ディープテック × フェムテックがブルーオーシャンになるのではないか?
こんにちは、ANRIの川口(@_nashi_budo)です!
今回のブログでは、最先端の科学技術がベースのフェムテック領域がブルーオーシャンなのではないか?というお話をしたいと思います。
2020年は「フェムテック元年」と呼ばれ、「フェムテック」という言葉は、近年日本でも市民権を得始めました。フェムテック関連企業はここ数年で大幅に増加しており、日本のフェムテック市場の規模は2021年の約635億円から2025年には2兆円規模になると予想されています。
そんな中、最先端の科学技術がベースのフェムテックスタートアップの数はまだまだ少なく、ブルーオーシャンが広がっています。
フェムテックスタートアップの空白領域
フェムテック領域にはブルーオーシャンがまだまだあるよ、とお話をするときに、お見せしているカラーマップがあります。Mckinseyの「The dawn of the FemTech revolution(フェムテックの夜明け)」というレポートにあるカラーマップです。こちらのカラーマップは、列がフェムテックの領域で、行がプロダクトやサービスのアプローチ方法です。色が濃いほどスタートアップの数が多いことを意味しています。例えば、Menstrual Health(月経)領域に対して、Consumer product(コンシューマー向けプロダクト)は色が濃いので、スタートアップの数が多く、レッドオーシャンになっていることが伺えます。
逆に、白い領域ほど、先行企業が占拠していないため、ブルーオーシャンと言えます。白抜きのエリアが多く、チャンスが沢山転がっていることが見て取れます。
皆さんの予想通り、コンシューマー向けのサービスを展開するスタートアップは多いです。例えば、妊娠期へのアプローチとして、遠隔診療・臨床診断サービスやアプリを提供するスタートアップは多く存在しています。また、ウェラブルデバイスを開発するスタートアップも多いことがわかります。近年では、パンデミックによるロックダウンのため、産婦人科やクリニックへ通うことが困難になった妊婦や家族が増え、アメリカを中心にモニタリングデバイスの人気が高まりました。doppli やBloomlifeなどは、胎児の心音や動きに加え、母親のバイタルもトラッキングできるデバイスを開発しています。
同じく、月経領域でも、コンシューマー向けのプロダクト(例えば、月経管理アプリなど)は多く開発されている一方で、先進的な医療や技術を開発し、提供するスタートアップは少ないです。個人的にはこの辺りを深ぼった事業も面白いのではないかと考えています。
次に、不妊分野を覗いてみます。不妊領域に対して、何かしらのプロダクトやデバイスを提供しているスタートアップは色が濃いことがわかります。近年では、パンデミックの影響により、Grip Fertility のような自宅でできる検査キットやトラッキングデバイスが人気になりました。一方で、この領域でもディープな研究や技術を使ったスタートアップは数が少ないことがわかります。
ディープテックなフェムテックスタートアップとは?
iPS細胞から人工的に卵子を作るDioseve
具体的なイメージを持っていただくために、ディープテックなフェムテックスタートアップをご紹介させていただきます。ANRIの投資先であるDioseveは、iPS細胞から人工的に卵子を作るスタートアップです。まさに、神の領域に踏み込んだ技術を開発しています。
こちらのスタートアップは、iPS細胞に複数の遺伝子を導入することで、受精可能な卵子を作成することに成功しました。簡単に短期間で大量の卵子を作成可能である同発明は、新規性の高い重要な成果として、2021年に科学誌「nature」に掲載されています。
現在、国内では1 / 5.5 組の夫婦が不妊治療を経験していると言われています。そのうち20%は卵子に起因する不妊です。晩婚化やストレス社会を背景に不妊治療の市場規模は拡大が見込まれており、2027年の不妊治療の市場規模は2.83兆円と推定されています。
Dioseveの独自技術は、患者の皮膚から作成したiPS細胞を短期間で安価に卵子に分化誘導できる画期的な技術であり、成長因子や胎児の卵巣組織は不要で、大量に卵子を生成することができます。
現在、Dioseveは、ビジネス開発として最も面白いタイミングであると、代表の岸田さんは話します。詳細をこちらには書くことはできませんが、ご興味ある方はぜひDioseveの事業やキャリアについてHPをご覧ください!絶賛採用中だそうです!
次回noteは、不妊の原因となる卵巣の老化について
今後、ディープなサイエンスを使ったフェムテックスタートアップが増えていくことを個人的に期待しています。次回以降は、より詳細なフェムテック領域に踏み込んで解説していきたいと思います。具体的には、不妊の原因となる卵巣の老化治療の領域にディープダイブします。具体的には、卵巣の老化に関する研究の背景と、卵巣の老化の課題に取り組むスタートアップはどのようにアプローチを取っているのか、についてお話しします。
参考文献
https://www.mckinsey.com/industries/healthcare/our-insights/the-dawn-of-the-femtech-revolution
https://note.com/hellofermata/n/n26122063181a
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