかったようだった。
彼女が私に気付いて、びっくりしたような怒ったような表情をした瞬間に、彼に「私、帰るね。」と言い残して、ものすごい勢いで玄関に向かい、靴を履いて去るように帰ってきた。
その後、Jとは気まずくて連絡を取ることが無くなった。
私からも連絡を取らず、Jからも連絡が来なかった。
もし連絡をしたら、多分Jからいろいろと言い訳が聞けたんだろうと思うが、もう聞くのも面倒くさかった。
ただ、Jはあの時の反応の仕方から、あの女の人とはそんなに深く付き合ってはなさそうな印象ではあった。
こんなことなら、あのまま友達でいればよかった、とちょっと後悔した。
友達なら、こんなことがあった、びっくりしたよね!と一緒に大笑いして話せたのにな。
Jとは結構友達のように話せる感じだったので、あの時キスさえしなければ、友人としていい関係のままだったのかもしれない。
何よりあの時彼の家に行かなければ、こんなことは無かったはずなのに。
なんだか欲張って、次に進もうと焦って、何でも話せたよさげな友達を無くしてしまった感じ…。
ということで、会ってから2か月で、二人目の恋人候補は消えてしまった。。。
気が合う人だったのですごく残念だったけれど、友人がいいな、と思う人は友人のままで止めておいた方が良いのかも、と思った。
そして、こんなに短かったのは何か理由があったのかを考えていた。
・・・それにしても滅多にないことだったけど、他人の修羅場もやっぱり怖い。