四人目の恋人候補


Rとのことはすごくいい思い出になったが、美形すぎるのは落ち着かない…と改めて感じた。

そして、若すぎるのも。

また、デートの際に何が起こるか分からないのだから、下着に油断するのには気を付けよう…と、いうのが教訓になった。(苦笑)


やっと仕事が落ち着いたころ、しばらく休んでいた「愛人探し」を再開することにした。

またしばらくの間は、デート候補のリスト作りに精を出すようになった。


そして、しばらくして出会ったのが同じ年の、Aだった。

彼とはネットのマッチングアプリで知り合った。

彼の方から「気に入った」というサインが来て、やり取りをするようになった。

Aは、外資系金融機関に勤めている人、と言っていた。

結構出張が多いらしく、いつも忙しそうにしていたが、私もそれなりに忙しかったので、お互いにその忙しさを励まし合う感じだった。

ある週末に、Aから「今週末の日曜日、会ってみない?」と連絡が来た。

私はちょうどその日に友人の結婚式があったので、その後なら、ということで約束をした。


待ち合わせ場所に指定されたのは、彼の会社の近くの大きな商業施設だった。

結婚式が終わった15時ごろに、そこのエスカレーター付近で会う約束をした。

私は時間通りに指定場所へ着いたが、Aから「事情で遅れそう」とメッセージが入った。

30分ぐらい、お店などで時間を潰していたら、やっと彼が現れた。

私は結婚式の後なので、シンプルなワンピース姿だったが、彼はカジュアルなサファリパンツとTシャツという「夏のいでたち」で走ってきた。

「本当にごめん!初めてなのに!」

と、後ろから赤いバラを一本差し出した。

お詫びの気持ちで、とにかく駅でその花を見つけて買って、走って来たらしい。

「大丈夫だよ~。結構いろいろ見れたから私はまだ待てたよ。」

というと安心していた。

彼は仕事をしながらMBAのネットの遠隔クラスも取っているらしく、今日はそのクラスが長引いてしまったんだそうだ。

そして、取るもの取りあえず、終わるなり走って来てくれたらしい。

そこから二人でお茶を飲みながら、いろいろ話をした。

実は会う前に、既に1か月ぐらい2~3日おきにメールやチャットで話していたので、やはり初めて会う気がしなかった。

メールやチャットで知る印象の、彼のままだった。

彼もそう感じたらしく、「会わないで話していたけど、何でもっと早く会わなかったんだろうね。(笑)」と言っていた。

お詫びにお茶をご馳走されたが、なぜかその日はお互いに別れがたく、今度は私が場所を変えてアイスをおごることにした。

これまでも念には念を入れて、メールやチャットで人柄を見ながら会うのを決めていたが、Aとは本当に話が合い、時間があっという間だった。

テラスでアイスを食べていてもあっという間に時間が過ぎ、気が付くと夕食の時間になっていた。

私が決めていた「初デートは2時間」が、既に5時間以上過ぎていた。

Aから軽く飲もう、と誘われて、彼のおごりでバーに入りちょっとつまみながらワインを2杯ほど飲んだ。

それでも、お互いに話し足りないぐらいだった。


さすがに日曜なので、次の日のことを考えて、仕方ないけどお開きにしよう、ということになった。

「また、必ず会おう。でも来週は俺、出張で…その後もちょっと出張がいくつか入る予定なんだ。だけど、必ずメールとメッセージするから。」

と念を押された。

「大丈夫だよ。私もそれなりにバタバタしているから、そんなにかしこまらないで。今日の印象は、これまで話していたのと同じですごく安心した。まさかこんなに長く、おしゃべりするとは思わなかったけど。(笑)」

と言ったら、

「俺も。ほんとびっくりだよね!・・・実は、初めて会う人とこんなに長く一緒にいたのは初めてなんだ。」

と言われた。

お互いにいい印象を持ったまま、握手してその日はお別れした。

帰り道の地下鉄で、「気を付けて帰ってね。家に着いたら、念のためメールして。」とすぐメールが来た。


もらった一凛のバラの花を飾りながら、ちょっとワクワクしている自分がいた。



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