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12/16イベントレポート【3社合同開催】現役EIR・DeepTech起業家が語る!EIRのスタートアップ創業プロセス

こんにちは、ANRIの江上由美です❄️
2025年12月16日(月)、ANRIオフィスにて初めての3社合同現役EIRパネルディスカッションを開催しました✨✨

今回は、ANRI、京都iCAP、みらい創造インベストメンツに所属する現役EIRの3名に加え、EIR期間を経て今年起業を果たしたディープテック起業家の方をお迎えし、実体験に基づくリアリティあふれるお話を伺いました。

師走の忘年会シーズン真っ只中にもかかわらず、50名以上の方に会場へご来場いただき、大変な盛会となりました。
この場をお借りして、心より感謝申し上げます🙌


イベント概要

イベント趣旨・概要

ディープテック領域の創業において、近年【EIR(Entrepreneur in Residence: 客員起業家)】という役割が注目を集めています。これまでは、研究者がCEOとなりスタートアップを立ち上げるケースが一般的でしたが、事業計画の策定・実行を通じてビジネスをリードする役割と、研究開発を推進する役割は、それぞれ異なる専門性を求められるものです。

そのため、研究責任者が研究開発を進める一方、ビジネス(事業開発)については別途プロフェッショナル人材が参画するという、新しい起業スタイルが注目されています。このような中、近年ベンチャーキャピタル(VC)を中心に導入が進んでいるのが、EIRという制度です。しかし、この制度はまだ広く知られているとは言えません。

そこで今回は、EIRという役割やその可能性を多くの方に知っていただき、EIRとして活躍しながら創業する人が日本でさらに増えていくことを目指し、3社合同のEIRパネルディスカッションを開催しました。イベントでは、ビジネスのプロフェッショナルとしてディープテック領域での創業を目指す現役EIRの3名と、EIR期間を経て今年実際に創業を果たした起業家の方をお招きし、EIRとしての創業準備から創業プロセスについて、実体験を交えて語っていただきました。

パネリスト・モデレータ

🙋パネリスト

  • 株式会社みらい創造インベストメンツ EIR 友政 蘭さん

  • 京都大学イノベーションキャピタル株式会社(京都iCAP) EIR 中小司 和広さん

  • ライノフラックス株式会社 代表取締役CEO(元京都iCAP EIR)間澤 敦さん

💁モデレータ

  • ANRI株式会社 EIR 亀田 孝裕 さん

タイムスケジュール

  1. 19:00-19:05 オープニング 、EIR(客員起業家)制度紹介

  2. 19:05-19:15 登壇者自己紹介

  3. 19:15-20:00 DeepTech起業家とEIRによるパネルディスカッション

  4. 20:00-20:25 参加者からの質疑応答

  5. 20:25-20:30 各社EIRの説明・クロージング

オープニング

オープニングでは、ANRI代表佐俣の挨拶の後、簡単にディープテック創業の新たな形であるEIRの仕組みをご紹介しました。

EIRという仕組みーVCなどがディープテック領域での起業を志すEIR(客員起業家)を有期・有償で創業準備の目的で雇用する

現在、ANRIをはじめ、京都iCAP、みらい創造インベストメンツ、JAFCO、Beyond Next Venturesなどをはじめ、いくつかのVCでEIRの仕組みが取り入れられはじめています。

パネルディスカッション

登壇者自己紹介

オープニング後、4名の登壇者の皆さんにこれまでのキャリアを簡単にご紹介いただきました。
(スライドは許可をいただき転載しています)

京都iCAP EIR 中小司和広さん
タイのバンコク、マレーシアと15歳までずっと海外で過ごした後、東京大学で原子力の研究を手掛けた。その後ドリームインキュベータに入社し、7年間、海外での会社経営や投資業務に携わった。数学、小説の読み書き、トライアスロンが趣味。
みらい創造インベストメンツ EIR 友政蘭さん
医学部卒業、病理専門医として8年間勤務の後、ボストン・コンサルティング・グループに参画。その後子供が産まれたことを契機に、「自分だからこそできる仕事を」と考え、医療・創薬系の創業を念頭にEIRとしての活動を開始した。
ライノフラックス株式会社 CEO 間澤敦さん
大学で経済学を専攻後、三菱商事にて10年程金属資源のビジネスに携わる。4年程度CVCにてスタートアップ投資にも従事。その後京都iCAP EIRを経て2024年4月にライノフラックス株式会社を創業。
ANRI株式会社 EIR 亀田孝裕さん
大学卒業後、住友商事に入社し、6年半程度エネルギー関連事業に従事。その後、将来的なディープテック領域での創業を見据え、大阪大学発スタートアップであるマイクロ波化学に事業開発としてジョイン。3年半程度の在籍期間中に上場を経験した後、ANRIにてEIRとしての活動を開始。

起業を決意するまでの経緯とプロセス

パネリストの皆さんには、いくつかの質問にお答えいただきました。時折笑いを交えながら進んだセッションは、終始和やかな雰囲気でした。詳しい内容については後日の記事で詳しくお届けしますが、この開催報告では、各登壇者のお話の一部を抜粋してご紹介します🎙️✨

ライノフラックス株式会社 CEO 間澤さん
「消去法で考えると"ディープテック"領域での創業しか残っていなかった」という間澤さん。起業を考え始めた当初は「アセットライトで綺麗な成長カーブを描ける事業」を探していたというが、自分のキャリアを見つめなおした結果、資源エネルギー関連でのビジネス経験上の強みを生かす他ないと気づき、結果的にそれが最善の決断だったという。
10年後でも30年後でもなく、【20年後】の未来を創りうる技術という観点からシーズを絞り込み、核となる湿式ケミカルルーピングによるバイオエネルギー・炭素回収プラントの事業化に行き着き、2024年4月にライノフラックスを創業。
ANRI EIR 亀田さん
住友商事時代に、水素ビジネスなど新エネルギーへのシフトの可能性を模索していたという亀田さん。それが契機となり、大学発の技術の可能性に目覚める。また、その中で研究者畑の人がしっかり稼げる世の中、会社を創りたいと考えるようになった。
数か月間で世にある大量のシーズ調査を実施、その中から起業対象となるシーズを絞り込み、神戸大杉本先生と共に2024年10月に大型助成金D-Globalを獲得。
みらい創造インベストメンツ EIR 友政さん
病理専門医として勤務する中で、AIの台頭など時代の変化を目の当たりにし、ビジネスサイドの知見が必要だと感じBCGに転職したという友政さん。その後、子供が産まれたことを契機に、自分が本当にやりたいと思える仕事を、と考えた結果、医師としての知見×スタートアップ領域での創業、を決意。現在はEIR活動期間中に提案を受けたいくつかのシーズのうちの1つでの起業準備を進めている。
京都iCAP EIR 中小司さん
「自分が本当に取り組みたい、かつ、自身の強みを活かして進められそうなのがディープテック創業しかなかった」という中小司さん。学生時代までに身を置いてきたサイエンスやエンジニアリングの分野と、社会人として経験してきた事業経営、一見相反する2つの領域の融合としての創業にチャレンジし、両者の共通項や相違について身を以て探求してみたくなったという。
60人程度の大学教員と面会し、「産業」「素過程(基礎的な過程が変わりうるかどうか)」「一回性(自分だからこそできる、テーマであるかどうか)」の3つを軸にテーマを絞り込み、現在創業準備中。

ディープテック創業の魅力

「ディープテック領域での創業」の魅力として4者共通して挙げられたのは、「世界の未来を変える技術を生み出し、それを世界に届ける権利を得られること」でした。巨人の肩に乗り世界を築いているという感覚や、自分自身が巨人の一部となり得るかもしれない、というロマンこそが、ディープテック創業ならではの醍醐味だといいます。

一方で、ディープテックは他の起業領域に比べてアセットヘビーであり、事業が軌道に乗るまでに膨大な時間と資金を要します。黒字化までの道のりが長く、投資家から厳しい意見を受けることも少なくありません。それでも経営者がこの困難を乗り越えられるのは、「未来の礎を創っている」という確かな手応えがあるからだとのこと。この点は、全ての登壇者が共通して実感している魅力でした。

さらに、今がディープテック領域での創業に挑む絶好のチャンスであるという意見も出されました。日本には起業を待つ技術シーズが数多く眠っており、経営人材が相対的に不足している状況が、挑戦者にとっての追い風になっている、といいます。登壇者の皆さんからは、「この場で起業を考えている方には、ぜひ一歩を踏み出し、仲間になってほしい。一緒に頑張る仲間が欲しい」という熱いメッセージが投げかけられました。

参加者からの質問

パネルディスカッション終了後には、参加者の皆様からの質疑応答を実施しました。約30分間、次々と質問が寄せられ、会場全体の熱量の高さを感じるセッションとなりました。以下に、当日寄せられた質問の一部をご紹介します。

シーズ探しで困難に直面した瞬間は?
・起業プロセスで最も辛かったことは?
・大学の先生とビジネスに向けて協働していく上で工夫した点は?
・事業化方向性について、先生方との目線の合わせ方(交渉が難しそう…)
・スタートアップをはじめる!と決めるまでのマイルストーン設定
・大企業ではなくスタートアップとして取り組むべき技術の基準は?
・ディープテックにおける投資と回収ポイント、ベンチマーク設定の考え方

これらの質問には、登壇者の皆さんがそれぞれの視点からユーモアを交えながら回答してくださり、非常に和やかで実りあるディスカッションの時間となりました。各質問への回答内容については、後日公開予定の記事で詳しくご紹介しますので、ぜひ楽しみにお待ちください😶‍🌫️

まとめ

今回のイベントの内容は、後日正式な記事として公開を予定しております。記事はANRI EIR Project AURORA特設ページに掲載される予定ですので、ぜひチェックしてみてください!
本イベントを通じて、参加者の皆様にディープテック創業の魅力や可能性を少しでも感じていただけたのであれば、とても嬉しく思います😎✨

最後に

最後に、ANRIでは現在、EIR Project Auroraを通じて、ディープテック領域での創業を目指すEIR候補を募集しています。世界を変える革新的な技術で遙かなる挑戦を目指す方とお会いできるのを、心より楽しみにしています🎆🚀🎆

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