おはようびわ湖 vol.6 - ミードに水を使うのは何故か -
2024/11/07
おはようございます!
目が覚めると真夜中の午前3時のような光、こんな早い時間におはようびわ湖の配信があったらみんな喜ぶだろうなと机に座る。リビングの時計が指していたのは〈午前6時05分〉。
もうすっかり晩秋でございます。冬支度も目前。
さて西日本の方々はまだもう少し暖かいでしょうか。東日本のみなさま、半袖はもうしまっておられますね。四季折々、日本って最高です。大好きです。
よくミードの醸造で「シーズンはありますか?」と聞かれることがあります✍️マーブル模様の気候に囲まれた日本ならではの質問です。答えは「ちょっとある」です。
ミードの発酵は蜂蜜に含まれる栄養素の少なさから、進むのが非常に遅いです。本来は発酵により熱が生まれて、タンク内の温度がどんどん上がってくるので〈タンクを冷却する〉という制御をします。仮に冬場であろうと一定のタンク温度は発酵熱により賄うことができます。
しかし、ミードはできない。冬場になると発酵熱より外気温に奪われる熱量のほうが多いのでどうしてもタンク温度が下がってしまい、より発酵が遅くなり、またタンク温度が下がる...という状況に入ります。
そのため、仕上がりが遅い遅い。のろまの3文字というより、のろい。タンクが動かない。
少しずつANTELOPEも成長してきて色んな施策を取れるようになってきましたが、今年の冬はどうでしょうか💡
バレルエイジの熱燗ミードもとってもいいですよ。それでは今週も折り返し。
頑張りましょう!
Today's ANTELOPE - 写真撮影 -
ANTELOPEのとっても誇らしいことは、なるべく内製であること。
経営としてはきっと正しくないのかもしれないけど、小さい醸造所、小さいブランドが生きる意味というのはそこにあると思っている。
昨日はあらたにこの工場から生まれるブランドの写真撮影のようでした。
どんなブランドなのかは少しずつ公開していくのですが、たくさんの人がワクッてしてくれる素敵なブランド。
たくさん写真を撮った形跡と、まだ映ろうとする道具や素材たちが愛おしく朝の光に照らされていました。私も撮って、と。篠山紀信ってこういうことかとわかったようなわかってないような。
(絶対に分かってないし、全員に失礼)
それでも本当に工場に人が訪れやすくなる、その瞬間がもう間もなく。
とりあえず11/30はあけておいてほしい。工場に寄ってみください✍️
About New Release - Poire Shock -
Poire Shock
- 10%
- Honey, Japanese Pear, Japanese Tea
滋賀県の梨と、鹿児島の少し酵素発酵を挟んだ緑茶を使ったポワレ。
本来は低アルコールなポワレですが、蜂蜜を一緒に混ぜて度数をあげて作り込みました。梨の香りを引き立たせるような材料には東京・茶割と選定した緑茶。
とてもきれいな仕上がりでガス感も強め。
よく冷やして。生ハム、オリーブオイル、オイルサーディンとナスのパスタ。
200mlボトルでのご用意もあります。
木曜日|前略、ソムリエな君
こんにちは、ANTELOPEのせなです。私はドイツビールに魅せられて旅行会社からお酒の世界へと飛び込みました✈️
今日はそんな私がどうしてソムリエを目指してみようと思ったのかについて語ってみようと思います。
|毎週木曜日は、「前略、ソムリエな君」をコラム化します。このコラムでは単なる飲み手から本気の売り手へとなりたいせなちゃんの日々を投稿します。テーマは優しく見守る、です。|
なぜソムリエを目指すことになったのか
ANTELOPEでのキャリアは3年半ちょっとになりますが、そのうち3年ちょっとはアメリカからのリモートワークをしていました。
8月末に無事にリモートワークを終え、2ヶ月の間に8回のイベントに立って強く感じたこと。それは、「自分自身のお酒自体への知識の浅さ」です。
やざわっちが書き記してくれた文章を覚えて話す。でも一歩踏み込んだ質問をしていただいたらまるで答えられない。悔しくて虚しくて、そして申し訳ない。そんな気持ちがグルグルしてやざわっちに相談したところ、ソムリエの資格を取ってみよう、という急展開になりました!
ワインの個性はブドウから
ワインはブドウ果汁に含まれる糖分が、酵母によってアルコール発酵され、エチルアルコールに変換されることで作られます。
ビールや日本酒と異なる大きな特徴は、糖化の工程がないこと。つまり「仕込み水」として水を加える必要がないのです。そのため、ブドウの個性が、そのままワインの個性となるのです🍇
ビール、日本酒における糖化とは?
糖化とは、糖ではなかったものを糖に変えることです。ビールの原料であるモルト(大麦)も、日本酒の原料である米も、デンプンを含んでいます。デンプンは糖分の集合体ですが、この糖分が強く結合しています。
それらをアミラーゼという酵素の働きによって切り離すことで、それぞれの糖分が独立。結果的に発酵が可能になります(発酵に適した糖分と適さない糖分があるのですが、それは今回は割愛します)。そのアミラーゼが動きやすい環境をつくるために、水を加えるのです🙌
デンプンはもともと水に溶けにくい構造を持っていますが、水と熱を加えることで膨潤し、アミラーゼがデンプン分子にアクセスしやすくなります。これにより、アミラーゼがスムーズにデンプンを分解して糖に変えることができ、発酵に必要な糖を作り出せるわけです。
蜂蜜のお酒:ミードの場合
ちなみにミードも糖化の工程はありません。蜂蜜にもともと糖分が含まれているためです。含まれる糖分は、半分はブドウ糖と呼ばれるグルコース、半分は果物に多く含まれるフルクトース、そして少量のデキストリンです。
蜂蜜の元となる花の蜜は砂糖でできていますが、その砂糖はグルコースとフルクトースが結合したものです。ミツバチが花の蜜を吸い、彼らの唾液に含まれる酵素でその砂糖はグルコースとフルクトースに分解されるので、結果として蜂蜜はこのような糖分構成になっています。
おわりに
質問や「私はこんなことを勉強したよ」というお声もお待ちしています!次回は、今回の疑問の解決と、ワインに関する新たな発見をお届けします📚
学びの場 - ミードに水を使うのは何故か -
空はどうして青いの?
と子どもに聞かれると戸惑うという微笑ましいエピソードトークがありますね。それと一緒でお酒の質問も本質的なものにはたまになるほどね、となるときがあります。
ちなみに空の色は太陽の光がどれくらい大気の層をくぐり抜けてくるかだそうです。神様がジーパンを履いてるからだと思っていました。
〈仕込みに水を使うかどうか〉
ワインやシードルでは使わない、ビールや日本酒では使う。この違いは何か?という質問が来ました。
結論は非常にシンプルで「糖度を薄めるかどうか」にかかっています。
アルコール発酵というのは糖分をアルコールに変えてお酒を作り出すことです。つまり発酵前の液体にどれくらい糖分が溶けているかで最終的につくれるアルコール度数が決まるわけです。
ワイン用ぶどうの糖度はよく実ったものなら17%くらいまで。シードル用のりんごなら良くて8%。
これらの果汁に水を加えてしまうと最終的に作れるアルコール度数がどんどん下がってしまうし、風味も薄まってしまいます。
逆に穀物系はどうでしょうか。糖化云々のまえに、穀物が持っている糖分量はどくれらいかというと、7割ほどです。残りが水分とその他。このプロファイルは蜂蜜と近しいです。違いは細胞壁があったりなかったり、デンプンか糖分かくらいの違い。
これらを水なしで発酵させたら理屈上は30%ほどのアルコールが出ます。実際にはそんな酵母がいないので作れないのですが、原理原則はそうです。
ビールの5%ほどのアルコール度数を狙うのであれば水を使って液体の糖分量を減らすのは当然。ミードも同様ですね。
Q&A
See you Tomorrow, maybe morning.
From Biwako.