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ANRI アンチハラスメントポリシーの制定及び第三者機関通報窓口の設置のお知らせ

ANRIの佐俣です。
この度、ANRIとして、アンチハラスメントポリシーを制定し、一般社団法人ビジネスと人権対話救済機構(以下、JaCER)のご協力のもと、第三者機関による通報窓口を設置しましたのでご報告します。
スタートアップ業界・ベンチャーキャピタル業界におけるハラスメントについて報道が複数なされています。大前提として、いかなる状況においても、ハラスメントは断固として許されるものではありません。

私個人としても、一般社団法人日本ベンチャーキャピタル協会(以下、JVCA)のDE&I委員会のメンバーとして、また、Eight Roads Ventures Japan及びスタートアップエコシステム協会が主催するDE&I勉強会に参加する中で、どうしたらこの業界からハラスメントをなくすことができるか、考え、取り組んできました。
これらの各団体の活動の成果として、JVCAからは新DE&I推進策が発表され、勉強会からはDE&I改善のための提言がなされています。一方で、業界全体として具体策を進めていく難しさにも直面しており、ANRIは、まずは自らが率先して、実効性のある具体的な取り組みを進めていくこととしました。

現在の状況で、ベンチャーキャピタルである私たちをすぐに信じてもらうのは難しいことを認識しております。実際に、私たちに直接ご相談をいただくこともほとんどありません。そこで私たちは、まず、被害者ができるだけ不安なく通報ができるよう、アンチハラスメントポリシーによりANRIの立場を明確にし、信頼できる第三者機関に間にたってもらうことにより通報者の保護と確かな対応が行える体制を構築しました。

もちろん、ハラスメントを起こさないことが第一です。ANRIでは様々な研修を実施するなど、引き続き予防、防止のための対策も継続していきます。しかし、これらは一生学び続ける必要があるものであり、自身も含めて100%確実に完璧に振る舞うことができるとは思っていません。
各種調査や提言においても、万が一起こってしまった場合に備えた安全で信頼できる通報と介入の仕組みが最も重要とされており、ANRIはまずはここからしっかりと取り組んでいきます。

今回、JaCER共同代表理事の蔵元さんとのご縁によって、このような体制を作ることができました。ご協力に心から感謝いたします。

以下に取り組みの概要を記載します。関心を持ってくれるVCやスタートアップがいたら、遠慮なくお声がけください!

アンチハラスメントポリシーの策定


私たちANRIは、「未来をつくろう、圧倒的な未来を」というビジョンを掲げ、スタートアップを通じた新しい産業と文化の創出を目指しています。
私たちが目指す圧倒的な未来をつくるには、当社、当社役員及び従業員(以下、従業員等)、お会いする起業家、出資者、取引先など当社と関係を有する皆様とともに、互いの人権を尊重し合い、尊厳を傷つける差別や嫌がらせなどのハラスメントをなくしていくことが必要です。
そこで、私たちは、ANRI及びANRIと関係を有する皆様の人権を尊重し、尊厳を守るために、いかなるハラスメントも許容しないという基本方針を明記した「アンチハラスメントポリシー」を作成し、遵守することとしました。また、ANRIと関係を有する皆様すべての方々におかれても同様に遵守していただくことをお願いいたします。

アンチハラスメントポリシーの詳細については、以下をご覧ください。

ANRI アンチハラスメントポリシー
https://anri.vc/pdf/2024_anti-harassment-policy.pdf

策定に際し、以下の点を明確にしています。

・ 適用範囲
従業員だけでなく、お会いする起業家、投資先、出資者、取引先など、すべてのステークホルダーが対象です。
・ ハラスメント行為の定義
厚生労働省の資料等に基づき、具体的な行為についても明記しました。
・ ハラスメントへの対応
ハラスメントに対して、被害者ケアを最優先としつつも、社外の専門家の力を借りながら、適切かつ公平に対処することを明記しました。
プライバシー保護と報復行為の禁止
関係者のプライバシーを守るための情報の取り扱い及び通報者、調査協力者等に対して不利益な扱いや報復行為を行うこと禁止し、行った者に対しては厳正な対応を取ることを明記しました。
通報窓口
第三者機関及び社内の窓口を記載し、匿名での通報も可能であることを明示しました。

第三者機関による通報窓口の設置


ANRIは、JaCERが提供する「対話救済プラットフォーム」に正会員として参加しました。このプラットフォームは、「国連 ビジネスと人権に関する指導原則」に基づいて運営されており、企業とその関係者の間で発生する苦情を公正に解決するための非司法的な仕組みです。JaCERは、会員企業に寄せられた苦情を受け付け、適切な対応が行われるよう支援しています。
(苦情という表現に違和感がある方がいらっしゃるかもしれませんが、正確な表現のため、JaCERのWebページより国連の表現をそのまま引用させていただきました。)

これにより安心して通報していただけて、かつ、専門家のサポートを得ながら、より適切な対応が可能となる体制を整えました。
JaCERの活動に詳しい方の中には、児童労働や強制労働といった人権問題に取り組む組織としてのイメージがあるかもしれません。ANRIでは、セクシャルハラスメントやパワーハラスメントも同様に重要な人権侵害であることを踏まえ、これらに対してJaCERのサポートのもと、適切な対応を行ってまいります。
この通報窓口は、社内外の関係者に開かれています。調査のために情報の開示が推奨されているものの、匿名での通報も可能ですので、ANRIと関係を有する皆様がハラスメントについて通報する際にはJaCERの窓口をご利用ください。

通報窓口

1. JaCER(第三者機関通報窓口)の通報フォーム
https://jacer-bhr.org/application/form.html

※JaCERの通報窓口に関する詳細はこちらをご確認ください。
https://jacer-bhr.org/application/index.html

2. ANRI社内への直接通報
連絡先:report@anri.vc
ANRI 元島勇太、鷲谷あゆみが対応いたします。
ご事情によりJaCER窓口を避けたい方はこちらに直接ご通報ください。

※今後、ANRIのホームページからも直接JaCERに通報できる仕組みを構築する予定です


終わりに:スタートアップ業界のハラスメントの根絶に向けて


スタートアップエコシステム協会からは以下の4点がDEI改善のために提言されています。

・行動規範・倫理規定の策定
スタートアップ業界としての行動規範・倫理規定・スタンダードの策定と遵守の方針を作成する。
・研修の提供及び研修の実施状況の評価
スタートアップ業界の主要なステークホルダーが受講すべきDEIに関わる研修を作成し、その受講状況を公表していく。
・事象の追跡方法及び相談窓口
ハラスメントをはじめとしたDEIを脅かす事象を相談する中立的な窓口を設置する。
・行動規範・倫理規範・スタンダードの普及や、改善施策の実施方法
策定した規範や規定。各組織のリーダーが実施状況の責任を持つ。

また、アイリーニ・マネジメント・スクール柏野氏の調査では以下のロードマップが示されています。

■ 短期的対策(6か月-1年)
・全員参加できるバイアストレーニングの実施
・24時間匿名報告ホットラインの設置
・定期的な調査と効果測定の実施
■ 中期的対策(1‐3年)
・投資判断やアクセラレーター選考の明確な基準策定
・ハラスメントに対する明確なルールと罰則の設定
・業界リーダーによる規範と反ハラスメント行動規範の策定
・法的・心理的サポートシステムの導入
■長期的対策(3−5年)
・インクルーシブ・リーダーシップ教育プログラムの実施
・透明性のある投資プロセスと第三者監視機関の設立
・評価プラットフォーム及び加害者データベースの構築

 さらに、今般、JVCAより以下がハラスメント根絶に向けた会員への要請として具体的期限をもって示されています。

・JVCAへの入会要件として、「ハラスメントポリシーの表明」を必須とし、既存会員についても2025年4月末迄に同表明を行うこと
・2024年3月に策定済の「JVCA DE&Iガイドライン」中に記載したハラスメント根絶のための4項目(方針策定・リーダーシップ・通報システム・教育研修)について、2025年4月末迄に策定・導入をすること

今回の対応だけでハラスメントが完全になくなるわけではないですし、対策として完全であるわけではもちろんなく、継続して取り組み続ける必要があります。また、これが遅れを取り戻す一歩に過ぎないという認識もあります。私たちは、それでも、少しずつでも、前に進めることが大切だと考えています。
もちろん、ハラスメントの根絶は、ANRIだけで実現できることではなく、業界全体で協力しながら進めていくべき課題です。スタートアップに関わる多くの方々がハラスメント根絶に賛同していると信じています。今後も業界全体が一丸となって、より健全で安全なスタートアップエコシステムを作り上げていければと願っています。

ANRIでは今回のような取り組みが広まることを歓迎しています。ご紹介依頼、ご相談、ヒアリングなど、いつでもお気軽にご連絡いただければ幸いです。

ANRI 問い合わせ
https://anri.vc/contact

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