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黒田 美紀のアンティーク・ストーリー -ブレスレット編ー
こんにちは。
黒田 美紀です。
突然ですが、皆さんはブレスレットはお好きですか?
実際に使っている数と他のアイテム(指輪やネックレス等)をまとめた数をざっと頭の中で比べてみてください。
パワーストーンの珠にゴムを通したものは、今回は除いてくださいね。
いかがでしょうか?
ちなみに私は、ブレスレットほんの少ししか持っていません。
きっと、多くの方が、私と同じではないでしょうか?
「いやいや、他のアイテムよりずっと多く持っているわ」という方は、
日本人離れしたおしゃれさん。
ここから先は、読まなくても大丈夫かもしれません。
いえ、読んでいただきたいですけど(笑)
実は日本人が一番持っていないアイテムは、ブレスレットだそうです。
腕時計の存在が影響でしょうか。
思えばケータイ普及以前、日本人の腕時計の着用率は外国人のそれに比べて高かった様に思います。
私自身、事務系会社員時代からの葛藤でした。
幅のあるものを着けたい場合、腕時計の定位置を左手にすると、利き手の右手にブレスレットを着けざるを得ない。仕事しづらいですよね。
特に字を書く時。
当時は時計がないと本当に不便でしたから、懐中時計の購入を真剣に検討したほどです。
今はスマホで時間を確認できるから、悩み解消です。
ところで
アンティークにはブレスレット、たくさんありますが
どうしてだと思いますか?
20世紀初期まで、イギリスの貴族の女性は日常の家族との夕食時でも、ロングドレスとロンググローブを着用していました。
余談ですが、当時ドレスの時ロンググローブを身につけていないのは、
人前に裸で出るのと同じだったそうです。
それを知ってから、映画を見ていてロマンティックなシーンではグローブを外しているのに気が付きました♡
そのサテン生地のグローブの上にそれらを着用していたのです。
今を生きる私たちが、
石をたくさん使っているブレスレットが、セーターの袖口にひっかかる。。。
のは、当時上から袖を通すような服を合わせていなかったからなのです。
以前勤めていたお店で、新着品が入荷すると接客に備えて試着していました。
特にブレスレット類の試着はマスト。
おかげさまで相当数を試す機会に恵まれました。
アンティークのブレスレットの中でも、石やパールをちりばめて使ってあるゴージャスなお品は素肌に乗せるより洋服の上に合わせた方が断然映えるのです。
幸いなことに骨格の違いで、アンティークには大きめサイズが多いのですからお洋服の上から着けて楽しみませんか?
ブレスレットとリングは、着用時にお連れ様のみならず、
ご本人も楽しめる宝飾品です。
しかも嬉しいことに、アンティークやヴィンテージのブレスレットは、
素材も価格も多種多様。
今作ったら、そんな細工のものをその価格では手に入りません。
アンティークはオーダーした方が、大部分の費用を払ってくれているのです。
気軽に試してみてください。
ブレスレットの形状
・チェーン状又はパーツが連結されているもの
10年以上前、K18Goldの長めのチェーン(下の写真)の一部をカットして
引き輪を取り付け、ブレスレットにも使えるように試みたことがありました。
3way化を狙ったのです。
<長い一本又は短めのネックレス+ブレスレット>
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1900年頃 フランス
船底型のモチーフの中に、フィリグリー細工(極めて細い金属の線を用いてデザインを作る技術のこと)が美しい。現代では金細工はイタリアのイメージが強いけれど、フランスのアンテークのそれはとてもエレガントで素敵です。意外に丈夫で、日常にも使えます。
結局元に戻しました。。。
たとえ最大のパーツが1.7㎝程度の薄いパーツでも、つけ心地が悪かったのです。最初は長さの問題かと思いましたが、問題はパーツの形状にありました。
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20世紀中期 英国
一つ一つのパーツに微妙なカーブが。
ヴィクトリアンの同様のブレスレットは中空ですが、こちらは違います。なので比べると重さが違います。スッキリしたデザイン、しっとりとした重さでつけ心地がとても良いです。
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めのうを縦に薄くカットして、縦の層を楽しむ。
ケーキの断面と同じですね。
彫りを丁寧に施したシルバーのフレームと共に、メノウにも微妙なカーブが。
こちらのパドロックは両面に細工が施されています。
ブレスレットのパーツは、小さめでも手首に馴染む様に微妙にカーブ
しています。。
アクセサリーの作家さんがお読みになったら、呆れられますね。
それ以来、意識してみていると結構みかけます、その手のブレスレット。
チャームブレスレット
アンティーク&ヴィンテージには、チャームブレスレットをよく見かけます。
現代のブランドのそれとは、まったく異なる唯一無二のものです。
一見ごちゃごちゃで、何がついているのかわからないものが多いですが
付いているチャーム4個目を観察する頃には、その持ち主の好みや、趣味、生活環境が想像つきます。というのは、持ち主が少しづつ買い足していったからなのです。
例えば
・旅先の地名の入ったものや、船、車、旅行鞄、地球儀など旅行関連
・小舟、魚かこなど港町関連
・楽器や楽譜の音楽関連
・幸せいっぱいウエディング関連
など
楽しく幸せな思いにあふれているので、アンティークは初めての方にも抵抗が少ない思います。
Gold製もたまに見かけますが、Silverでしたらお手頃価格で楽しんで選べます。
ついているチャームが多すぎるようなら、いくつかバランスをみて取り外してペンダントヘッド等として使ってみても良いですね。
その場合、フォルムがシンプルですっきりしているものを利用するのがおすすめです。
長さ
着脱の時用に、少なくとも反対の手の人差し指の第一関節くらいまで入る余裕は確保しておいた方が良い様に思います。
差し込んだ人差し指で金具を押えて、親指で引き輪を引いたり、差込金具を押しひいたり。
実用のみならず、ブレスレットは少しゆとりを持たせて動きを楽しむアイテムだと思います。
留め金
引き輪、カニかん、差込金具、そしてパドロック(南京錠)
このパドロックはアンティークならではと思います。
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『パドロック(南京錠)』
あえて全部広げた状態。
使うときはあらかじめパドロックを片方の丸カンにかけておけば、着脱時にもう片方の丸カンを入れたり外したりするだけで良い。
パドロックにもセーフティーチェーンが取り付けてあるので安心
2~3回練習すればすぐ慣れます。是非試してみてください。
大人の女性にこそカジュアルにつけていただきたいです。
向き
上下があるモチーフの場合。例えば小さなカメオがいくつか連結されているブレスレット。
たまに向き(まっすぐか逆さまか)に関するご質問をいただきました。
諸説あるようですが、これといった決まりは無いようです。
個人的にはカメオの逆さまだけは、ちょっとカメオが気の毒に思います。
・外枠の形状が変化しないもの別名『バングル』
形状とサイズ感
特にバングルのサイズ感は試着してみないとわかりません。
指輪もそうですが、幅広のものは実寸よりもきつめになります。
(手首も上に上がるほど太くなる、更に密着度があがる)
理由は内周の形状にあります。
横から見るとその楕円の形が、みんな微妙にちがうのです。
細長く狭かったり、ふっくらとした、高さのある円だったり。
結局のところ、手首の裏側のお肉の付き方や骨格の違いだと思います。。
気に入ったデザインと手首の形が合う人のところにおヨメに行く。
シンデレラのバングル版ですね♡
ベークライトやアクリル製の太めかつ真円のバングルも、
サイズ感が難しいです。
MP関節(指の付け根のコブ辺り)の幅と手の厚みによって、輪っかに手が入らないなんてこと、しょっちゅうです。
そんなわけで、金属製のタイプはもちろん、コスチュームジュエリーのバングルは購入する前に試着することをお勧めします。
セーフティーチェーン
着脱の際、留め具が不安な場合は、下の写真の様にセーフティーチェーンを取り付けると安心です。。
チェーン型のブレスレットの方が、後付けしやすいです。
着用可能な作りの場合、取り付け位置にもよりますが、セーフティーチェーンの長さは7㎝ほど。
ただ、無い方が見た目がすっきりします。
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1997年 英国
こちらはほぼ現代
でも作りが良くて、リーズナブルだったので、連れて帰りました
内側の作り
金属製のバングルの場合、内側の処理によって着用感、サイズ感が随分変わります。
下のシルバーのバングルは中空です。
外枠には手彫りでカーブ、内側のはシンプルに塞いでいます。
腕へのあたりが優しく、つけ心地がいいのです。
赤ちゃん用のシルバーのスプーンがあるくらいですから。
無い場合は縁は太くしてレール状に処理されています。
当然のことながら内径が大きくなります。
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内側の処理もさることながら、蝶番(留め具の反対側)の細工もとてもきれい。
このようなバングルの様に、二つがピターッっと合わせるのは一見地味で当たり前にみえますが、とっても技術が必要なのです。
こちらは彫りも繋がっています。
シンプルだからこそ、ごまかしが効かない卵料理みたいだと思っています。。
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指でなぞってもどこが接続部分かわからない
いかがでしたでしょうか?
アンティークのブレスレット個性をおさえておけば、
ご自分のところにお迎えするか否か悩んだ時の目安になります。
うんちく言っておりますが、
私は
「惚れた弱み」
「着けたい気持ちが最優先」
で気に入ればすべてを受け入れて愛用する派 です笑
最後までお読みいただきありがとうございました。
皆さんのジュエリーライフに少しでもお役に立てれば嬉しいです。
それでは、次回も楽しみにお待ちくださいね。
アンティークス ミキ
黒田 美紀
www.antiquesmiki.com
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