黒田 美紀のアンティーク・ストーリー -オパール篇ー
こんばんは。
そして10月生まれの皆様、お誕生月おめでとうございます♪
素敵な年になりますように♡
10月の代表的な誕生石はオパールですね。
神秘的で角度を変えながらずっと眺めていたいお石、私はオパールがダントツ一位だと思っています。
まずは歴史から紐解いて、その後は主観全開で一気に進めてまいります。
どうぞよろしくお願いします^^
アンティークのオパール
アンティークのオパールを使ったジュエリーは、現代のそれと比べて多いなぁと気付いたのは、アンティークの仕事を始めてまだ間もない頃でした。
なにせアンティーク・ジュエリーに日がな一日囲まれ、おまけにお給料までいただける♪ そんな夢の様な職場環境でその質問をしない理由がない。
当時はまだネットもなかったので、先輩に尋ねました。
答えは
「○○さん(オーナー)の誕生石だからじゃない?」
そもそも、当時開店1年そこそこ。さもありなん。
後に、それも正解のひとつと判明。
話を戻します。
それから少し経ってオパール製品の大部分が、19世紀後期~20世紀初期の作品に集中していることに気づき、今度こそ本気で調べて超納得。
結論を先に
上質なオパールは、イギリスの貴族の元へ.
だからアンティークの良質なオパールはコンディションも良いものが多い
納得できる答えにたどり着いた時は嬉しかった♪
下記オパール発見の歴史はその根拠です。歴史に興味のない方は、
読み飛ばしてくださっても大丈夫です。
逆に「イギリスの貴族の所有物になると、オパールの質はともかく、なぜコンディションも良いの?」と思った方は、別篇『イギリスがアンティーク王国である理由』をご覧ください。
オーストラリアとイギリス、そしてオパール発見の歴史
・1770年 キャプテン・クックがエンデバー号で東海岸に上陸し、イギリス 領として宣言
・1849年 オーストラリアで初めてオパールを発見
・1890年代 市場に出回り始める
・1932年 オーストラリア産があまりにも上質なため、それまでの数百年の間主要産地であった東欧のハンガリー等が、オーストラリア産のオパールのクオリティー高さに、競合することを諦める。結果ほぼオーストラリアの一国勝ちとなリ、世界の産出量の90パーセント以上を占める
・1901年 オーストラリアが『オーストラリア連邦』となるが、現在も国旗にはユニオンジャックがあしらわれ、国家元首は英国チャールズ 国王
オパールは『指紋と一緒』『唯一無二』
「そりゃあ、当たり前でしょう?アンティークだもの。いつも黒田さんそう言ってるし」ってお客様のお声が聞こえてきそうですが、もちろんほとんどの天然石、アンティークのお品には個性があります。
ただ、オパールのそれほど顕著なものは少ないと思います。
オパールの魅力は遊色効果。
『斑(ふ)』 の色は黄、緑、青、紫、桃、そして赤。
その斑が地色と比較してどのくらい見られるか、そしてそのパターンなどで評価されます。
石の地の色、斑の入り方。つまり石の表情×大きさ×デザインで
組み合わせは無限大。
石のカットはシンプル
オパールのカットは、石の美しさを生かす。そして石の性質上乾燥を防ぐ目的で、複雑なカットはぜずにシンプルなカボッション・カット(半球状)がなどが一般的です。
もちろん、良い部分を最大限生かすので、厚みもまちまち。
時には『ボルダーオパール』のように、母岩ごと使われているものもあります。
現代のほとんどのジュエリーは枠を先に作って、それに合わせてカットした石を入れて微調整しています。
昔のジュエリーは、石が先に準備され、石の表情やサイズに合わせ枠のデザインを考えていました。
上質な石には上質な細工なりフレームが施されています。
ジュエリーを選ぶ時全般に言えることですが、他人が見たその人のイメージとご本人の心を揺さぶるジュエリーは、ことオパールについては特に違うことがよくあるように思います。
例えば、いつも和装も洋装も全身品よく、いつもご夫婦でバチっとカッコよくコーディネートしてお出ましになる60代のお客様が、びっくりするほどかわいいイメージの指輪がお似合いになり、いつもそれをお召くださっていたり。そのお客様のチャーミングな内面を垣間見れたようで、嬉しくなりました♪
オパールはそのくらい微妙な違いをお楽しみいただく石なので、お迎えする時はお品としっかりしお見合いして欲しい石の一つです。
主観だけで語ります
前職場では、石にこだわりを持つオーナーの審美眼にファンも多く、商品の回転率が高かったのです。だから幸運なことに私は本当にたくさんの商品を直接じっくり手に取って眺める事ができました。忙しい時には集中的に、暇な時は全体を^^
おかげさまで今の私があります。
ところでオパールの石言葉は『純真無垢』『幸運』『忍耐』『歓喜』『希望』だそうで、みんなそれぞれ素敵ですが、私のオパールに対する勝手なイメージはもっとスピリチュアルな感覚。
薔薇に棘あり、アンティークに媚薬あり!?
悩んでいる間にその品が、他の人のところにお嫁にいっちゃった!は
よくある話で申し訳ない限りなのですが、ことオパールの商品でこのパターンになると、皆様忘れられなくなってしまうのです。時にもっと条件が良いものが見つかっても…「あの子の方が…」となります。
アンティークに限らず作家さんの一点ものと同じですね。
そこで「指紋と一緒で同じものを見つけるのは難しいと思いますので、新着でお好きそうなオパールが入荷した際にはお知らせしますから、楽しみにお待ちください」とお伝えします。
それから年単位の時間をかけて、ようやくお気に入りの品に出会って、
ついには「あの子はこの子と巡り合うための通過点だった」とおっしゃってくださいます。面白いことに、ようやく見つけた運命の子は、ご縁がなかった品とは似ても似つかず、時にはアイテムすら違っています。
沢山ご覧いただくうちに、目も肥え、ご自身を確立されていくのだと思います。ここに至るまでの過程と、更に私自身の同様の経験をも重ねて刺激的な『毒』を感じるのです。
苦しむ毒というよりは、さしづめ細胞を活性化させる媚薬というところでしょうか(´艸`*)
それを言ったら、私めは媚薬漬けでございます(笑)
オパールはお姫様
オパールのモース硬度(他の鉱物によって傷つけられる容易性)が5~6.5で傷つきやすいです。この数値の幅は、産地によるもののようです。
ちなみにダイヤモンドは硬度10です。
オパールは中に水分が含まれているので、乾燥に弱いことが知られています。なので、アウトラインに配されているオパールは爪より大きくありません。これは爪が石を守っているからです。特に指輪、ブレスレットなど衝撃を受けやすいアイテムは、日常使いというよりはデートやお出かけ等でのご着用をおすすめします。手指消毒のエタノール(;´Д`)はお控えくださいね。
比較的近年のエチオピア産オパールの登場によって、オーストラリア産のオパールが改めて高い評価を得ています。
アンティークVS現代物ではなく、お迎えする時はそんな背景もご参考にしてくださいませ。
いかがでしたでしょうか?
仮に『今月の誕生石』とシリーズ化したとしても、
私は他の石にはこんなに語れません。
改めて、オパールの魅力を再確認する良い機会になりました。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
Antiques MIKI
黒田 美紀