月刊読んだ本【2024.04】
中世への旅 騎士と城
ハインリヒ・プレティヒャ/平尾浩三 訳 (白水Uブックス)
世界史は苦手だけど、こういう時代がフィクションじゃなくて実際にあったんだって感動する。
フィクションに出てくる中世、騎士、城というものにはきちんと元ネタ(?)があって、それを知らず知らずのうちに摂取していたけれど、存外丁寧に描かれているのだと再認識した。漫画家の人が雰囲気で描いているわけじゃなくて資料に基づいて描いているとわかった。
資料として残っているものと残っていないものがあって、想像や類推するのはロマンがある。映画や漫画を見るときに注目ポイントが増えて興味深い本だった。
ニュートン式超図解 最強に面白い!! パラドックス
高橋昌一郎 監修 (ニュートンプレス)
パラドックスってなんだその切り口。論理、数学、宇宙、物理のパラドックがわかる。無限ホテルのイラストが面白い。
ハイペリオン
ダン・シモンズ/酒井昭伸 訳 (ハヤカワ文庫)
おもしろすぎる!!!
上下巻でようやく第一部が終了。
『ハイペリオン』『ハイペリオンの没落』『エンディミオン』『エンディミオンの覚醒』の4部作なのに、ハヤカワの復刊プロジェクトでは、『ハイペリオン』と『エンディミオン』しか復刊していない。なぜだ。
惑星ハイペリオンの<時間の墓標>に向かう7人の巡礼の話。だけど、メインの話がぜんぜん進まない。合間合間にそれぞれの物語が語られる。もはやそっちがメインで、短編集を読んでいる感覚だった。最初の100ページぐらい読んだ段階で、本当にハイペリオンに行くのか? と思いながら読んだ。それぞれの物語がどんな風に絡んでいくのか、はたまたなんの関係もないのか。残された伏線はどうやって回収するのか、そうして読み進めていくと、エピローグが出てきて(え、エピローグ? と)戸惑う。打ち切りマンガみたいな終わり方をする。これは『ハイペリオンの没落』に続くわけだけれど、知らなかったら唐突な終わりに憤慨するなり混乱するなりするだろう。そして訳者による解説も素晴らしくて、ジョン・キーツの未完の作を下敷きにしていると明かされて、未完の終わり方はそのオマージュなのだという納得のしかたもできる。でも続き読みたいし、完結させたいからダン・シモンズも書いたのだろう。
この作品は、様々なジャンルの作品が網羅されていると説明されるがその通りだった。冒険譚、愛の話、信仰の話、サイバーパンク、ファンタジー、時間逆行、そういったものがそれぞれの物語に現れる。神出鬼没のシュライクのように。
僕は、「ハイペリオン」や「シュライク」という単語をサガフロンティア(以下サガフロ)というゲームで知った。その元ネタがこの小説だということで読み始めた。結論から言うと、サガファンは読んだほうがいいし、全小説ファンは読んだほうがいい名作だった。あらゆる小説の要素を含んでいるし、すべての小説の頂点みたいな作品だった。もう他の小説読まなくていい。それは嘘だけど、それぐらい面白いし圧倒的名作だった。
サガフロの武器や街の名前の元ネタなだけじゃなくて、サガシリーズに通じるものがあると思った。7人の巡礼のそれぞれの物語があるというスタイルは、主人公を7ないし8人の中から選択する(一部の)サガシリーズのシステムと似ている。ラスボス(や目的)が同じだったり独立していたりは、作品によって異なるが、同じ世界観を共有しながら、キャラクタごとにストーリーが違うという点が似ていた。サガフロの元ネタだからサガフロのサウンドトラックを聴きながら読んでいたけれど、あまりに長いので途中からアンリミテッドサガ(以下アンサガ)のサウンドトラックに変えた。合う。めちゃくちゃ合う。そしてアンサガの強すぎるラスボスがこの小説のシュライクと重なる。良い。
ニュートン式超図解 最強に面白い!! 物理
和田純夫 監修 (ニュートンプレス)
高校で物理をやらなかったのでなんとなくしかわかっていないことに対する理解が深まった。特に、電子の軌道の話がイラストで説明されて深く納得がいった。だからとびとびのエネルギー準位をもっているんだ。
ひとこと
早く冬になればいいのに。
もっと本が読みたい。