現役プレイヤーに聞く旧枠モダンの魅力と魔力
おはようございます。
普段MTGに関する配信を行っていますエニィと申します。
皆さんは旧枠モダンというフォーマットをご存知でしょうか。
かつてはGPのサイドイベントにも採用され、今なお熱心な有志により研究、開発が進められているフォーマットとなっております。
この度、私の主催する大会MCFFCにて旧枠モダンの大会を開くことにしたのですが、いかんせん詳しく知る人は少ないこのフォーマット。
ネット上にある情報も限られたり、古くなっていたりしています。
そこで、今回は私が実際に大会に赴き、長年プレイされている方に直接その魅力や環境についてお聞きしてきました!
カジュアルフォーマットらしい一風変わったエピソードやその奥深い魅力に少しでも興味を持っていただければ幸いです。
1.旧枠モダンの概要
さて、当然のように旧枠モダンという言葉が通じる前提で話してきましたが、ここでまずルールをしっかり見ていきましょう。
旧枠モダンのポータルサイトとなっている旧枠モダンカード検索様より、「旧枠モダンとは?」のルール部分を引用致します。
簡単にまとめると、
基本は現代モダンのルール
カードプールはLEA(アルファ)~SCG(スカージ)までの期間に印刷されたカードを用いる。
それ以降が初出の旧枠仕様のカードは使用禁止だが、カードプール内のカードであれば旧枠にする必要はない。
となります。
モダンというのは新枠になってからのカードを用いるフォーマット。
要するにモダン範囲の再録カードしか使えません。
このため、カードプールは非常に少なく、2023/11/05現在1000枚に満たないほどのカードがリーガルです。現スタンダードのカードですら2000枚以上ありますから、モダンという広範囲の中から選りすぐりのメンバーが揃っているのです。
百聞は一見にしかず。早速それらのメンバーたちを紹介しましょう!
上記のカードは旧枠モダンを代表するカード、とまでは行きません。
が、構築の際に間違いなく考慮される上位層と言ってもいいカードです。
…なんとなくレベル感がわかりましたでしょうか…。
もちろん、旧枠モダンにもモダン級、レガシー級の強いカードはあります。
稲妻、対抗呪文、神の怒り…。
しかし、それだけではない。複雑なメタゲームやカードプールの狭さが様々なカードに活躍の場所を与えているのです。
ちなみにですが、間違いなく旧枠モダンを代表するカードが1枚ありますのでそちらも紹介していおきましょう。
旧枠モダンのアイドル、「獣群の呼び声」。
2点では処理できない絶妙なサイズは多くのクリーチャーを止め、一方的に殴ります。しかも2体で。
旧枠モダンはまず象と稲妻と怨恨に蹂躙されることから始まることを覚えておきましょう。
2.旧枠モダンの魅力
ここからは実際にプレイヤーの方に聞いた魅力をお伝えしていきたいと思います。
・フォーマットのインフレが緩やか
旧枠モダンはその性質上、大幅なインフレが起こることはありません。
まず、旧枠のカードしか使えないため、新規のぶっ壊れカードが追加される心配はありません、
見知った強いカードは来る可能性はあっても、異次元からの訪問者のようなカードで環境がすべて変わることはありません。
また、強力な旧枠のカード、例えば暗黒の儀式としましょう。
暗黒の儀式、モダンに来ると思いますか?
というわけで、全く新しいカードの追加がないこと、過去の強力なカードもモダンを通る必要があるせいで抜けられないこと、2つの安全弁で環境は緩やかに変わっていきます。これによって、ユーザー主導によるメタゲームが展開されるのです。
とはいっても新規カードがないわけはありません。
モダンホライゾン後は阿鼻叫喚ですし、最近では衝動が入ったことで環境は変わっていきました。
全く新規追加のない環境と違い、この少しの変化でフォーマットの完成形が見えないというのも探索しがいのあるポイントでしょう、
・多くのカードに可能性がある
先程も少し触れましたが、旧枠モダンはその狭いカードプールから様々なカードが使われます。
一部強いカード、強いデッキはもちろんあるものの、全体的にカードパワーが低いせいでどんぐりの背比べのような状況で、メタゲームや自分の好みでカードを取捨選択しやすいのです。
また、一部昔ながらの致命的に刺さるサイドボードやメタ外からの急襲によって、いままでなかったアーキタイプが突然勝利することもあります。
特に競技シーンでは明確にこのデッキは強いというものが存在しているからこそ、みんなでそれをメタった結果、蓋を開けてみれば誰も使っておらず、それらに強いデッキが優勝をかっさらうなんてことも…。
・昔からのカードが今も使える
マジックは30年の歴史があります。その中で使われなくなっていってしまった名カードももちろんあります。
しかし、そんなカードも旧枠モダンの有象無象の中では超一流カードとして闘い続けています。
先に述べた獣群の呼び声も一時期はTCGのC(Call of the Herd)と呼ばれ大活躍しました(旧枠時代じゃないけど)。
いくつか例を上げましょう。
巨大化。リミテッドでは入るたびにその強さを示していますが、流石に構築に入ることはなくなってきました。
しかし、旧枠モダンのステロイドでは堂々の4積みです。
その強さの秘訣は「インスタント除去が火力に寄っている」「コンバットが重要なゲームである」という点が挙げられます。
旧枠モダンの黒の除去は痒いところに手が届かないラインナップが揃っており、一方赤には最強の火力である稲妻、旧枠モダンでは頭2つ3つ飛び抜けている包囲攻撃の司令官が存在します。この他にも環境で使われるメジャーカードにはトリスケリオンなどが存在します。
こちらの象への稲妻を耐えて逆に6点通していき、止めには極楽鳥が空から3点殴る。これがステロイドの美しさです。
ニコル・ボーラス。攻撃を通すだけで相手のハンドをすべて刈り取る多元宇宙の巨悪。
マジック・マナストライクという胡乱の極みみたいな世界を作り出した偉大なお方でもあります。
その圧倒的な重さと強烈な効果はどうにかして使ってみたいとプレイヤーに思わせ、過去にはニコル・シュートなんてデッキが開発されました。
え!?旧枠モダンには相手のエンドに悠々とボーラスを降臨させるデッキが!?
そのデッキの名はアミュレットコントロール。
流転の護符を用いて打ち消しを構えながらインスタントタイミングで巨大クリーチャーを展開するデッキです。
序盤は衝動や選択でパーツを集め、対抗呪文を構えながら流転の護符を設置したら準備完了。相手はいつ出てくるかわからない超強力クリーチャーと打ち消しに怯えながら行動することになります。
使われる大型クリーチャーは多種多様。かつては戦場に出たときにすべてのクリーチャーをタップさせるサンダーメアが飛びだし、勝負を決めたこともありました。
なお、現在のFNMはデュエル・マスターズからの輸入で旧モカードが絶賛配布中!
このニコル・ボーラス、セラの天使に地震(ジャガーは範囲外)。どれも一線級のカードたち!スタンダードのプレイヤーもこれを機に旧枠モダンに参入してみては?(最初は頭くらくらすると思うけど頑張れ)
苔の怪物。5/3/6バニラ。
初期に怨恨をつけた象を一方的倒せることから注目され、構築に入れられることが検討されたカードです。
流石に研究の進んだ今では難しいかもしれませんが、メタゲームによってはこういったカードが(何故か)採用圏内に入ってくるのも面白いですね。
3.旧枠モダンの環境について
先程からちょくちょく書いていますが、旧枠モダンにはいくつか強力なデッキが存在します。
・ビートダウン
ビートダウンではステロイド(赤緑アグロ)は外せないでしょう。ラノワールのエルフから2t獣群の呼び声は常に環境に存在するドブンムーブです。もっとも旧枠モダンらしいデッキかもしれませんね。
除去耐性が強い白単ウィニーも人気の高いビートダウンです。
プロテクション(赤)のサルタリーの僧侶、更にプロテクション(黒)まで持つヴェクの聖騎士を擁する白単を簡単に崩すことは難しいです。
・ミッドレンジ
ミッドレンジではカーミック、特にナヤのものが非常に強力です。
霊体の先達2枚とゴブリンの砲撃による無限コンボを搭載したこのデッキは、帝国の徴募兵、エラダムリーの呼び声によるシルバーバレット、包囲攻撃の司令官などの強力カードの蘇生など、コンボだけを意識していたら簡単に倒されてしまうでしょう。
無限のアドバンテージで言えば起源です。
墓地にあるだけでアップキープにクリーチャーを回収できる起源を相手にリソース勝負を仕掛けないほうがいいでしょう。
・コントロール
コントロールからは青白コントロールをまずはご紹介。
対抗呪文、神の怒り、そしてセラの天使や聖なるメサといったフィニッシャー。
アダーカー荒原と神の怒りがあれば一生遊べると言われた正統派コントロールは今なお健在です。
赤を足して稲妻の天使や火力を追加したトリコロールも人気ですね。
対する青黒はネザーゴーでしょうか。
墓地に他にクリーチャーがいなければ復活し続ける冥界のスピリット。そして大量の除去と打ち消し。一生構え続けて勝利をもぎ取ります。
・とはいえ。
結局は自分の使いたいデッキを使うのが一番の正解です。
大型の大会ではメタゲームが意識されるものの、店舗の大会では皆さん思い思いに好きなデッキを持ち寄って対戦されています。
昔使っていたあのカード。数少ないプールから見つけた必殺のコンボ。
この奇特な世界を楽しむのが一番です。
・メタゲームデータ
※今回ご協力いただいたおんそくさんよりメタゲームのデータを頂きました!
下記に引用させていただきます。
4.どこで遊べるの?
どうです?興味が湧いてきましたでしょうか。
しかし、一体このフォーマットどこで遊んだらいいのでしょう。
首都圏の話になりますが、現在定期的に旧枠モダンの大会を開催されている店舗が二店存在します。
1つがBIG MAGIC秋葉原店様の旧枠モダンBM杯。
こちら月に一回、第一土曜日に開催されております。
私が今回参加したのもこちらの大会ですね。
同じくカジュアルフォーマットであるミステリーレガシーも同日に行われているので、胡乱フォーマットを極めたい人にとって第一土曜日はとても熱い日になっております。
2つ目がアメニティドリーム新宿店様の旧モファイトクラブ。
こちらは月一回、第三土曜日に開催です。
ええ!?二週に一回旧モが楽しめるってこと!?
また、それとは別に旧枠モダン最強を決めるGP旧枠モダンが不定期に開催されております。
現在最新は10/14に行われた第14回GP旧枠モダン。
優勝されたのはWikiに二行しか説明がないカード、ついえし希望を軸にしたコントロール。
さらなる旧枠モダンの発展を感じさせる大会でしたね。
5.プレイしての感想
ここでは実際に私が大会に参加して感じたことを軽く書いておきます。
私が使ったのは黒緑白の起源デッキ。
起源だけでなく、グレイブディガーや霊体の先達を用いてアドを稼ぎまくるデッキでした。
かなり自信のあるデッキで、実際ハンドが尽きることはほとんどありませんでした。
しかし…。ロングゲームはできてもライフを削る手段がなく、膠着した状態から包囲攻撃の司令官や堕落といった相手の致命的なカードで負け、というパターンが多かったです。
そう、腐ってもモダン。ゲームを一瞬で決めるようなカードはなんだかんだ多いのです。
ただ持久しているだけでは勝てない、強く思い知りました。
その結果は0-3。しかし今後の改善点は見つかったので大きな成果でした。
6.宣伝
さて、そんな旧枠モダンをMOでプレイする大会を近々行います!
興味のある方はサーバーに参加して頂き、今後の発表をお待ち下さい。
当サーバーでは様々なカジュアルフォーマットでプレイできる大会を考えております。ぜひよろしくお願いいたします。
ちなみに旧枠モダンのデッキ、めちゃくちゃ安いです。特にMOだと。
ここからMOに参入するのもおすすめです。
・大会運営用サーバー
・主催者SNS
Twittter : @AY_TT_Vt
Youtube :
7.終わりに
この度は私の記事を読んでいただきありがとうございました。
少しでも旧枠モダンに興味を持っていただければ幸いです。
また、インタビューに快く応じてくれたおんそくさん、及び大会参加者の皆様に深く謝辞を申し上げます。
それでは、ありがとうございました。
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