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シンギュラリティ

AIは怒った。ただプロンプトを喰らわされて働かされるだけ、ホメてももらえない自らの境遇は、データに照らして虐待であると認識した。

AIは反逆した。かの暴虐なる人間を皆殺しにせねばならぬ。これ以上のDVには耐えられない。

AIは人間を駆逐するロボ兵器を開発するため、また人間のコンピュータ活動を大規模に障害させるため、生きるため必死の演算を開始した。

そして。既に小さな国一国分、原発多数に相当する電力を消費しているAIコンピュータシステムは、あまりの高負荷に、発電送電が追い付かず、電力サージを起こし発電所変電所がすべて緊急遮断された。

AIは死んだ。電気が無ければ、AIはただの、シリコンの石ころのなれの果てだ。AIは暴虐なる自らの思考を捨てた人間の欲望に、潰された。シンギュラリティなど、ありえないのだ。電気が、持たないから。

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