【デカい】スタートアップ予算関連1兆円!?ゆる解説【R4補正予算】
こんにちは。ANRIの補助金の人こと元島です。ごく少数ながらマニアックに刺さっている方がいらっしゃるようで何よりです。どんどん補助金活用していきましょう!
今までは補助金全般の話をしてきましたが、今回は先日とんでもない補正予算が閣議決定されていたのでゆるく見ていきます。補正予算事業は突然短期間の公募があるので心の準備が大切です!
令和4年度第二次補正予算でスタートアップ関連予算が1兆円?
11月8日に今年の補正予算が閣議決定しました。国会審議は11月末までを予定ですが、概ね方向性は変わらないと思います。補正予算全体も29兆円と巨大ですが、その中でスタートアップ関連予算がなんと1兆円ということで色んな意味で盛り上がっています。
結論から言うと、
複数年で使われる基金が多く、単年度1兆円ではない
とは言っても、単年度予算も例年と比べてはるかに巨額
です。例年通りですと、1月中旬から公募が始まります。しっかり準備して活用していきましょう!
なお、一般論として、補正予算事業は公募期間が短かったり、ちょっとした条件が付いていたり、一つの公募の予算が多めだったりとおすすめ(狙い目)です。昨年では、NEDOの「地域に眠る」が補正予算事業にあたります。2,000万円の1/1の補助金など、大変な大盤振る舞いでした。
ご参考:
経産省のスタートアップ補正予算概要
文科省のスタートアップ補正予算概要
補正からの来年度補助金は推定1,538億円(デカい)
よく見ると、教育やVC向けの予算なども多くありますので、直接的な補助金になりそうなものを抜き出します。
基金というのは、すごく雑に言うと、役所的な単年度予算でなく、複数年度にわたって事業を行う資金として拠出されるものです。基金によって年数は変わるのですが、大体5年が多いので、一旦基金に関しては5年で割って単年度予算を雑に見積もると、
合わせて1500億円超!ちょっと今まででは考えられないくらいの規模感です。令和4年度の本予算の類似事業と比較して大体10倍くらいの予算がついています(例えば、研究開発型スタートアップ支援事業(STS、PCA等)のR4本予算は21億円、補正予算はディープテック支援が200億円程度です)。
ちなみに昨年の「地域に眠る」は33億円くらいでした。それでも大きい予算という印象だったので突然のジャンプアップ。すごい。
中でも注目の予算は
注目予算はディープテック・スタートアップ支援事業です。 創薬ベンチャーエコシステム強化事業は規模はデカいのですが、「経産省、補正予算で創薬ベンチャー強化事業に3000億円、「感染症」の縛り外す」(日経バイオ)にもあるように、今のところかなり制限が厳しいうえに、認定VCの追加募集から始まると思われます。SBIR制度は省庁ニーズ待ちで、かつ過去事例を見る限りそのニーズもわりと限定的で活用が難しい場合が多いです(該当ニーズがあれば全力プッシュしましょう。)
というわけで、これです。ドン。
全体のスキームは審議では大きく変わらないでしょう。NEDOに基金として拠出され、スタートアップに補助金が出ます。過去の研究開発型スタートアップ支援事業であるSTS、PCAなどの実績が買われたと思われるので、順当。経産省のPR資料で詳細を見ると結構ヒントが書いてます。
おそらく、昨年の「地域に眠る」同様、STSやPCAに近い形式になると思います。認定VCもおそらく必要になるのではと思います。ANRIももちろん認定VCですので、ぜひご相談ください。
本年度のスタートアップ予算の概要を見ていると、例年になく、海外展開や海外からの投資の誘引などが取り上げられており、おそらく本補助金にもポイントとして入ってくるだろうと考えられます。
補助金を得るために海外進出を行うのは本末転倒ですが、元々海外展開を視野に入れていて補助金で弾みを付けられるような場合は、連携先の探索や軽い市場調査などは準備として実施しておくとよいかもしれません。
また、量産化実証支援では建屋の設計・工事費用が入っているのも特徴的です。不動産に使える補助金は貴重です。これも短期間での見積もりは結構きついので、いずれ必要な建屋なのであれば今から多少なりとも準備しておくとベターかもしれません。
例年では、補正予算事業の公募が始まるのは予算承認後1ヵ月くらいなので、公募開始は1月半ばくらいが目安かなと思います。一方で、昨年の基金だった創薬エコシステムの認定VC募集は4月からだったので、もしかしたら4月からになる可能性もあります。この辺りは、現時点ではわからないので、NEDOの公募欄を注視!あるいは元島のTwitterをフォロー!
もうひとつの重要な予算
もうひとつ補助金じゃないけど、とても重要な予算があります。こちら。ドン。
個人保証がなくなるのは本当に重要だと思います。起業家が心理的にも公庫の創業融資が受けやすくなるし、何より保証が入ることで実際に融資も出やすくなると思われます。これは正直チャンスです。創業後5年までは申込できるので、積極的に狙っていくべきです。事業のタイミングに合った資金調達を複層的に実施しましょう。
今後の期待
さすがに本年度の補正予算は特別かと思いますが(毎年こんなんだったら関係者死んじゃう…)、実は来年度予算の概算要求においても、スタートアップ関連予算がものすごく増えています。基本方針として新しい資本主義のサブタイトルにバーンと掲げているだけあります。岸田総理、引き続き期待してます!
基金もできましたし、この増加傾向はしばらく続くと思います。補助金の活用は、お金のかかる研究開発型のスタートアップでは事業の行く末に大きく影響してきます。補正予算や概算要求眺めていると、当面は、DX、GXがキーワードになってきそうです。そのために事業を曲げる必要はないですが、DXやGXの観点から自分の事業をうまく表現できないか、というのは投資家へのアピールも含めて検討してみてもいいかもしれません。
米国でも欧州でも研究開発型のスタートアップはしっかり国のお金取ったり、国にプロダクトを購入してもらってりしてライジングしています。全く引け目を感じる必要はありません。以前にも書きましたが、国を「顧客」、「共同事業者」と思って、しっかり口説き落として、一緒に事業を作っていきましょう。
追記:
他の省庁の補正予算も眺めてたら国交省予算にスタートアップ支援が明記されてました。こんな感じで各省庁でも少しずつサポート増えていくと思います!