音楽のジャンル分けについての雑感

音楽のジャンルの話はできればしたくない。ある現象をカテゴリーで判断して本質を見誤るっていうのはよくあることだと思う。ただ、Twitterで見た「プログレ→テクノに派生した」みたいな意見とか、この曲は音楽史的にどういう時期に作られた曲なのかとかを知れるのは楽しい。ザックリとした地図の中で、現在地を知ることができたような感覚になる。

「自称音楽通」みたいに見られるのが嫌なんよな。やっぱり。そう名乗れるほど博識でもないけど。「曲そのものの良さが分からんから虚飾性に満ちた言葉ばかりを乱用する」ような状態になりたくない。てか明確に苦手な自称音楽通のおじいさんが身近にいるから、こういうことが気になっちゃうんだと思う。

YouTubeでたくさん動画見れて、いろんなジャンルの音楽を耳にしちゃってる時点で、「俺は既存のジャンルに縛られない。テキトーに曲作ってたら名曲生まれちゃいました」と天才ぶってみせるのは逆にダサい時代になってるとも思う。そもそも創作って多かれ少なかれ何かの模倣が前提で、模倣の中で生まれる齟齬とか、模倣の上でのちょい足しや掛け算のセンスが「個性」なんだと思う。論文と一緒で。まあ個人が音楽の演奏を楽しむ上で、別に個性的である必要も天才である必要もないけどね。

いま、「過去に作られたものを踏襲した上で自分の色を出す」という点が似てるので論文を例に出したが、「エレキを弾くならジミヘンを聴いてないとダメ」みたいなのもよく分からんのよな。
結果的に何かの模倣になってはいるものの、ならばロック史を知ってからじゃなきゃエレキ弾いちゃダメって不自由すぎる。別にジミヘンっぽいギターを弾きたい人とか音楽の専門家になりたいならジミヘンを聴けばいいけど、音楽って科学の実験の歴史のように直線的に進化してきてるわけじゃないしな。ポストロックしかやりたくないのにジミヘンを「勉強のために」聴く必要性って低いと思う。「音楽史は科学の歴史のように直線的に現代に繋がってるわけではない」っていうのはマジで思う。むしろ、YouTube世代としては、あいみょんもジミヘンも90年代歌謡曲も全部同列に「音楽のひとつ」として聴いている実感がある。てか「伝統と革新」って言えるほどロックの歴史って(年数的に)長くないし…。リスナーとしてもプレーヤーとしても「勉強のために聴く」必要はなくて、「楽しめるかどうか」が一番重要だと思う。





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