最近観た映画――BATMAN
バットマンの映画なんて一つも見たことなかった。蝙蝠男がなんでアメリカではあんなに人気なのか全然わからなかったしわかろうともしていなかった。だから見た。今だと思った。なぜだろう。
以下僕の感想、というか備忘録というか。
『バットマン』
(BATMAN 1989)
ティム・バートンが監督していてジャック・ニコルソンがジョーカーなのは知っていた。意外と悪人を殺したりするんだなって思った。007も初期はそんなだったな。
ファンタジーじゃなくて、現実にヒーローがいたら、というのを描いているように思える。でもバットマンやジョーカーと行ったキャラクタはコミカルで、でも実写映画に溶け込んでいて、映画って面白いなって思う。狂気をやらせたら当代随一のジャック・ニコルソンなのは避けられなかったんだろうなと思うし、他の人だったらダメな映画になりそうである。
『バットマン・リターンズ』
(BATMAN RETURNS 1992)
ペンギン男と戦う話である。ティム・バートンって感じだよね。キャットウーマンも登場。動物大好きかよ。クリストファー・ウォーケンが出ていたのが印象的だった。あの人いつも印象的だけど。ペンギン男もネコ娘も悲しい生活、人生を送っていて、そういう人たちの救われなさが怪物となって登場するのだ、でも報われて真に救われるのではない、という話なのかもしれない。でも蝙蝠男も悲しい運命で、救われてないよ。でも悲しい過去があったからヒーローが生まれたのだ。悲しい。
『バットマン・フォーエヴァー』
(BATMAN FOREVER 1995)
監督も役者も変わった。ロビンが登場。ニコール・キッドマンやトミー・リー・ジョーンズという僕も知っている役者が出ているのが印象的だった。あとジム・キャリーも、はまり役って感じで良かった。マインドコントロールとか、かなりファンタジー要素が強くなった映画。ロビンに手を貸すアルフレッドが好き。
『バットマン&ロビン Mr.フリーズの逆襲』
(BATMAN & ROBIN 1997)
また役者が変わった。ジョージ・クルーニーのバットマンなんて変なの、と思って観てたけど、意外とイケてるんじゃないか。そんなことよりアーノルド・シュワルツェネッガーである。Mr.フリーズが低温じゃないと生きられないの意味がわからないし、ダイヤモンドがエネルギー源なのも意味がわからない。ファンタジー色がかなり濃くなってしまった。バットマンはただの人間だというのに。その敵とのギャップがちょっとついていけなかったぜ。
『バットマン・ビギンズ』
(Batman Begins 2005)
ニンジャナンデ??? クリストファー・ノーランである。バットマン誕生の話。最近流行り(かどうかは知らないけど)のエピソードゼロ。知ってたけどかなりシリアスな作風で、これだよ待ってたのは。豪華俳優陣すぎて、ちょっと漏れるかと思った。でもそれだけバットマンが人気で魅力的なんだろうと感じさせる。ゲイリー・オールドマンもリーアム・ニーソンもモーガン・フリーマンも出てるんだよ。ていうかモーガン・フリーマンはいつ映画観ても出ている気がするしさすがだなぁ。
個人的にはバットマン誕生の話なので、そこに尺を取るのは受け入れられる。前置きが長いとか早くバットマンを出せとか思う人もいるらしいけど。インクレディブル・ハルクよりハルクの方が好きなタイプの人間なので、特に何も思わなかった。
スケアクロウのキリアン・マーフィーってあの28日後…の人か。ふぅん。
これだけ現実寄りの世界観で、映像で、蝙蝠男はどうなんだろうって思っていたけど、かっこいい。たぶんかっこいい。スーツとか作るシーンはワクワクしたし、羽広げて飛ぶのかっこいい。
『ダークナイト』
(The Dark Knight 2008)
大絶賛されている名作をようやく観たのである。ダーク内藤である。なんでもない。
人間の想像に映像が追いついてしまっている。やばい。21世紀怖い。どの役者もどっかで観たことある人ばかりだった。アーロン・エッカートはエンド・オブ・ホワイトハウスとかラビット・ホールで観たし、マギー・ギレンホールもどっかで観たことあるし、ヒース・レジャーはもちろんDr.パルナサスの鏡で観たし。
とにかくかっこいい。特にバイク。そしてジョーカーの恐ろしさ。ひたすら悪を悪として描く。それに立ち向かう主人公。このジョーカーの造形は素晴らしいと思った。昔だったら、ゲイリー・オールドマンがこういう狂気のキャラクタを演じたはずだけど、そのゲイリー・オールドマンはバットマンの理解者で良い警官。両極端の役を演じきってしまえるのが彼の魅力だよね。年齢を重ねてからの彼のこの渋い感じがたまらなく好きで、裏切りのサーカスとかいう超難解映画をまた見返そうかと思った。
ジョーカーが捕まっても、そんな一筋縄ではいかんだろうと思って観ているから、どうなるんじゃろうとわくわくする。つまりいい映画だということ。そう思って観ているからある意味では予想通りだが、どういう展開になるのかは予測不能なので、観ていてとても楽しかった。バットマンはヒーロー! で終わらないのもグッド。完璧だった。
『ダークナイト・ライジング』
(The Dark Knight Rises 2012)
映画の三作目なんか作らなくていいのに。売れた映画の続編なんて作る必要ないのに。僕はそう思う。ロッキー2とか。でもロッキー5と6は大好きなのは内緒だよ。それからランボー2と3。4は完全名作だけど。あと、アメイジング・スパイダーマン3はむしろ作ったほうがいいです。結論から言うとダークナイト・ライジングは名作です。
バットマンは必要なくなったって引きこもっていたブルース・ウェイン。杖ついてたのにそんなに早く復帰できるのかよとか言ってはいけない。ブレイク刑事がどっかで観たことあって誰だっけってずっと思いながら観ていて、調べて思い出した。ザ・ウォーク。こないだ観たやん。そうだよあの顔だよ。彼のラストシーンもよいですね。
今作はとにかく暗い。一番暗い。敵は正気じゃないし、ジョーカーは陽気なピエロだけど、今回はマッドマックスだから。絶対笑わない。ていうかどうやって食事してるんだろう。シリアスで重たい映画だ。それだけ敵の脅威がすごいし、ぞくぞくする。中盤からずっとドキドキしながら観てたもんな。バットマンの復活の物語。いつ戻ってきてくれるんだって気持ちと、ヒーローを待っているような人間ではいかんなぁという気持ちがあるよね。ミスチルが歌ってたよ。
今回も映像はやばい。最近の映画ってこんな感じなんだって冷静に驚いた。映像がよりリアルになるのにつれて、ストーリーとか世界観とかリアリティが求められるよなぁと思った。この映画にMr.フリーズが出てきたら絶対おかしいもん。映画はここまできてしまったということだ。もちろん、よりファンタジックに撮ることは可能だけれど。今回はついに戦闘機が出てきたよ。モーガン・フリーマンすげー。
僕はね、エピローグがすごく良かったです。感動した。アルフレッドのシーンとか泣きそうになるし、ブルース・ウェインとの信頼関係が描かれていてよかった。バットマンの映画なんだけど、それぞれのキャラクタにそれぞれの人生があって、考えがあって、そういうのを丁寧に描いているのがこの映画を名作にしているゆえんなんじゃないかなぁと感じた。
例えばスーパーマンはクリプトン星から来たヒーローだけど、バットマンは普通の人間なんだよね。蜘蛛の糸を出すわけでもないし、超人スーツに身を包んでいるわけでもない。バットマンのスーツは投擲武器を装備したり、防弾になっていたり、あとは動きやすいようになっていたり、というようなもので、戦闘能力というのは鍛え上げた肉体なんだよね。己の拳で戦う、悪を殴り倒していくヒーロー。剣も銃も使わない。そこがかっこいい。乗り物とか、ワイヤー使ってロープアクションしたりとかマント使って飛ぶとかはあるけど、基本は殴り。力強いよね。僕も誰かにとってのヒーローになれるかなぁ。