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人間の心の構造について(その2)

<ユングの心の構造図を内外逆転させる>

前回、ユングが考える人間の心の構造を図示した。
この図をもう一度よく見ていただきたい。細部に目を凝らすというより、全体を眺めてみていただきたいのだ。

ユングの心の構造図


どうだろう、心の構造の中核に集合的無意識という領域があり、そこから放射状に各層が拡がっているイメージだろう。集合的無意識の領域はまるで宇宙にぽっかり空いたブラックホールのように見えないだろうか。湖の喩えで言えば、湖の底にぽっかりと底知れない穴が空いていて、何もかもがそこへ飲み込まれていくようなイメージに見えないだろうか。
この図では、何が心の中心にあり、何が周縁なのか、ということはよくわかる。ただし、その中心こそ、領域としては本来もっとも広くて深いはずだ。この図ではその広さや深さはわかりにくい。そこで、私はあえてこの図の内側と外側を逆転させたい。
それを試みたのが、冒頭に掲げた図(その左側)である。(以下に再掲)

心の構造図(ユングとの対比)

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