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二人目の恋人候補
ネットで知り合い、やり取りを重ねていくことは、だんだん気持ちの上で負担が無くなってきて、すっかり私の日常的な習慣になっていった。
次に会った恋人候補は、ITエンジニアとして働くアメリカ人のJだった。
実は偶然、私の家のそばに住んでいることが分かった。
それがきっかけで、何かとチャットやメールの話が弾んだ。
秋口ごろに知り合い、クリスマス近くまでずっと、のんびりとした雑談的なやり取りをしていた。
「クリスマスはどうするの?」
「私にとっては、普通に仕事して、普通に食事する、ごく普通の日よ。」
「よければ、一緒に食事しない?家の近所でさ。俺にとってもごく普通の日だから、おしゃれなのじゃないけど。」
ということで、近所でお互いが知る焼き肉屋で、初めて会うことになった。
「結構長く話してたから、何だか初めて会う気がしないよね。」
二人でハイボールを片手に、焼き肉を一緒に突っつく私たちは、かなりこなれたカップルに見えたかもしれない。
チャットで話している時は、ちょっと神経質そうな人かな?と思っていたけれど、会うと結構オープンそうな感じだった。
リアルに会う時に、最初に私が考えるのは「この人と寝れるかな?」ということだ。Jとは、まだこの時はピンと来てなかった。
彼は、前の彼女と別れてから結構時間がたっていて、なかなか次の恋愛に進む気がしない、と言っていた。
「・・・もう、何だか面倒くさいっていう気持ちのほうが大きくなってきて。」
「・・・それはわかるかも。あれ?いくつだったっけ?」
「35歳。」
「そっか・・・でも、まだまだ人生は続くよ。」
「ははは・・・何だか君と話していると、禅問答のようだね。」
「え?そんなに変なこと言ったかしら?」
「いやいや、相変わらず面白いね。」
彼に焼き肉をご馳走になって、それぞれに帰ることにした。
「来週の週末、時間ある?ちょっとランチに付き合わない?」
ということで、次の週末もJと会うことになった。
次の週末はJの希望で、とある駅前の喫茶店で待ち合わせした。
喫茶店でカフェオレを一杯飲んでから、「連れていきたい所がある」と言われて喫茶店を出たら、大きなバイクが停めてあった。
ヘルメットを渡されて「乗って」と言われたが、初めてなので戸惑った。
Jの言うとおりに、後ろにまたがって、彼の身体に手をまわした。
「リラックスして。」
緊張して、しがみついていた。
彼はスリムなのに結構筋肉が合ってしっかりしているのが、抱きついてみて分かった。
車では見れない、リアルな風景が風を切って流れていく。
「大丈夫かい?」
「い、一応!」
結構街中を走ったかと思ったら、彼が駐車を始めた。
週末は閑散としている、オフィス街だった。
「実は、俺の会社の近所に美味しいレストランがあるんだ。今日はそこでお昼にしようと思って。」
オフィス街を彼の案内で歩き回った。彼の勤める会社はかなり大きな、私でも知る大企業だった。
「バイク、疲れた?」
「うん、疲れた。。。初めてだったから。でも、見える風景が違うね。」
「そうでしょ?面白いでしょ。」
「うん、帰り道はもっと楽しめそう。」
彼のオススメのレストランは、インド料理の店で、いつも仕事中によく行っているらしく、いろいろおススメをピックアップしてくれた。
別々のカレーや一品料理を頼んでシェアしたが、彼とは嫌な感じが無かったので、イケるかな?と思った。
食事の後は、少し遠回りしていろいろな風景を見せてくれた。
私の家の近所で、降ろしてもらった。
「今日は楽しかったよ。ありがとね。」
「うん、また誘っていい?」
「もちろん!私も誘ってもいい?」
「嬉しいよ!待ってる。」
二度目のデートも楽しい気持ちで別れた。