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黒田 美紀のアンティーク・ストーリー          今月のおすすめの一点       『サファイヤ&ダイヤモンドリング』


皆さんこんばんは。
そして、9月生まれの皆様、お誕生日おめでとうございます!

今回は9月の誕生石、サファイヤを使ったリングをご紹介します。
サファイヤ。

ダイアナ元妃の婚約指輪。あの12カラットのセイロン・サファイヤのリングは王家の宝石として譲られたものではなく、ダイアナ元妃ご本人が老舗高級ブランド、ガラードのカタログに掲載されていたリングだそうです。
それはさておき、サファイヤはヨーロッパではとっても人気のある石なのです。


サフアイヤといえば、ダイアナ妃


こちらのリング、今はキャサリン妃の指で輝いています。
ダイアナ妃は遺言で、自分のジュエリーは全て二人の息子たちが相続し、将来妻となる女性に引き継がれるようにとしたためたそうです。元妃亡き後、ヘンリー王子がこのサフアイヤのリングを所有していたそうですが、ウイリアム王子が本気でキャサリン妃を愛していると気付き、兄にカルティエの時計と交換してあげたそうです。二人の息子達がが助け合って生きていくことを、切望していた元妃。やっぱり私は英国王室から目が離せません。

アンティークでもサフアイヤはよく見かけますが、ハーフ・フープ(円の半分近くに石がついているから)又は5Stone、3Stone(なぜかイギリス人のディーラーは複数形のSをつけない)と呼ばれる、シンプルな横に並んだデザイン。又はダイアナ元妃のそれに似た、大きめのサファイヤにダイヤモンドの取り巻きガ圧倒的に多いです。そのほか時代が上がってアールデコのモダンなデザインでしょうか。
日本でも、サファイヤはマダムのイメージの物が多い様に思います。

そこで!
こちらのリングをご覧ください。

K18Goldサファイア&ダイヤモンド・リング
20世紀初期 フランス又はコンチネンタル

デザイン

よくあるクラスターのリングじゃないの?なんて言わないでくださいませ。ダイヤモンドのカットと留め方にご注目を。

その前に、『クラスター・リング』?
その名前って、2~3年前によくTVで聞いた…(・□・;)
なんて驚かないでくださいね。

*クラスター・リングとは
中央の石を中心に周りを一回り小さい石で囲むお花の様なデザインの指輪のこと。石と石の間が同じ間隔で詰まっていて、19世紀後期にイギリスやフランスで特に流行しましたが、それ以前からある伝統的なデザインです。
ダイヤモンドの代わりに、パールでこのデザインにしたものも定番です。
もちろん今でもよく見かけます。
今のシャネルのハイジュエリー、カメリアコレクションの指輪など、まさにそのものですね。
もしこちらのリングが、サフアイヤでは無くてルビーだったら、きっとここまで素敵ではなかったと思うのです。甘すぎて。

下の写真はヴィンテージのオパール版。

K9WG オパール&ダイヤモンド クラスター・リング
20世紀中期 英国
Vintageです。
シャンクはYG,オパールとダイヤモンドは白い金属で留めた方が、石のきれいな色が引き立ちます。K9だから硬いので、シャンクが細くても安心。
こちらは、年齢を問わずに楽しんでいただけます。
お若い方は一つで充分。お手をキレイに見せてくれます。
私世代の方は敢えて、遊び感覚で楽しんでいただきたいリングです。

セッティング

さて、先ほどから『定番』『よく見かけます』『伝統的デザインです』と連呼していますが、こちらのサファイアのリングは激レアなのです。
それは留め方によって、ダイヤモンドの花びらをGoldのツヤで縁取っているところがです。
ヴァンクリーフの『ナーヴァル・クリップ』みたいと言えば伝わるでしょうか。でも、こちらの方が細工がとっても細かいのです。
なぜかというと、その縁取りが、平坦ではなくて、自然な花弁の様にウエーブがついているので、それがキラキラ光るのです。

アンティークのダイヤモンドの代表的な留め方の一つに『覆輪留め』という、石の下部を筒で覆った様な留め方があります。ミル打ちで有名な留め方です。そちらは『面』で石を覆いますが、こちらは『線』で留めています。
それとは似て非なるセッティングです。

横から見るとティアラの様なデザイン。『リング篇』でも書きましたが、
リングの横顔は大切なチェックポイントです。
ダイヤモンドの花びらのフワッとした作り。
曲線に石留め♥
そしてショルダー部(お花の両横の金のベルト飾り)が良い仕事をしています。

そして中央のサファイアは、爪で留めで一段高い位置にセットしています。
ダイヤモンドの輝きが、サファイヤを引き立てているようです。
サファイヤの色も夜空ほど暗くなく、美しいです。

カット

話を戻して、ダイヤモンドカットはローズカットです。
アンティークでこのデザイン、しかもGold フレームでローズカットはかなりレアです。カット数が多くない=一つのカット面が大きいのです。石の透明感を楽しめます。そしてまた輝きがダイナミック。

*ローズカットとは
ローズカットは、ミラーボールを真ん中で横からカットした様な形です。
ローズカットの場合は、ほとんど石の裏がふさがっているのです。

ローズカットの名の由来は、薔薇の花の蕾を上から覗くと三角の集合体なのですね。ローズカットも半球の曲面に三角にカットされています。そのネーミングセンスに脱帽です。

シャンク(輪の部分)

そして、最後にシャンク(輪)部分の作りです。

後ろにフレンチの刻印らしきものが残っています。
刻印をうつ場所もフレンチのそれと一致しますが、不鮮明で断言できません。
金属は鑑定機関で調べてもらったところ、K18とのことでした。

繊細なつくりです。
サイズは裏の窪み分も考慮して11号。事前に修理屋さんに確認したところ、
±4号まで調整が可能とのことです。サイズ決定後に、シャンクのデザインの部分のバランスを考えたいと思います。
もちろん、裏の刻印はできる限り残すように努力します。

最後に
こちらのリングの最大の魅力は、ローズカットのダイナミックな輝きとそれを縁取る細いGoldのフレームのコラボレーションです。

私の拙い写真では、その魅力をお伝えできずごめんなさい。
下にHPとインスタのリンクを貼りますので、興味のある方はぜひ催事会場までお運びいただければ嬉しいです。
通常こちらのリングは露店催事には、持参しておりません。
ご興味のある方は、下記お問合せフォームより事前にご連絡いただければ、持参いたします。

当店『見るだけ大歓迎』のお店です。
皆様にご覧いただくと、ジュエリーも私も喜びます(*´▽`*)

皆様のご来店をお待ちしています。

Antiques MIKI
黒田 美紀



https://www.instagram.com/antiques.miki/








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