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柔らかい感触


「愛人探し」を始めてから、体調が悪い日は少なくなった。

もしかしたらSexすることよりも、恋に向かっている気持ちのほうが、体にはいいのかもしれない…と思い始めてきた。

仕事と週末のデートで忙しいのは変わりないが、Tを恋人候補と決めたので、しばらく出会いは増やさずに、彼とだけ付き合おうと思っていた。


私の家に来たTはすごく気に入ったようで、楽しそうだった。

私は簡単なおつまみ程度を作り、二人でワインを飲み、一緒に寝た。

まだお互いのリズムは少しずれている感じがするが、少しずつ合わせていけばいい。

そして、まだ彼の唇は最高だった。


Tとは週末はもちろん、平日の空き時間などに彼から連絡が来たりと、私の生活にもメリハリができてきた。

Tのことを好きになれそうだ、と思いつつも、まだ心のどこかで「これが恋だっけ?」という感覚があった。

Tは優しく、ちょっとした時間があるとすぐ電話をかけてきて、私を気にかけてくれているのが分かった。

そういう風に大事に思われるのって、嬉しいものだ。

久しぶりの「好意を感じる」ことに、気持ちが柔らかくなった。


ある夕方に、Tから「会いたい」と、私の会社の近くまで来たことがあった。

私は残業があったのでちょっとだけ・・・ということで、立ち話だけして、頬にキスして彼が去っていったところを、会社の誰かが見ていたらしい。

後日、「Mさんは外人の彼氏がいる」という話題が社内に走っていたらしい、ということを、会社で仲良くしている友人に聞いた。

「M、女子トイレでアンタの話題が出てたわよ~。何でも金髪の外人とデートしてたんだって?ちょっと、どう言うこと?私聞いてないよ!」

「いやいや。。。まあ、普通の友達だからね。」

「へえ~そうなんだ~。」

・・・まさか、「今は恋人候補で、将来的には私の体のために愛人にしたいと考えている。」という正直な腹の中のことは言えない。(苦笑)

「全然友達だから。外国人のキスは挨拶だから。」

なんとか友人は納得してくれたようだ。

その後、友人が社内の女子に言ってくれたようで、静かになった。


Tと付き合い始めて、1か月ぐらいたった頃に急にTから「会社を辞めた」という報告を電話で受けた。

聞いてびっくりして、Tが落ち込んでいるのではないかと、彼の家に行った。

「大丈夫?何かあったの?」

「・・・いや、もうあそこでは働いていれないと思って。」

「そんなに仕事大変だったんだ…まあ、次の仕事を探すの手伝おうか?」

「うーん、それよりも、俺引っ越ししようかと思って。」

「え?大丈夫なの?仕事辞めたばっかりなのに?」

「君の部屋に一緒に住みたいな~。」

・・・これは想定外だった。



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