がんの引受査定について
主治医診断書について
生命保険会社の新契約引受査定者は、告知書、診査報状などから癌の部位・診断日・治療方法・完治日、その他の情報について、できるだけ多くの情報を得るため、お客様へ正しく告知頂くことを説明する必要があります。
また、お客様が、がんの治療を受けられた医師から発行された診断書には、病期・細胞タイプ・原発か再発癌か否か・腫瘍マーカーの推移などが記載されていることがあり、とても重要な書類です。また、査定には5年以内の病歴や癌病歴を記載した医師からの診断書類が常に必要とされています。病理組織診断を含む主治医の診断書が必要です。
生命保険の申し込み前に、がんの既往の詳細が分かるように主治医診断書を取り寄せておくことをお勧めいたします。
引受査定基準
・他の臓器に広がった癌つまり浸潤癌、転移性、再発の癌は引受不可になります。多重癌についても引受不可となります。
・骨・脳・食道・肝臓・肺・卵巣・膵臓・胃・精巣などの癌に対しては最終治療日から5年未満のものは基本的に引受不可となります。
・白血病、多発性骨髄腫や悪性リンパ腫などの血液のがんについては、最終治療日から10年未満のものは引受不可となります。
・その他の内臓の癌については、通常12ヵ月以内のものは引受不可になります。
・病期が、0期、Ⅰ期、Ⅱ期あるいはA期、B期の癌については、適当な観察期間終了後であれば引受の可能性がでてきます。(特殊な癌については別稿を参照してください。)
・病期が、Ⅲ期、C期は引受不可になります。少数のものは観察後であれば引受の可能性があります。
・病期Ⅳ期、D期の癌については引受不可になります。遠隔転移をした癌であり、末期がん状態にあるからです。
がん病歴以前に観察期間があるような場合でも、観察期間は当該がんの最終治療日時から算定されます。ふつうはがんの根治手術からの経過観察期間を年単位で評価します。
病期とは
病期とは、病期分類(stage)ともいい、癌の大きさや他の臓器への広がり方で癌を分類し、癌の進行の程度を判定するための基準です。癌の治療法を選ぶために判定したり、5年生存率を算出するための区分として用いられます。具体的には次のように利用されています。
・適切な治療方法の決定
・医療の結果を評価する
・過去の結果から得られる医療情報の利用
・癌の研究への応用
・予後因子の決定と評価
病期分類は、治療方法の決定に関しての判断情報となります。予後の評価を行うためには、同様な症例をまとめる必要があります。異なる加療がなされた場合にも同様な症例をまとめる必要があります。病期分類により症例の集団化をするわけです。病期分類には次のようなものがあります。
UICC TNM分類
取扱規約分類(部位別)
進展度(臨床進行度)
FIGO分類(子宮体部、頚部に特異的分類)
Dukes分類(大腸に特異的分類)
Ann Arbor分類(リンパ腫などに特異的分類)
TNM分類
国際対がん連合(Union Internationale Contre le Cancer; UICC) による悪性腫瘍の進展度に関する国際的分類がTNM分類です。このTとNとMは次のことを意味します。
T(tumor)----原発腫瘍の大きさと拡がり
N(lymph node)----所属リンパ節転移の有無と拡がり
M(metastasis)----遠隔転移の有無
これらを指標として病期(ステージ)を5期(0期~4期)に分類します。各がんごとに独自の分類が定められていて、たとえばT2N1M0と記述します。これによりT2の大きさの原発腫瘍があり、リンパ節転移があるが、遠隔転移はないことが分かります。
がん保険などの給付金請求用診断書には、がんの病理組織診断名、ICD-O 3、TNM分類などを主治医の先生に明確に書いてもらうと、保険会社への請求が円滑に行えます。
注)このTNM分類と日本の学会が規定している「がん取扱い規約」のTNM分類は異なる場合があります。