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長野県上田市 幻の店

2005年ごろか
2010年より前だったと思いますが
ちょいと仕事で
長野県上田市に出張

北陸新幹線
上田駅を降りると
若干の積雪
駅前でタクシーに乗り込み
行き先を告げ
目的地へ向かって出発

すると
タクシーの後部座席ドアが
全開のまま出発

「運転手さんドアっ!ドアっ!」
とみんなで大騒ぎ

タクシーの運転手さん
「いや〜すいません…忘れちゃうんですよね…」

いやいや
忘れねーだろっ!

というプチ出来事もありつつ
出張初日は無事終了

ホテル近くの飲食店で
夕飯がてら軽く一杯やろうと
同僚と散策

正直あまり栄えていないが
風情のある良い店がチラホラ

その中で
古びた店舗の前に
赤提灯がぶらさがり
昭和からやっていることが
赤提灯に書いてありました

暖簾をくぐり
店内を覗くとカウンターに先客あり
内装も渋くアタリの予感

2名ですけど大丈夫ですか?
と声かけると
常連らしき先客と談笑でもりあがっている様子
おばちゃん2名は
チラリとこちらをみて
目線だけカウンターへ
どーぞーの合図?

上着を脱ぎつつ
なににしようかねぇと
友人と壁の品書きを見て
あれこれ悩んでいると…

ぜんぜん
おしぼりとか出てこねぇ…
カウンター内のおばちゃんに
完全無視されてる…

もしかして
一見さんお断りの店だったか?

同僚とどうすっかね?
と目配せしてると
奥の厨房から
板さんが出てきて

「おいっ!お客さん来てるだろっ!」

おばちゃん二人を一喝

おばちゃん二人は
あわてて
「あらららら!ごめんなさい!気がつかなくて!」

マジか?
気がつかないなんてことあるか?
と思いましたが
もしかしたら
上田市の住民は天然うっかりさんが多いのかも
※朝のタクシーの件もあるし

おしぼりをもらいつつ
とりあえず瓶ビールを注文
メニュー受け取り
つまみ選びに悩んだので

「初めてなんですけど、おすすめありますか?」
って聞いたら

おばちゃん
「ウチはメニュー全部おすすめよ」

あれ?
うちら嫌われてる?

そしたらもう一人のおばちゃんが
「みんな厚揚げが好きね。あと自家製漬物!」
と教えてくれたので
そのままオーダー

ビールを飲んで
談笑していると
頼んでいない小鉢が数品やってきて
「サービスですよー」

よくわからん…
歓迎されているのか

厚揚げがやってきて
食べてみると
超絶品!

見た目は普通なのですが
めちゃくちゃ旨い
なんだこれ?

同僚と厚揚げの美味さに感動して
本腰入れようと飲もうと
おでんと日本酒を注文

日本酒は何にしようか悩んでいると
おばちゃんが地酒の一升瓶を
カウンターにドンっ!
と置いて

「これがおすすめだからセルフで飲んでね」

なかなか
きっぷのいい対応

おでんも絶品
とくに大根がすばらしく
追加注文してしまうほどでした

これは超すばらしい店の発見に
嬉しくなって
まぁまぁ日本酒も進んだところで
次の日の仕事も考えて
切り上げることに

お会計をお願いすると
おばちゃんから

「どんくらい?」
と言われた

同僚とキョトンとして
「どのくらいとは?」
と聞き返すと

「日本酒どのくらい飲みました?」
ときかれました…
そんなことある?
どのくらいと言われてもなぁ…
自己申告制は初めてだわ

一升瓶のラベルを指差しながら
「このくらいから飲んだかな?」

一升瓶の半分くらい
4〜5合近く飲んでたと
正直に伝えたら

「じゃあ4000円」

(4000円?)
お会計がドンブリ勘定でヤバい
しかも
良心的すぎ
ひとり2000円?
安すぎじゃ無い?
これはいい店

思いがけない良店に
意気揚々とホテルに戻りました

次の日
タクシーに同僚と乗り込み
昨晩の店よかったねーと話始めたところ

後部座席のドアが
全開のまま出発しているのでした…

「運転手さんドアっ!ドアっ!」

なんだこの街
上田市おそるべし

一応タクシーの運転手さんに
「昨日もドア開けっぱなしで出発してなかった?」
と確認したら
昨日は休みだったとのこと

どうやら
上田市のタクシーは
ドアを閉めないのがデフォルトなのかも

それから月日が流れ
スマホが普及し
お店などは
食べログやグーグルMAPなどで
すぐに検索できる時代

あのお店を調べてみると

まったくわからない
店名をそもそも知らなかったのだが
情報が全く無い
Googleマップでかなり調べてみても
まったくわからない

あれ
幻だったんかな…

実は店じゃなかったりして




ちなみに
長野県のスーパーでは普通に販売されている
雪んこそば
安くて旨い
お土産に買って帰りました

都内でも売ってたけど…



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