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フーコック島 近代化してリゾート地になる前

ベトナムの最果ての孤島
フーコック島
90年代までは
何も無い島として
一部の人には楽園として知られた島

今では
国が力を入れて
アジア有数のリゾート地として
とんでもない発展を遂げています

1996年に
フーコック島に滞在したのですが
ホテルは1軒だけ
予約は出来ず
もし現地に行って
いっぱいだったら
ロビーで寝させてくれるという
とんでもない情報しかありませんでした

そんなフーコック島でのハナシ

まぁ
とんでもないトラブルに巻き込まれて
楽しい思い出だらけの島でしたが
そのハナシはまた別の機会で!

帰る時は
金銭的な問題で船を使って
ベトナム本土へ戻る事に

ホテルのオッちゃんに
身振り手振りと筆談で相談すると
「港までバイクタクシーで行って
 そこから船で本土に行ける
 ただし
 朝が早いから気をつけろ!
 明日は5時にロビーに来い
 手配はしとく」
とのありがたい情報

ささやかな
村人たちとの別れの宴をして
次の日
バイクタクシーに乗り
おっさんにしがみついて
2〜30分走った後で
港に到着
バイクタクシーのオッチャンが
何やら船に案内して
色々まとめてくれました

バイクタクシーにお金を払い
船のチケットを購入して
いざ船に向かうと

ボロッボロのマグロ漁船風…
一応ベンチ座席があり
チケットの番号のところに行くと
大荷物のオバチャンが寝てる

アレ?

チケットを見せて
「そこは俺の席じゃね?」
って優しく交渉したら
めんどくさそうに何かブツブツ言って
全然どかない…
仕方がないから
その席の前に座っていたら
※座席はベンチ式の対面型
軍人さんがやってきて
「あれ?
 チャイニーズ?
 ジャパニーズ?
 そこはウチらの席だよ?」
みたいに話しかけてきたから
オバちゃん指さしながら
チケット見せたら
軍人さん
いきなりオバちゃん蹴飛ばして
「席は空いたから
 チケットの場所にすわりなよ!」
と優しく笑ってるくれました

怖いわ!

早朝7時ぐらいに
やっとこさ船は出発したんだけど
絶対満席待ちだったっぽい
船内はぎゅうぎゅう

漁船を改造したような船
ベンチシートなんだけど
向かいの席と近すぎて
軍人さんと
足と足が交互に挟み込んでる状況

だーれも気にせず
何故が無言で静かな状況

地元の人達だけなのか
旅慣れた人はハンモック出して
座席の上に吊るして
グーグー寝てます

あとでわかったのですが
軍人さんは
かなり一般の人たちより
立ち場が上の存在らしく
満席のすし詰めになっている漁船に
外人と軍人という
いつもと違う状況に
みんな戸惑っているだけでした

船が進みはじめて
陸が見えなくなると
炎天下の猛暑
あまりの厚さに船の屋根に逃げてた人も
船内に戻ってくる状況

沈黙に
耐えきれなくもなってきたので
向かいの軍人さんに
「目的地にどのくらいで着くの?」
と質問しても
全然通じない…
地図を見せると
そもそも
フーコック島がどこにあるのか
あまり理解してない感じでしたが
いつのまにか
ほかのお客さんも参加して
アレコレ相談して
陸地を指さしながら

「11 o'clock !」

なるほど
11時着か…
この状況が4時間続くのが…

お客の隙間から
外を見ると
海面の波立ち
船の進むスピードが遅過ぎて
進んでるのかバックしてるのか
わからないように見えてました

膝と膝が
ほとんど当たっている軍人さんは
実は気さくで親切な方
ちょっとらだけ打ち解けたのか
時々
「セイコーナンバーワン!」

軍人さんがつけている腕時計を指さして
笑っていました

段々と船内でも
(この軍人さんと外人は無害)
ということがわかってきたのが
自然とワイワイし始めました

それにしてもツライ
酷暑のなか
オールベトナム人の中
軍人さんとは膝と膝が当たっている状況
トイレなんてない
1時間ぐらい前に
オバちゃんが
船のヘリにつかまって
トイレしてた…

海に落ちたら死ぬ

すると
突然木製の壁の一部が開き
14インチぐらいのテレビが登場
みんなから歓声が上がる

どうやら映画の上映
当然ですが
ベトナム映画
なにやら
恋愛モノ

ひと言も分かりませんが
脳内でストーリーを勝手に作って
真剣に見る
周りの人達
笑ったり泣いたり
すごい純朴に楽しんでる

2時間弱の映画も終わり
拍手で終了

さて
なんだかんだで
地獄のような時間は進み
いつのまにか11時は過ぎていた

陸地は見えない…

まぁ
遅れてるんだろうな…
と最初は思っていましたが
船内にいたオバちゃんが
荷物を解いて
飲み物やら食事を売り始めた

13時ごろ
ふと押し殺していた
心の中の疑問を考えていた

11 o'clockって言ってたけど
11 hoursの間違えじゃね…

そうです
11時着では無く
11時間→18時着だったみたいです

絶望の中
発狂しそうになって数時間経つと
また
壁の一部が空いて
テレビ登場!

もうTVは楽しみでしかない
少しでも気晴らしになるなら
どんな映画でも良い
できればアクション映画!
アクション映画にしてくれ!
と心の中で祈る

さっきと同じ映画だ…

他のお客さんは
まるではじめて見たかのように
笑ったり泣いたり
大騒ぎ

純朴すぎだろっ!

結局陸地に着いたときは
もうすでに真っ暗
20時過ぎだったのかな?

船から降りた人たちは
一目散に闇夜に消えていく…

周りを見ると
ホテルらしきものは無し
もう疲れ果て
途方に暮れたので
バックパックを枕元にして
港のベンチで寝ようとしたら

売店のオバチャン?が

「あんたっ!
 こんな所で寝てたら
 ころされちゃうよっ!」
と叫んでる

ホテルが見つけられないことを
身振り手振りで伝えたら
家に泊めてくれました…

※当時のベトナムは
 本当は
 外国人を自宅に宿泊させると
 法律で罰せられたそうです

そのハナシは別の機会で…

ベトナムの漁船みたいな船に
12時間以上乗って
精神が鍛えられたハナシ

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