親に心配ばかりかける息子も頭痛の種の1つですね。実際に頭が痛いことにも原因があることがあります。これを2次性頭痛といい、頭痛が疾病の症状である症候性頭痛ともいいます。一方、頭痛自体が疾病の本態である頭痛は、1次性頭痛とよびます。1次性頭痛は機能性頭痛ともいいます。頭痛の80%~90%は1次性頭痛です。
急性と慢性の頭痛
頭痛には、突然発症する急性の頭痛と、いわゆる頭痛持ちといわれる慢性の頭痛があります。生命保険の引受査定では、直近に発症した頭痛である場合、頭部のCT検査やMRI検査などの精密検査が実施済みであることを確認しておくことが重要です。もっとも雷鳴型頭痛であれば入院してますね。
2次性頭痛には下記のようなものがありますが、その一部には緊急対応を必要とする危険な頭痛があります。たとえば、くも膜下出血、脳出血、脳梗塞、脳腫瘍、髄膜炎、脳炎などを原因とする頭痛が突然発症した場合です。
頭頸部外傷による頭痛
頭頸部血管障害による頭痛
非血管性頭蓋内疾患による頭痛
物質またはその離脱による頭痛
感染症による頭痛
ホメオスタシスの障害による頭痛
頭蓋骨、頸、眼、耳、鼻、副鼻腔、歯、口あるいはその他の顔面・頭蓋の構成組織の障害に起因する頭痛あるいは顔面痛
精神疾患による頭痛
危険な頭痛の特徴
頭痛の発症年齢が40歳以上の場合は危険です。というのも生活習慣病の罹患率が40歳代から増加して来るからです。がん、脳卒中、心臓病、糖尿病等などの患者数が増加します。これら疾患を原因とした2次性頭痛が起こる可能性があると考えられます。
数カ月以内の頭部外傷の既往がある場合には、それが原因で頭痛が起こることがあります。頭部外傷からの脳出血がないかを頭部CT検査で確認しておく必要があるでしょう。
片頭痛などの慢性頭痛患者でも、今までに経験したことのない性質の後頭部や項部の痛みを感じる場合には、新たな2次性頭痛が起きている可能性があります。また、突然起こった激しい頭痛の場合にも注意が必要です。1分間以内に極大となる痛みを呈する雷鳴頭痛のように、脳動脈瘤破裂からのくも膜下出血の可能性があります。
発熱、発疹、めまいを伴う頭痛の場合には、感染症による頭痛のことがあります。夜間あるいは早朝に起こる頭痛の場合は、脳腫瘍が原因の可能性があります。意識障害、けいれん、髄膜刺激症状や局所神経症状を伴うときは、頭蓋内疾患を疑う必要があるでしょう。うっ血乳頭や硝子体出血を伴う頭痛の場合も同様です。
がん、免疫不全、膠原病などの疾患を有する場合にも、合併症として頭痛を起こす可能性があります。担癌患者に免疫学的機序による神経障害が合併することもあります。これは傍腫瘍性神経症候群といいます。
緊急性が高い頭痛の原因
一般に頭痛を来す疾患の中で特に緊急性が高いものには次のような疾患があります。
くも膜下出血(subarachnoid hemorrhage)
脳出血(cerebral hemorrhage)
脳梗塞(cerebral infarction)
側頭動脈炎(temporal arteritis)
高血圧性脳症(hypertensive encephalopathy)
髄膜炎(meningitis)
慢性の頭痛
さて、2次性頭痛が否定されているのであれば、慢性頭痛である1次性頭痛
としては次の3つがあります。
片頭痛(migraine)
緊張型頭痛(tension-type headache; TTH)
群発頭痛(cluster headache)と
その他の三叉神経痛・自律神経性頭痛(trigeminal autonomic cephalalgias)
入院を必要としない程度の慢性頭痛であれば、生命保険と医療保険は頭痛のコントロールが良好として引受可と考えます。
さて、医学英語の学習を兼ねてYoutube動画を紹介しておきます。基礎知識を仕入れた上で視聴すると良く分かりますよ。
次のYoutube動画では、1次性頭痛の特徴がまとめられています。