キミハカルマ
もう何年も使い続けているInstagramのアカウントに捨て垢からdmのリクエストが来ていた。わたしの名前を呼ぶ書き出しから、一瞬で送り主がわかってしまった。4年ほど前に縁が切れた女の子だった。彼女とは2回縁が切れている。
内容はある映画を観たらわたしのことを思い出し、記憶にあったわたしのユーザーネームを検索したら出てきたから、というものだった。
「いつも愛に真っ直ぐで、突っ走ってて、全力で、等身大で、最高に可愛くて強いところが本当に大好きだったし、怖く思ったこともあったよ。
それでも未だにみゆちゃん以上の女の子に出会ったことないんだと思う。色んな意味で。」
「あの時、私みたいな人間のことを好きって言ってくれて、(中略)ありがとうね。それから、いつもいつも自分勝手で本当にごめんね。
ごめんとありがとうと、やっぱりみゆちゃんは特別な人間なんだと思うって伝えたかった。」
脳の奥がゆがむ感じがしていた。わたしはだれかから見ても、特別な人間だったのだと全身がふるえていた。
聞きたいことは色々あった。
元気にしてる?まだ京都にいるの?今あなたは社会人3年目の年になるけど、最近はどうしてるの。まだあの人のこと好き?
返信いらないからねと添えられていたそのメッセージにどう返したらいいか、わたしはわからなかった。
考えることすらやめて、ひたすら毎日リクエストを眺めていた。ある日リクエスト一覧からそのdmが消えていて、アカウントごと消えていた。
彼女は返信が来ることを期待していたように思う。時間をかけて、熟考すれば返信することもできたけど、わたしはそれを選ばなかった。どちらが正解だったのか、いまだにわからない。
もうこれが、本当の本当に最後なんだと思った。
ごめんね。大好きだったし、今でも思い出す。わたしの家に泊まったのも、ふたりで行った国際フォーラムも、長野に行こうとしたのに行けなくなったことも、渋谷でプリクラ撮ったのも、全部愛おしい思い出だよ。
ありがとう。大好きだよ。