粋な老紳士

とある京都の立ち飲み屋
美味しいお酒と美味い食事に
隣のお客さんとも意気投合
外の席で
和気藹々と飲み進めていると
１台のタクシーが店先に止まる

タクシーから降りてきたのは
ビシッと決めた白髪の老紳士
両側には腕を組んで芸妓さんを連れていた

唖然として自分たちが見ていると
老紳士はタクシーの運転手に
そのまま待っていろと伝え
両側に芸妓さんを連れて店内に

カウンターで店主に
「ラーメン３つ」
それだけ伝え
出てきたラーメンを芸妓さんたちとサッサとすすると
颯爽とタクシーに乗って帰って行った

それをぼーぜんと見惚れていた我々
我に帰り
誰ともなく一言
「すげぇ…」

まさに老紳士の粋な姿
立ち姿
風情
その立ち振る舞い
全て粋だった

店主が片付けながらボソッと
「ラーメン屋じゃないんだけどな…」

店主に聞いたところ
時々ふらっとやってきて
ラーメンを頼んでくるから
一応準備してるけど
メニューにラーメンは無いとのこと

普通のインスタント麺だけど
スープと具材に工夫をしてあるらしい

自分もいつか
ラーメンをこの店で食べてみたい

ちなみに
遠目で見たところ
ラーメン３つでしたが
お札をスッと出して
お釣りはもらっていないように見えた

老紳士と芸妓の粋なハナシ