レベルデザイン、でもその前に(3)レベル進行の2つのパターン
Valveのドキュメント
ハーフライフやポータル、steamの運営で有名なValve社は優れたゲーム会社でもあり、ゲーム製作やレベルデザインについてまとめたコミュニティページを持っています。
多種多様な記事が用意されていますが、レベルデザインに関して興味深いのはレベル進行とそれにあわせた構造を紹介した2つの記事です。
バウンスとループ。バウンスはボールが地面や壁にぶつかってはずむように「行って、同じ道を戻る構造」で、ループは「スタート地点とゴール地点が同一の場所である構造」を指します。
こちらの記事をもとに、レベル進行について考えたことをまとめてみました。基本的にはValveの記事の繰り返しになっていると思いますが、もう少し噛み砕いて覚えやすくできれば…
レベル進行とは
プレイヤーキャラがどのようにレベルを進んでいくかの順路です。
向きや方角といった情報は持たず、スタートとゴールをどう結んでいるかを図化しています。
レベル進行は2種類しかない
レベル進行、スタートからゴールまでのパターンは2種類しかありません。(と思います)
タイプ1:【ストレート】
スタートから移動を開始し、ゴールに到着するとレベルクリアする進行パターンです。
「ストレート」は多くのミッション形式のゲームで採用されているスタンダードなレベル進行です。マリオならゴールに到達してボスを倒せばクリア、アンチャーテッドでは遺跡の最深部で財宝を手に入れればクリアです。
ゴールまでに道中に様々なイベントがあったり脇道があったりしますが、レベルをクリアはゴールに到着すること(そこでの目的を果たすこと)です。
タイプ2:【ブーメラン】
スタートから移動を開始し、中間地点で中間目的を達成し、再びスタートへ戻ってレベルクリアする進行パターンです。
お気付きの通り、ブーメランはValveの記事のループとバウンスを統合したものです。要は行って戻るレベル進行です。
要救助者の救出、扉を開けるためのカギの獲得、修復パーツの収集など、何らか「現状のスタート地点では満たせない条件」を満たすために中間地点に向かい、目的を達成したあとはスタート地点に戻ってきます。
多くのゲームを調べたわけではありませんが【ブーメラン】はゲーム全体でメインではなく、サブとして時おり採用される進行パターンだと思います。
スタート地点に戻ってくることはレベルの構造上「同じ景色を見る」可能性が高く、退屈さを引き起こしかねません。そのためブーメラン進行では行きは良い良い帰り恐いと言わんばかりに、帰り道では敵からの苛烈な襲撃や報復が行われます。
基地の自爆装置を起動させたあと、制限時間内に脱出するというパターンも多く目にします。
まとめ
このように2つのレベル進行パターンを頭に入れておけば、シナリオを読んだ際に求められるレベル構造が瞬時に想像できるようになると思います。
おまけ:2つのタイプのブレンド
2つの進行パターンはブレンドすることができます。同じレベルを何度も遊ばせるタイプのゲームではブレンドすることが基本だと思います。また、RPGのダンジョンでも探索・進行感の演出のためにブレンドしています。
下の図ではスタートからゴールまではストレート進行ですが、途中にカギのかかったゲートがあります。ゲートは2つのカギで解錠できます。カギは2つの場所に隠されていて、それぞれの場所にはブーメラン進行で移動します。
元の場所に戻ってきたときに変化を演出できれば、退屈さではなく驚きと達成感を与えることができます。