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11/25イベントレポート【現役EIR・DeepTech起業家に聞く】ビジネスキャリアを活かしたディープテック創業プロセス

こんにちは、ANRIの江上由美です。
2024年11月25日(月)にオンラインで開催したイベント「【現役EIR・DeepTech起業家に聞く】ビジネスキャリアを活かしたディープテック創業プロセス」の開催報告です✨
今回のイベントは、ANRI初のEIR(Entrepreneur in Residence: 客員起業家)関連イベントとして、ビジネスキャリアを活かしてディープテック領域で挑戦を続ける3名の起業家をお迎えし、パネルディスカッション形式で開催しました。


イベント概要

イベント趣旨・概要

ディープテック領域では、宇宙、バイオ、次世代素材、クライメートテックなど、社会課題の解決に挑むスタートアップが続々と誕生しています。本イベントでは、アカデミア出身でないながらもディープテック分野で創業に挑戦している3名の起業家をお迎えし、技術を基盤とした創業のきっかけやプロセスについて、具体的な体験談を交えてお話しいただきました。

パネリスト

  • 株式会社LINEAイノベーション 代表取締役CEO 野尻 悠太 様

  • 株式会社Dioseve 代表取締役CEO 岸田 和真 様

  • ANRI株式会社 EIR(客員起業家) 亀田 孝裕 様

タイムスケジュール

  1. 19:00-19:05 オープニング 

  2. 19:05-19:15 登壇者自己紹介

  3. 19:15-19:55 パネルディスカッション

  4. 19:55-20:00 ANRI EIRの説明・クロージング

登壇者自己紹介・パネルディスカッション

登壇者自己紹介

オープニング後は、3名の登壇者による自己紹介。それぞれスライドを使いながら、これまでのキャリアについて語っていただきました。
(スライドは3名それぞれに許可をいただき転載しています)

ANRI株式会社 EIR 亀田孝裕さん
神戸大学杉本准教授と協働し、「構造色」塗料を活用したグローバル市場への挑戦に向けて創業準備中
株式会社Dioseve 代表取締役 岸田和真さん
iPS細胞由来卵子の生殖医療への応用を目指し、不妊治療や遺伝病の解決に挑む
LINEA Innovations代表取締役 CEO 野尻悠太さん
革新的な商用核融合炉で核融合の早期実現を目指す

パネルディスカッション本編

パネルディスカッションでは、以下のような質問を中心に議論を進めました:

  1. ディープテック領域での挑戦を志したきっかけは?

  2. 現在の技術や会社とどう出会ったのか?

  3. ANRIとの関わりについて

  4. ディープテックで創業する魅力とは?

限られた時間の中で、登壇者の皆さんからは各質問に対し、非常に丁寧にご回答いただきました。以下に、それぞれのお話のエッセンスを少しご紹介します。

LINEA Innovations 代表取締役CEO 野尻悠太さん
学生時代から科学技術、特に航空宇宙工学に惹かれ、チャレンジングな工学課題に取り組むことをライフワークとされてきた野尻さん。アクセルスペース時代には、事業開発、資金調達、さらには衛星開発のプロジェクトマネジメントなど幅広い業務を担当し、同社の成長に大きく貢献、その後、異分野での経験を経て、知り合いの紹介で出会ったという革新的な方式の核融合炉の持つ可能性に心を動かされ、共同創業者とともに創業を決意されたという稀有なキャリアの持ち主です。

そんな野尻さんはディープテック領域での創業におけるビジネスキャリアの重要性について「技術へのロマンを追求する一方で、ビジネスの現実を冷静に見極めることが重要」と言及されました。技術が持つ可能性を最大限に引き出すための戦略的なアプローチの重要性を感じられているとのこと。ディープテックの分野では研究者や技術の重要性は当然のことながら、それに加えてビジネス理解の深い人材が初期から関与し、二人三脚ですすめていくことが極めて重要で、「市場ニーズやタイムラインに基づいた判断が、成功を左右する。ビジネスの観点から、そういった判断ができる人材は創業において極めて重要だ」とお話をいただきました。

Dioseve 代表取締役 岸田和真さん
岸田さんの起業のきっかけはご自身の原体験。生まれつき「治らない」と言われていた自身の疾患が新薬の登場により完治した経験をきっかけに、「今、治療法がない、と絶望している人々を救いたい」との想いでバイオ分野での起業に足を踏み入れました。
岸田さんは大学時代にインターンを通じてスタートアップのダイナミズムを体感し将来の起業を決意した一方で、起業に必要なスキル、なかでも特にM&Aやエクイティファイナンスの知識を身に付ける必要があると感じ、新卒でM&Aを専門とする投資銀行に就職。
その後、数年間の金融業界での経験を経て、ANRIの紹介で共同創業者である研究者と出会い、iPS細胞を用いた卵子作成技術という非常に革新的な技術を事業化するべく、2021年にDioseveを設立されました。この技術は、不妊治療や遺伝病の原因究明といった社会課題の解決に大きく寄与する可能性を秘めており、「これまでどうにもならなかった病気を科学技術の力で治癒する」という、自身のミッションに非常に合致するシーズであり、岸田さんがこのシーズに出会ったときには「まさにこれがライフワークだ」と感じたといいます。
ディープテック領域において起業する際には、「資金調達や研究が長期間に渡るという点がとても大変ではあるものの、それ以上に得られるやりがいが大きい」とのこと。ディープテック領域ならではの面白さや、やりがいについて、実体験をもって言及していただきました。

ANRI EIR 亀田孝裕さん
亀田さんが起業に向けて動き出した背景には、大学時代からの漠然とした「いつかは起業を」という思いと、それを実現するためのキャリア選択があったそう。
住友商事で資源エネルギー分野、特に原子力や脱炭素事業の検討を通じて得た視野の広さがキャリアの土台となっていたと語る亀田さん。商社卒業後は、大学発スタートアップ「マイクロ波化学」に転職し、事業開発やIPOを経験されました。これらの経験を通して、技術とビジネスの橋渡しをする役割の面白さを改めて実感し、いよいよ「自分自身で事業を立ち上げたい」という意欲を後押ししたと言います。
そのようなタイミングでANRIが募集していたEIR(客員起業家:Entrepreneur in Residence)のポジションについて知り、参画。EIRとして探索した数多くの技術シーズの中から、現在は母校・神戸大学の研究成果をもとに、構造色インクを応用した世界最軽量クラスの塗料を用い、グローバルビジネスを創造することを目指して創業準備を進めています。2024年10月にはJSTが運営する「D-Global」にて大型助成金を獲得され、当該資金を活用して事業化に向けた技術開発を計画的に推進中です。
「技術分野の専門性がなくても、経営者としての役割は十分に果たせる。ビジネスサイドのキャリアを積んできたからこそできることがある。」という言葉が印象的で、同時に技術を理解する努力の重要性も強調されていました。

参加者の声

上にはごくごく簡単に各パネリストの方のコメントを記載させていただきましたが、イベント終了後のアンケートでは、下記のような感想が多く寄せられました!

大学教授との出会い方や、創業に向けてのプロセスについて聞くことができて興味深かったです
・ディープテック領域の起業におけるビジネスバックグラウンドのメリット・デメリットが理解できてよかった
・創業時の事業選びや仲間集めのお話 なぜdeeptech?のお話はリアルで面白かった

まとめ

今回の開催報告では、ごく簡単にパネリストの方のお話の要旨をまとめましたが、本セッションの内容はこの後正式な記事化を予定しております。記事が書き上がりましたら、ANRI EIR Project AURORA特設ページにも掲載予定ですので、是非目を通してみていただけると嬉しいです😊
また、本オンラインセッションを通じて、参加者の皆様にディープテック創業の魅力や可能性を多くの方に感じていただけていればうれしく思います。

最後に

最後に、ANRIでは現在、EIR Project Auroraを通じて、ディープテック領域での創業を志すEIR候補の方を広く募集しています。
世界を変える革新的な技術で大きな挑戦を目指す方とお会いできるのを楽しみにしています!また、次回12月16日にはANRIオフィス(六本木)でのオフラインイベントも予定しております。ディープテック起業準備をすすめている現役EIRの方の生の声をきいていただける貴重な機会になりますので、ご興味がある方は是非お早目に参加申込みください!
https://lu.ma/5ltato9z


【次回イベント告知:12/16(月) 19:00~20:30】
現役EIR・DeepTech起業家が語る!EIRのスタートアップ創業プロセス

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