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MUSICとミュージックと戦いと(8月1日AKB48グループ感謝祭について)

8月1日に開催されたランクインコンサート感謝祭(17位~100位)についてのレポを記す。
つもりだった。
ただのレポのつもりだった。だっただった。だっただっただった。

戦記になってしまった。
以下は戦記。ゲロ戦記。クンニバル戦記。
(ここで読むのをやめてくれる人が増えることを願っている)。


感謝祭とはランクインできたメンバーが応援してくれたファンに対して謝意を述べ、ファンはみんなで応援したメンバーがランクインした喜びを改めて噛みしめる場所である。
神聖な祭りなのである。

そんな場所に鼻息荒く、参戦を決意した馬鹿がいたのである。
ドン・キホーテよろしく、何を勘違いしたのか、感謝祭を戦場と勘違いした馬鹿。
必ずや訪れる、メンバー降臨タイム。それだけを目的に、レス争奪戦に勝つことだけを考えていた馬鹿がいたのである。
横浜アリーナをノルマンディー、硫黄島だと思いこんでいた馬鹿がいたのである。
メンバー降臨撮影可能タイムを戦争と思い込んでいる馬鹿。
そう。
私でございます。

戦争の心得。
武器を持つこと。
ある者はペンライトを持つ。ある者はうちわを持つ。ある者はフリップを持つ。ごく少数はフリコピ用のマイクを持つ。パペットをしているキのチのガのイもたまにいる。
しかし48コンサート撮影可能タイムレス争奪戦争で最も力を発揮するのは「関係性」である。
徒手空拳でも関係性があれば戦に勝つことができる。

ここで高名な空手家、愚地独歩が語る空手家の美意識に関してのセリフを引用したい。
「武器を用意しねえってことだ」
「ただでさえ空手家は常日頃喧嘩の練習ばかりしてるんだ。人をぶっ倒すことに時間を割く。言ってみればこれはおめー、不意討ちだぜ。俺たちはすでに武器を身に着けちまってんだ」
「たとえ一握りの砂、一本の鉛筆であろうとも、闘う以前に手にしたなら、武道家の誇りは崩れ去る」

感謝祭は「推し席」という制度である。
席が推しメンで区分けになっている以上、はっきり言ってコンサートのピークはメンバーが推し席に来る時であることに異論はないであろう。
異論がある奴は、というか、わざわざここでこの私に異を唱える奴は、頭がどうかしているのは自明の理だが、レス厨ではないアピールをしてマウントを取りたいだけの案山子だ。ご苦労さまです、案山子さん。

どんなに糞席を引かされても、ある時間客席に神が現れる、目の前に神が来る。神が降臨する時間が確約されている。

レスも欲しい私信も欲しい指差しも欲しい。欲しい欲しい欲しい。
「欲しがりません勝つまでは」ではない。
「勝つ。なぜなら欲しいから」という動物的思考に私は抗えない。

遠距離戦ならペンライトも有利かも知らんが、近接戦はもうこれははっきり言ってうちわとフリップが最強に近い。
「文字」という人類最大の発明を接着させたうちわは、もうそれは「ペンは剣よりも強し」を地で表したかのような、「ペン(で書いた文字をプリントしたうちわ)は剣(に形態が似ているペンライト)よりも強し」と言ったところだろうか。

だが私はそれを良しとしない。
なぜか。
女々しいからだ。嘘。うちわを作るのがめんどくさいから。嘘。うちわは女子供しか許されていない。うちわはチート。うちわは軟弱の象徴。
なので徒手空拳で挑む。しかしそれでも勝ちたい。勝たなければいけない。どうすればいいんだ。

8月1日の感謝祭、私は、本質的にはDDなのだがDD席には座ることなく、選んだ席は、BNK48「MUSIC推し席」である。

72位にランクインしたBNK48最強の太陽、ミュージックちゃんがなんと感謝するためだけに日本へ来るというではないか。
感謝されたい。感謝され隊。感謝されタイ。

認知もない、異国の人気メンバーの推し席をチョイスすることに一抹の不安はあったが、そんなことよりも「おもしろいか、おもしろくないか」を優先する習性が未だに抜けない私の性は、迷うことなくBNK48メンバーの推し席に座ることを決意したのです。

そこで、感謝祭の降臨タイムは戦争と表記したが、もし戦争だとして、いくら私でも完全ノー認知の異国のお嬢さん相手に徒手空拳で挑むのは、これもまた一抹の不安に×100くらいした百抹の不安を抱えるわけです。
認知がなくても戦えるかもしれない。しかし、ただ死ぬ可能性も高い。

この不安を解消するべく行動に移さなければいけなかった。
女々しく勝つのなら雄々しく死ね。
だが死ぬつもりはない。
ペンライトを買うでもなく、うちわを作るでもなく、フリップを用意するでもない。
空港に行く。
空港待ちを敢行することである。

BNK48メンバーがタイを出発する情報は現地のヲタクが必ずツイッター等で呟く。
あとは約6時間後に空港に行けば、入国してきたメンバーに難なく会える。
世界はインターネットで繋がっている。グローバルあるある。

7月30日。現地を午前10時過ぎくらいに出発したであろうBNKメンバーを迎え撃つために羽田空港に降り立つ、失礼、陸路にて詣でけり。

羽田国際空港の到着ロビーに着くと、チャープランのファンが何人かすでに待っていた。BNKの熱は日本にも伝わってきているのだろうか。
BNK目当ての人は10人と少しといったところ。
18時を少し過ぎたくらいだったと記憶する。
若干人の出が激しくなってきて、これはもうそろそろ来るかなと、iPhoneを動画撮影モードにして待機する。

ちらりと奥の方にイケてる雰囲気の女子3人とがたいのいいお兄さんなスタッフらしき人の集団が到着。BNK御一行の到着だ。

これが空港待ちか。
国賓か軍レベル以外、すべての人間が入国審査を通らねばならぬ。その隙を突く。
カメコに言わせれば今更であろうが。

チャープランは英語話せるでお馴染みだが、なんなら論文を英語で認めているようだが、ミュージックも英語を話せることがフジテレビの討論番組で判明している。この事実はタイ人もフジの討論番組を見るまで知らなかったようだ。
タイ語は分からん。日本語はミュージックにどこまで通じるか分からない。
オッケーGoogle。今から日本語を英語に翻訳してくれ。

「私は8月1日の感謝祭をあなたの席で見ます」→「I will see Thanksgiving on August 1st at your seat.」
この「あなたの席」を「MUSIC推しseat」と変え(推しは世界共通語なのでそのまま)、「感謝祭」の部分もそのまま日本語で「AKB感謝祭」と変える。

「I will see AKB感謝祭 on August 1st at MUSIC推し seat!」

そして
「横浜アリーナで私のことを見つけてください」→「Please find out about me at the Yokohama Arena.」という英文をこさえてくれた。

入国待ちをしながら何度も何度も上の英文を復唱しておいた。
特に力を入れたのは「MUSIC推しseat」の「推し=OSHI」の発音である。
48グループ大好きで高柳明音ヲタを公言しているミュージックちゃん。
おそらく「推し」という日本語はがっつり通じるはず。
ミュージック推し席に俺はいる。いるんだ。いる予定なんだ。だから見つけてくれ。

「ワタシハ、ココニ、イルヨ」

握手会なし、タイでしか握手会がないミュージックちゃんに伝えるチャンスはインスタを除けばこの1回のみ。
必然、遊びではなくなる。
PRODUCE48とBNK空港待ちは遊びではないのだ。

ミュージック推し席に座る私は、チャープラン、いずりなにがっつくことはできない。
ミュージックロックオン、ミュージックちゃんに話しかけることだけに集中した。
iPhoneの動画モードはそのまま。そう。カメラを止めるな。

空港待ち対応は慣れているBNKメンバー。チャープランもミュージックもいずりなも手を振りながら来日である。

ようこそ日本へ。

https://www.youtube.com/watch?v=APWZJjBzPnU

その時の動画はこちらのYou Tubeで見ることができる。
私の稚拙な語り、文章より雄弁に事実を伝えてくれる。

誰も知らない謎の帽子、「バランス」帽子をかぶっての華麗なるシュール登場。


日本と言えば、いろんな問題のバランスをとろうとして忖度してしまう国。
ミュージックちゃんは日本をリスペクトしているから「バランス」帽子を被ることで敬意を表していたのは明白だ。

動画にもあるように、練習していた英文はとっさには出ず、ミュージックちゃん捌け際ぎりぎり「Please find me.!」と伝えると「OK」と返事をしてくれた。

実質初の、ミュージックちゃんとの「会話」。

これが意思疎通。
これがコミュニケーション。
これが異文化交流。

アルファベットありがとう。
英語ありがとう。
東インド会社ありがとう。

英語がなければ僕たちは、私達は、AKB48ヲタクであるところの私はBNK48のメンバーとコミュニケーションをとることができなかった。
世界は西欧諸国とアルファベットと共にある。
2018年、大東亜共栄圏の共通言語は英語なのだ。

こうして感謝祭への伏線を張ることに成功。
無視はないだろうが、足早に手を振りながら去っていってしまっては伝えられなかったから、ミュージックちゃんの優しさに救われた形になる。音楽は世界を救う。
あとは、いざ行かん、感謝祭の地、横浜アリーナへ。

8月1日。
まずしたことは、来日時にミュージックが被っていた「バランス」帽子を見つけることである。
Google様に聞いてみると、その昔390円ショップで売っていたことが分かった。今現在も通販で黒verは買えるようだが、到着を待っていては間に合わない可能性が高かったので、390円ショップ多発地域こと原宿に行き店を回る。変な漢字Tシャツ屋も見て回る。
ミュージックちゃんは星のカービィ大好きっ子でもある。星のカービィシャツやグッズがあれば贖おうとも思ったが、マリオやワンピースなんかはたくさんあるがさすがにピンポイントで星のカービィグッズは見当たらないし、「バランス」帽子も見当たらない。
諦めて、徒歩で原宿から渋谷へ移動する。
今年の夏の酷暑の中、電車賃を浮かすための徒歩移動。その間に倒れたらどうするというのか。
否、倒れるわけがない、なぜならこの後感謝祭があるのだから。
渋谷まで歩いたのにはわけがある。
タワーレコード渋谷店に行くため。

タイに行っていない、タイ人でもない、当然BNKグッズは持っていない、うちわは作りたくない、そもそもそんなもん持ったら負けだし、フリップも持ちたくない。

タワーレコードのキャッチコピーをご存知だろうか?
そう。かの有名なキャッチコピー。
「NO MUSIC NO LIFE」である。
ここでも英語、アルファベット。私たち日本人とタイ人を結んでくれる、偉大なるアルファベット。

そんなアルファベットの力とタワーレコードのキャッチコピーの力を借りるために、「NO MUSIC NO LIFE」グッズを探すべく、おそらくは日本で1番大きいタワーレコードショップであろう、タワーレコード渋谷店に行ったのです。

2階にタワーレコードグッズや書籍を売っているショップがあるのは元から知っていた。
なぜなら、我々ヲタクは、このご時世もっともCDレコードショップに出入りしている人種であるからだ。主にアイドルのイベント目当てではあるが。
難なく、2階をぐるりと廻る必要もなく、Tシャツやバックに混ざって「NO MUSIC NO LIFE」タオルを見つけ、連番相手の分も合わせて2つ贖う。
渋谷での目的を果たし、新横浜への移動は比較的安価に、さほど時間はかからずに到着。

17位~100位感謝祭はお出迎え方式。
①~⑩のレーンの中から好きなレーンを選ぶというもの。私は①の

小栗有以・大森美優・青木詩織・鎌田菜月・本村碧唯・坂本愛玲奈・CHERPRANG・MUSIC

のレーンを選択。当然といえば当然だが。

「NO MUSIC NO LIFE」タオルを掲げながらの、乃木坂欅坂ピンチケイケイケちゃん兄スタイルを模した、Walking Towel Lift(歩きながらタオルを掲げる)でミュージックちゃんにアピール。
「Wao!」みたいな、目をまんまると、指差してくれた。
チャープランもBNKヲタ認識してくれたのか、多少は良いリアクションで手を降ってくれる。
それ以外のメンバーは「こいつらタイ人?」みたいな、おそらくはこのレーンに来るヲタク層の中で最もレアなヲタクであろうBNKヲタをうっすらとした笑顔で生ぬるく見守ってくれていた。
歩きながら、ミュージックちゃんの視線が私から離れたであろうタイミングでさっとタオルを隠して、目の前の小栗有以ちゃんに「やあ!応援に来たよ!」とさらっと言うくらいには人でなしだし、チーム8の伝道師たるもの、8メンに対してこれくらいの深い愛を持って接さないといけないと自負しております。厚顔無恥って病気なんです。
「アンチッチさん!」と、小栗有以ちゃんは安定安心の100点対応っ子ですから、そこは満足。

お出迎えが終わり、メンバーがバックヤードにはける時、これが実質大名行列よろしく、大パレードになっていたので、そこにも参加する。
8メンに手を振りつつ、そこでもしっかり「NO MUSIC NO LIFE」タオルでミュージックちゃんにアピール。しつこくていい。しつこいくらいがいい。
遊びじゃない。これは遊びじゃないんだ。そして次会えるのはいつかなんてまったく分からないんだ。手を緩めたらそこで試合終了。ここでもしっかり指差しをいただく。
俺を、俺という存在を、ミュージックちゃんの短期記憶領域の海馬から長期記憶の側頭葉へ移動させなければいけない。
側頭葉にねじ込めばもうこちらのもの。悪い意味でも悪い意味でもアイドルはヲタクのことを忘れられない。

こうして、
・ 空港入待ちで「Please find me.!」
・ 「NO MUSIC NO LIFE」タオル攻撃2回
と伏線を張ることに成功。

さあ、あとは本番である。
本番とは本番。試合、試み合いではない、一発真剣勝負。
メンバー降臨タイムでミュージックちゃんが近くに来た時。その撮影可能タイムでどれだけ結果を残せるか。
求められているのは結果。
思い出ではない、メモリーではない、デジタルデータで残せる結果だけが求められている。

はっきり言おう。
感謝祭なんてのはメンバー降臨タイムのみが本番で、メンバーがどれだけ頑張ろうが、2階席のこっちとしては知ったこっちゃないし、ぶっちゃけ2時間のコンサートよりも30分間降臨タイムがあるだけでいい。
ミュージック席は2階席の末端。はっきり言ってクソ席である。


コンサートの評判なんかは後から聞く範囲だと酷評が95%という印象だが、こちとら最初からコンサートなんか見る気はないし、コンサートなど存在していないていで来ている。
だから、セトリもパフォもどうでもいい。感想は皆無。
これから記すのは感謝祭の本質であるところの、降臨タイムについてだけ書く。降臨タイムと言う名の戦争、私にとっての戦記だ。

一応、ミュージック&チャープランで「てもでもの涙」を披露していた。良かったし分からなったとも言える。モニターも遠いし、双眼鏡を持たないので「ミュージックとチャープランがてもでもの涙を歌っている」以外の感想はない。
感謝祭の肝である降臨タイムについてだけ書けばそれは感謝祭全体の感想になるからいいでしょ?

「オキドキ」「あなたがいてくれたから」「希望的リフレイン」の3曲が降臨撮影可能タイム。
しかし、ミュージックちゃんがいたのは実質「あなたがいてくれたから」だけと言ってもいいくらい、遅く来て早く帰ってしまった印象。

私撮影の、ミュージック席からの映像はこちらで確認していただければと思います。


https://www.youtube.com/watch?v=xPz-eszMQ4s

そして、その動画からミュージック降臨タイムだけを切り取った動画がこちら。


https://www.youtube.com/watch?v=YJWjtksvy5s

5分強。
17位~100位感謝祭コンサートは5分強だった。

だがこの5分強は最高だった。
その昔、柏木由紀は握手会のことを「10秒間のデート」と表現したことがあるが、その表現手法を借りるなら、8月1日の感謝祭は「5分強のミュージックコンサート」であった。5分あれば音楽は世界を彩れる。音楽の力。ミュージックパワー。

席が通路側だったのが勝因だ。勝因の殆どだ。
それは分かっている。分かっているが、5月に初めて遠くからBNKを、ミュージックちゃんを見てから3ヶ月。
よくここまでたどり着けた。修行はまだまだ続くが、しかして一つの到達点に来たような感慨が私の内なる部分を満たしていた。

ミュージック投げキッス被弾。
ミュージックダブルピース被弾。
ミュージックぷく顔被弾。
そしてトドメは、ミュージックちゃん最大の超必殺技「ピッカチュ~」被弾。

真空波動拳からの昇龍裂破からの覇王翔吼拳からの瞬獄殺。

カプコンかSNKか、格闘ゲームのキャラが如く、私の体力ゲージはクリティカルヒットの連続で残0になったのでした。

空港俺お出迎えからの横浜アリーナミュージックお出迎えからの降臨タイム。
下準備、タオルプレイ、そして訪れる超本番神降臨撮影可能タイム。

撮影可能タイムゆえに、iPhoneを構えながらの戦い。タオルは使えない。
しかし何とか「結果」をデジタルデータに残すことができた。
ここで私は気がついた。

私はうちわを持っていない。
私はペンライトを持っていない。
私はフリップを持っていない。
私はスマホ片手にメンバーを追いかけてアクティビティを稼げる動画を撮る能力を持っている。
私はノウハウを持っていた。

そう。
アイドル界最大の撮可アイドル、チーム8。
チーム8の地方イベント、パレード現場、1日警察署長、コンサート中の撮可タイム、夏祭り、出待ち入待ち、etc。
スマホ片手にメンバーを撮ることに関しては相当に経験を積んできた。チーム8を見るということは、それすなわち片手スマホ観覧レスキャッチャー現場であった。
メンバーに渋い顔をされたり、スタッフに怒られたり、ヲタクを怒らせたり、紆余曲折なスマホ片手動画撮影道を歩んできた私。
最早48系コンサートでのスマホのみ撮影可能タイムでは、通路側のみならず通路側付近なら「勝てる」状態であったのだ。

私の中の愚地独歩氏が雄弁に語りだした。

「ただでさえエイターは常日頃メンバーの写真を、動画を撮る練習ばかりしてるんだ。メンバーを撮ることに時間を割く。言ってみればこれはおめー、不意討ちだぜ。俺たちはすでに武器を身につけちまってんだ」
「たとえ一握りのミニうちわ、一本のペンライトであろうとも、撮影可能タイムで手にしたなら、エイターの誇りは崩れ去る」
(私はエイターではないし、エイターが皆撮影しているわけではないことは分かっているし、そもそも撮影している人の中心は静止画であるが、ここでは語感の響きと便宜上エイターとする)

声とリアクションでメンバーからルックをもらい、それを動画に収めるテクニックを有しているって、こりゃおめー、他の48ヲタに対して不意討ちだぜ。
だから俺は徒手空拳で挑まないといけないんだ。
うちわもフリップも使わねー。手に何も持たないから空手。片手にスマホ、片手に何も持たないから俺。

ここまで読んで、「それはテクニックではなくて、厚顔無恥がすぎるだけなのでは?」と思ったそこのあなた。
正解。
大声で喚く図太さと、メンバー誰でもいいって精神があれば誰にでもできる。
最悪害悪公害ヲタク。

そう思った、これを読んでいるあなたへのメッセージを送る。

「自分だけ楽しければいい」

……。
まあとにかく。
改めるほどのことでもないのだけれどもどもども、ミュージック席にスマホのみ撮可タイム慣れしているタイ人はいないし、なんなら隣の松岡はな席、日高優月席にも目立ったそういう人はいなかった。
なので、今までのチーム8で得たノウハウを爆発させてミュージックちゃんにリアクションしてもらい、そして「ピッカチュ~」をしてもらったのだ。

もちろん、関係性があれば、メンバーの方がサービスしてくれるんだし、本来メンバーのサービスお礼タイムとしての降臨タイムなのだが、それはそれ、これはこれ、ヲタクとヲタク、俺が、俺だけがおいしければいいの精神で頑張りました。

「希望的リフレイン」が始まるとさっさと帰ってしまったミュージックちゃん。


「希望的リフレイン」の指差しまで動画で抑えられたならやばかったな、とそれに関しては、もっと時間たっぷり降臨しろと、運営にもの言うヲタクになってでも、訴えたいと思ったことでございます。

ミュージックちゃんが去り、残0の体力ゲージでフラフラの中、私は確信しました。
「最大火力がくる!」
ミュージック砲が火を噴く。
我がiPhoneに収められたミュージックちゃん動画を世に放てば、どこかのサーバーのクラウドに放てば、RTといいねが雲から雨霰と降ってくる。

クソ席の特権「スマホいじっていてもいいっしょ、別に。ステージあんなに遠いんだしー」を行使。
クソ席に座りしものだけが行使できる、ステージ見ないでスマホいじいじ。
松岡はなちゃんとの2ショット、ミュージックちゃんの投げキッス、そして最大火力が見込めるミュージックちゃんの「ピッカチュ~」の部分を切り取り、事前に登録してあったBNK絡みのハッシュタグを付けてツイートを投稿。

結果。
予想通りではあるが予想外のRT、いいねのビッグバン。
RTといいねのカンブリア紀。
最大火力にもほどがある。

さらに「いいね」欄の中には、なんとHKT48田中菜津美がいたのである。


「ミュージックちゃんの力を借りることでツイートをバズらせる仲間」と私が勝手に呼んでいる、なつみかんこと田中菜津美殿。

私と田中菜津美。
アンチッチとなつみかん。
この2人の共通点は「アクティビティ乞食」なり。

ミュージック席とは、7800円でアクティビティを買う席なり。
チケ代はコンサートへの対価ではない。
RTといいねを金で買う行為だったのだ。

ほぼタイ人からの通知が鳴り止まない中、感謝祭はいつのまにやら終わっていた。

私はコンサートを見に来たのではない。
最初から降臨タイムのみを目的としていた。
アクティビティのみを目的としていた。
戦争に来た。
レス争奪戦とアクティビティ獲得戦。
なので、私のAKB48グループ感謝祭の評価は「最高」ということになる。
目的通りの結果だったのだから。

圏内、圏外含め感謝祭に参加された方はこれを読んでいる中にどれくらいいるのだろう?
感謝には色々な形があるのだと思う。
あなたの推しメンはどのような感謝でしたか?
あるメンバーは笑顔で、あるメンバーは目に涙を浮かべながら、それぞれの言葉で、それぞれの態度で、「ありがとう」を、感謝を伝えてくれたと思います。
そして、私にとっての感謝とはアクティビティのことなり。
感謝が数値化される。
己の心が満たされる。
初めての経験である。
目に見えないはずの「想い」である感謝が数字で提示される。
なんと面白いのだ。
これはミュージックちゃんがワールドワイドアイドルだから成せた特異な事象だ。
「ピッカチュ~」1発で「感謝」を「数値化」して私に届けてくれた。

そしてこの事象が起きたのは「48」である。

好きなメンバーの幸せを願う型のヲタクではない私は、ただひたすら面白いことだけ探している。
はっきり言って面白いアイドル現場だけが好きだ。
そして48は今なおMAX面白いと断言できるだろう。
海外に目を向けた途端、48はまだまだ新技を生み出し続ける、アイドルイノベーション現場なのだ。

半年前まで予想もしていなかった、BNK48メンバーがもたらした大革命。
それに乗っかることで得られるエクスタシィ。
エクスタシィという名のガンギマリ。

感謝祭で得られた、ミュージック砲の火力が今もまだ私の中で燃えている。
感謝祭は勝ったが、ミュージック砲に被弾しているから死んでもいる。

もっと死にたい。殺されたい。

はやく行かなければならない。
タイに。

タイに行きた、い、タ、ィ…。

(タイに行きタイ。こうしたことを「あえての文脈」で発することに躊躇はない。私は陽気に、大声で「タイに行きタイ」と発するつもりだった。しかし、喉からその言葉はついに発せられることはなかった。終戦の安堵感に包まれた私は新たな目標を失いかけようとしていたのかもしれない)



ああ、その時です。背後の兵舎のほうから、96人の少女たちが放つ音が、幽かに、「ネッコヤ~」と聞えました。それを聞いたとたんに、眼から鱗が落ちるとはあんな時の感じを言うのでしょうか、悲壮も厳粛も一瞬のうちに消え、私は憑きものから離れたように、きょロリとなり、なんともどうにも白々しい気持で、夏の真昼の砂原を眺め見渡し、私には如何なる感慨も、何も一つも有りませんでした。



感謝祭という戦争は終わった。
終戦とともに聞こえてきた音。
それは言葉なのか?メロディーなのか?

「ネッコヤ~」
この響きは、音は、なんなのだろう。
「ピッカチュ~」からの「ネッコヤ~」なのか?

私はどこに向かうのか?
分からないがそんなものは決まっている。
分からないけど決まっている。
極東からただひたすら西に向かうということだ。

さあ、新たな「感謝」を探しに、徒手空拳、何も持たずに向かう。
頭で鳴り響く「ネッコヤ」を探しに。



参考文献
板垣恵介「バキ」
太宰治「トカトントン」

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