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黒田美紀のアンティーク・ストーリー イギリスとフランスのジュエリーの特徴
皆様こんにちは。
来年1月に仕入れに参りますが、今回も他国に足をのばさずイギリスでじっくり良いものを探してこようと思います。
ところでアンティークジュエリーの世界では、作られた国として、
イギリスに次いでフランス、アメリカ、イタリア、スイス、ドイツ、ロシア…等出てきます。
皆様はこれまで店頭でアンティークに限らず、ジュエリーを見た時に国名を意識しますか?
ブランドから探すことは多々あると思いますが、国による違いの説明はあまり見ない気がして、例によってアンティークをベースに主観全開でざっくりと書いてみました。
イギリスのアンティーク・ジュエリーの特徴
・国王の個性による時代のスタイルがはっきりしている。
・その時々の経済や時事の影響のみならず、女王や王妃の個人的な好みが色濃くでている。
・正統派のイメージ。
・ホールマーク(国や素材を示す刻印)のシステムがわかりやすい。
1. 時代別のスタイル
ヴィクトリア時代(1837-1901)
・ロマンティックで装飾的なデザイン
・感傷的なモチーフ(愛や追憶を表現)REGARD、ADORE、DEARESTなどの 石の名前の最初のレターをとった言葉遊び
(例:REGARD ⇒ルビーR、エメラルドE、ガーネットG、アメジストA、ルビーR、ダイヤモンドD))
・ヴィクトリア女王のイメージ、当時のドレスに合う大きめサイズ
・ガーネット(女王がお好きだった)
・スコティッシュ(タータンチェックに合わせる、メノウを使ったもの)
・スネークモチーフ
![](https://assets.st-note.com/img/1732172912-FRt7zX8i6m9IldaA0DskM1Vg.png)
英国東インド会社HPより画像引用
わずか18才で即位。
17年間に子宝を9人もうけ全員無事ご出産。
身長152㎝、体重57kgのふくよかだった。
この時代、印刷技術の発達によって王家の肖像の需要が高まり、これを受け入れた女王夫妻の写真画像の普及により、産業革命で生まれた中産階級の女性のファッションでもお手本になった。
現存するヴィクトリア時代のジュエリーの数が多い理由でもあります。
・「モーニングジュエリー」(喪の装飾品)
ジェット、ピクェ、エナメル
![](https://assets.st-note.com/img/1732454543-vb6yd3S5KBzmngWl4FPJxVOe.jpg?width=1200)
ウイットビー地方がJetの産地として有名。
現代では、喪に限らずパーティーにも着用可能。
エリザベス2世国葬に参列した皇后雅子さまがJetをご着用になり現地で称賛されたことは、
記憶に新しい。こちらは薔薇の花を彫ったもの。全てオリジナルは希少。
1861年最愛の夫アルバート公を亡くし女王は10年間にわたり喪に服しました。
謁見する際には喪服を着用しなければならなかった期間が長かった為、いろいろなデザインのJetが作られました。喪には二連以上はタブーというのはイギリスはないようですね。
Jet 三連ネックレス
19世紀中期 英国
エドワーディアン時代(1901-1910)
・繊細なレース模様のような透かし細工
・白の時代(ダイヤモンド、プラチナ、ホワイトゴールド、パール)
・プラチナの使用が増加
・上品で優雅なデザイン
・スリムなアレキサンドラ妃のイメージ
![](https://assets.st-note.com/img/1732173483-IBE869S5iVKRHXD4WwGa0qNm.png)
Wikipediaより画像引用
デンマーク国王の長女、
ヴィクトリア女王の長男エドワード7世の妃
長身でスタイルも良くごらんのとおりの美貌。
7年間で6人の子供を授かり、このウエストよ
Σ(・□・;)
王室の華であり、慈善事業のパトロンであり、良き母の姿はのちのダイアナ元妃を連想させる
まさにエドワーディアン・ジュエリーの化身。
![](https://assets.st-note.com/img/1732181677-WcdqBLa4osVnk9ZR3FulGiNt.png?width=1200)
小さいダイヤモンドのカットは古いローズカット。
このころは金の供給も安定してきたので、
地金も厚みがでました。
また表面がPtで裏がGoldのアンティーク独特のつくりです。それについては別途書きます 。
Pt,Gold,ダイヤモンド&パール・バーブローチ
20世紀初期 英国
2.品質の特徴
・貴族のオーダーによってつくられた
・確かな職人技術
・貴重な宝石の使用 (オールドカットダイヤモンド、発掘直後の質の高い石などが使われている)
・現代では再現が難しい丁寧な手作業による仕上げ
・大量生産ではなかったので、他人とかぶる可能性が低い
3.特におすすめのアイテム
・シール(紋章入り印章を利用してペンダントヘッドとして使用)や
シグネットリング
![](https://assets.st-note.com/img/1732185409-PgnK42lz8pDYFSsyx7BokJ1A.png?width=1200)
正式にはFob seal(フォブ・シール)といいます。
外国で手紙の封印をロウで留めているを見たことがありませんか?あれです。日本のハンコです。
カメオ同様、彫り物が好きでたまりません。
好きすぎて、全身の血液が逆流してしまうので
なかなか書けないのが悩みです。
Rolled gold(被せ金)
刻印部分 左:コーネリアン 右:ブラッドストーン
シール 19世紀初期 イギリス
4. 現代でも使いやすい理由
・クラシックなデザインは流行に左右されにくい
・世代を超えて受け継げる
・日常使いからフォーマルまで幅広く活用可能
・現代のファッションとも相性が良い
・価格レンジが広い
フランスのアンティーク・ジュエリーの特徴
猫足に代表される曲線、女性的。華やか。
1700年代は世界の流行の中心はフランスでしたが、革命によりそれまでの財宝は失われました。
しかし世界で名だたるジュエラー(ブティックも)の多くがフランスの会社なのは言わずもがな。
1.時代別の特徴的なスタイル
ナポレオン時代 (1800年代前半)
・シンプルで品のある雰囲気
・真珠やダイヤモンドをよく使用
・蝶や花のモチーフが人気
アール・ヌーヴォー (1800年代後半)
・花,蝶,トンボ、カゲロウなどの繊細な模様
・エナメルという色付きの装飾が特徴
プリカジュールエナメル(ステンドグラスみたいな作り)、マットエナメル(パステルカラーで透明感の少ないマットな仕上がり)、リモージュエナメル(リモージュ地方でつくられた女性や天使のモチーフが多い)等
・髪をなびかせた女性の横顔
・ルネ・ラリック
・ホーン
・自然をモチーフにした曲線的なデザイン
下のデザインは初めてみました♥
まさにNECK-LACEです♪
![](https://assets.st-note.com/img/1732182458-crEtFMXQNnVZilzALa72HhdU.jpg?width=1200)
しかも後ろまで全てマーユ。
大きすぎず、絶妙なサイズ感の大人可愛いネックレスです。
K18Gold フィリグリーネックレス 20世紀初期 フランス
SOLD OUT
アール・デコ(1920‐30年代)
・直線的で幾何学的なデザイン
・大胆で現代的な雰囲気
・ダイヤモンドと色石を組み合わせた華やかさ
注意:イギリスにも上記アール・ヌーヴォー期、アール・デコ期有
2.品質の特徴
・K18の細工が見事
・一つの作品に複数の色のゴールドを使用
・裏側まで丁寧に作られている
・金、銀、プラチナ等上質な素材を使っている
3.よく見られるデザイン
・色使い(白:ダイヤモンド、青:サファイヤ、赤:ルビー、緑:エメラルド)の組み合わせが多い
・指輪:大きな宝石を使った豪華なもの
・ブローチ:細かい装飾が施された花模様
・カメオ(主にハードストーン)の良さを引き立てるフレーム
![](https://assets.st-note.com/img/1732186118-6xA9ct0M2bo3daJzyXRUCI81.png)
このベースの色は合わせる服の色によって表情が変化。
いかにもカメオしていないところがポイント。
ハードストーン・カメオにしては、とっても使いやすいサイズです。
プシュケのモチーフでしょうか?
神話の世界に導いてくれた
私にとって幼馴染の大親友ようなお品
ついに当店のショップカードに登場
K18Gold H・Sカメオ・ブローチ
19世紀後期 フランス
4.特におすすめのアイテム
・Goldのチェーン
当時大流行したので、デザインもいろいろあります。
チェーンについてはツヤがあるものが好きです。
・カラーゴールド&金細工のブローチ
・ホーン(水牛の角)・ジュエリー
5.現代でも使いやすい理由
・現存するもののほとんどは貴族用!?ではない為、現代でもつけこなしやすいものが多い。
・サイズが小さめな傾向があるため、個性が強いデザインでもさりげなく着用できる
・石留めが現在のものに近いので、お手入れしやすい
![](https://assets.st-note.com/img/1732182996-wib9ZlxSUnphRKt7L36JI42G.jpg?width=1200)
お花の光沢が印象的です。
ドラマ『ダウントンアビー』で次女のイーディスが似た感じのものを着用していました。
20代から一生使えるドラップリー。
いかがでしょうか?
K18Gold ドラップリー・ネックレス
20世紀初期 フランス
いかがでしたでしょうか?
それぞれの個性を知るご参考になれば嬉しいです。
Antiques MIKI
黒田 美紀
![](https://assets.st-note.com/img/1732256717-KaLMOIv9ZFEPkxT7RpHq1Vt6.png)
注意
こちらは、作者の思いの詰まった文章です。
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