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大企業経験者も活躍できる。スタートアップ転職の現在を語る3者対談レポート

「会える『すごいベンチャー』〜すごい採用イベント2024〜」
話題の有力スタートアップが参画し、実際に会うことができるインキュベイトファンド、ANRIの2社による共催採用イベントが去る12月5日に行われました。
2024年9月に東洋経済社より発表された「すごいベンチャー100」。ANRIの投資先からもたくさんのノミネートがあったこの発表を記念して開催された特別採用イベントです。スタートアップへの転職を考える方々とスタートアップが出会う1日。目玉のひとつである対談コンテンツの様子をレポートします。



■ イベント概要
運営協力 YOUTRUST ・Google for Startups
会場 Google Campus Tokyo
日時 2024年12月5日(木)18:00〜21:00
概要 インキュベイトファンド、ANRIの2社による共催採用イベント

■ 登壇者
インキュベイトファンド株式会社代表パートナー 村田祐介氏
株式会社YOUTRUST代表取締役CEO 岩崎由夏氏
ANRI株式会社 代表パートナー 佐俣アンリ氏
■ モデレーター
株式会社東洋経済新報社 週刊東洋経済副編集長 木皮 透庸氏
(記事内以下、敬称略)


対談テーマは「スタートアップで自分の価値を最大限に発揮する転職方法は?」。対談はモデレーターの木皮氏による、スタートアップ市場の採用の現状を問う質問から始まりました。

株式会社東洋経済新報社 週刊東洋経済副編集長 木皮 透庸氏がモデレーター

10年で資金調達総額は10倍に。転職市場の変化は?

──まず、スタートアップ市場が今どうなっているかをお伺いしたいと思います。

村田:この10年でスタートアップの資金調達の総額はおよそ1000億円から1兆円になり、10倍になりました。その資金の大半が採用に使われていることが一番大きな変化です。10年前は大企業で活躍しづらいタイプの“野武士”や“山師”のような方が起用される時代でしたが、今は大企業で活躍されるタイプの方がテックジャンル、コンサルティングファーム、投資銀行、省庁などからたくさん採用されています。このように人材の幅が広がったこと、またハイキャリアの方が起業するパターンが増え、人の流れがぐっと変わりました。

──我々は「すごいベンチャー100」という特集をやって来年で10年になりますが、その変化を肌身で感じています。かつてはマイナーな存在だったスタートアップが市民権を得て、大企業から飛び出してくる方も増えました。この転職市場の変化について、岩崎さんはどう感じていますか?

岩崎:村田さんや佐俣さんのような方が色々なところからお金を集めてきて投資してくださるようになったおかげで、スタートアップの環境がかなり良くなったと思います。少し前に出た統計では上場企業の平均年収をスタートアップが上回りました。スタートアップに転職するすなわち「年収を100万、200万下げなければならない」時代はもう終わったかなと。一方で、入社するのであれば「何者かになるぞ!」と覚悟を持って入らないと最終的な年収が高くならないこともあるので、そこはご自身の好みで選んでいただくのが良いと思います。

弊社では、序盤では変わり者や「何者かになりたいから小さいスタートアップに入りたい」人が来てくれて、規模が100名近くになってくるとちゃんとした人も入ってくるようになり良いダイバーシティが生まれています。「スタートアップに行く人は変でなければならない」ということはないのではないかと思います 。

株式会社YOUTRUST代表取締役CEO 岩崎由夏氏

スタートアップ選びは「この人となら頑張れる」トップに出会えるか

──なんだか安心しましたね。変わり者だけがスタートアップに行くのではなく、大企業出身で様々なスキルをお持ちならば年齢関係なくチャンスが広がっていると感じます。佐俣さんは、投資をする側としてスタートアップのどんなところを見ていますか?

佐俣:大きな市場に対してパッションを持ってやっているかを見ています。私たちと求職者の方の立場はよく似ていて、私たちはお金を、求職者の方は人生を預ける。その時に一番大事なのは「社長と会話させてもらえるかどうか」だと思います。社長が何を考えていて、何になりたいのかを見ています。

私たちは同じ会社に何度か追加で投資することがありますが、変化率や方向性を俯瞰してみて「この経営者がこっちの道に行くなら、ついて行きたい」と思った時に追加投資を決断しています。求職者の方も人生を投資する投資家としてスタートアップを見ると良いのではないでしょうか。

村田:スタートアップに入る時にはタイミングが重要です。創業初期はトップとの距離が近く、何もルールがない状態の方がパフォーマンスが出るタイプの人は、想像していたものに近い感覚をおぼえるはずです。本当にルールがないので、それを作る側にならないと統制できないことを楽しいと思える方はめちゃくちゃ楽しいと思います。

岩崎:社長との相性はものすごく大事ですね。社長の多くは“変な人”なので、「期待しすぎないけれど愛せるかどうか」という目線で会社と社長を見るのが良いかと思います。たまに1年や2年でスタートアップの転職を続ける人がいますが、それは社長に何かを期待しているんですよね。そうではなく「自分がこの会社を大きくするぞ」「社長の欠点を補うぞ」と入社する方達はCXOになるイメージがあります。

村田:「何かを埋めてくれる」だけでなく、双方向のコミュニケーションコストの低さが大事な要素だと思っています。僕がCXOクラスや一人目のエンジニアの採用で重視しているのは、社長がその人と親友と初めて出会ったような感覚があるかどうか。素晴らしい経歴でも、どう考えても社長と合わないと思ったら、絶対にその縁は止めた方がいいと思います。

佐俣:誤解を恐れずにいうと、スタートアップは世の中でみんなが成功しなかった挑戦をするから面白いので、基本的には短期で見ると失敗するんですよね。その失敗も含めて「この人との挑戦で失敗するなら、頑張れるな」という人と働くと幸せになれるのだと思います。失敗もろくでもないことも含めて、楽しみながら「この人たちとならやっていける」と思える会社が見つかったら、それはもう本当に楽しい旅になると思います。

村田:創業期、上場時、設立後十何年後でひとつの会社を比較してみると、創業初期のプロダクトを続けている会社なんてほとんどないですよね。名前が同じだけれど原型を留めていないことが多く、それはピボットの軌跡でもある。強いオーナーシップを持ってそうやって事業を変えていく感覚で社長と伴走すると社長も働きやすい、という感じですね。

ANRI株式会社 代表パートナー 佐俣アンリ氏

大企業からスタートアップへの転職の現在。活躍の条件は?

──スタートアップへの転職に向いているのは、どんな人でしょうか?

岩崎:「この会社を自分がでかくするんだぞ!」という気概と、最後の最後は社長のわがままに付き合ってあげられる従う力の二面性だと思うのですが、どうですか?

佐俣:ここ10年の変化で、“大企業的なスキル”が求められる状況が多くなったと思います。例えば、稟議フローのような大企業には当たり前にあるワークフローを書くのは大企業出身の方はうまいんです。なぜなら、想像できるから。5000人の会社ではこういったワークフローを使ってきたけれど、100人から300人の組織ならこれくらいでいいだろう、と自分たちの会社が目指す状況をバックキャストして考える力を求められたりする。10年前は、スタートアップで働く人は全員野武士たちだったけれど、そうじゃなくなった感じがしますね。

村田:10年前、20年前は、スタートアップにおける変化と言えば「BtoBからBtoC」といったものでしたが、最近ではソフトウェアからテクノロジーそのもの、プロプライエタリ(独占的)な技術の磨き込みへと大きく変化しています。トップサイエンティストが集まるという意味ではソフトウェアもディープテックも同じですが、ネットベンチャーにいた人がディープテックスタートアップに飛び込むような、コンフォートゾーンを飛び出す転職が増えているのは面白いなと思います。

インキュベイトファンド株式会社代表パートナー 村田祐介氏

生成AIの台頭、様々な産業のDX。注目の領域は?

──スタートアップのトレンドとしては、生成AI、脱炭素、ロボティクス、ライフサイエンスなどの領域が盛り上がっていて、採用も活況と聞きます。今後はいかがでしょうか?

村田:あらゆる領域だと思います。本来は上場する予定だったけれどマーケットのコンディションにより上場しなかったことが結果良く働き、これから先大きくなろうとしているBtoB SaaSの会社や、ディープテックの会社も投資家の関心が明らかに集まっています。

佐俣:今からの仕事選びでは、生成AIはすごく面白いのではないでしょうか。生成AIはこれからかなり多くの産業の景色を変えていくはずです。その時に医療、交通、食、教育などの産業の地殻変動の中心人物になるか、自分の城を崩されていくと感じながら関わっていくのかのどちらが楽しいか。スタートアップ側の私としては「これから行くぞー!」という気持ちでやった方が楽しいと思っています。

岩崎:起業の形も様々になってきて、シリアルアントレプレナーの人たちが序盤から結構な金額を調達して、人数を固めることも増えていきました。私の会社よりも若くても、すでに100人を超える組織を作るところも出てきて。羨ましいなと思いながらも、会社の作り方が多様化してきた感覚があります。

──確かに、我々がベンチャー特集を始めた時には連続起業家が珍しかったのが、最近は本当に増えてきましたね。日本のスタートアップのエコシステムとして大事だなと思います。また、今年の「すごいベンチャー100」にも選ばせていただきましたが、DXがあらゆる業界に必須になっており、公共領域などにも広がるんじゃないかなと思います。

転職は人生の投資。トップとの会話やVCを利用して良いキャリアを

──時間がきてしまいましたが、最後にスタートアップへの転職に関してメッセージをお願いします。

岩崎:今日が最高のご縁になれば最高ですが、もし明日以降もまだ転職先の候補を探す方は、ぜひYOUTRUSTを使ってみてください! 本日はありがとうございました。

佐俣:転職は人生の投資なので、わがままになったほうがいいですよ。繰り返しにはなりますが、スタートアップで働く時には「トップを気に入るか」「そのトップに人生を賭けられるか」。これがないと、やってられない時があるんです。転職時には「入社前に代表と30分喋らせてください」と求めていいと思うので、ぜひ良い投資の意思決定をしてください。

村田:スタートアップで働くことの醍醐味は、どんな役職であってもその人が、事業の局面を変えることがたくさんあるということです。その当事者でいられる瞬間は人生での仕事の向き合い方が深まる時でもあります。我々のようなVCもうまく使って、対外的にその会社の魅力を知ったり、いいキャリアに繋げていただけたらいいなと思います。

(文章:出川光、写真:小関 晃典)


最後に:「すごいベンチャー」18社が渋谷に大集結!登壇企業を一挙紹介!

12月5日、渋谷にあるGoogle Campus Tokyo の会場に、東洋経済「すごいベンチャー100」特集に選出された有力スタートアップ18社が集まり、合同採用イベントを開催しました。

参加企業 & 運営メンバー

当日の様子は、共催したインキュベイトファンド様のイベントレポートで公開しております!参加企業18社のご紹介もしていますので、こちらもあわせてご覧ください✨


運営:インキュベイトファンド / Google for Startups / ANRI 

今回の採用イベントが、スタートアップ企業と転職や就職を希望する方々との良いご縁となるきっかけとなりますことを願ってます!

ベンチャーキャピタルANRIは、「未来を創ろう、圧倒的な未来を」というビジョンのもと、インターネット領域をはじめ、ディープテックやライフサイエンスなど幅広いテクノロジー領域の大学発スタートアップにシード期から投資を行っております。

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