非結核性抗酸菌症
非結核性抗酸菌(non-tuberculous mycobacteria; NTM)とは、結核菌以外の抗酸菌で引き起こされる病気をいいます。結核との大きな違いは、ヒトからヒトへ伝染しないこと、病気の進行が緩やかであること、抗結核薬があまり有効でないことなどがあります。非結核性抗酸菌は、土壌、水、植物や家畜に生育します。症状は咳、痰、微熱、全身倦怠感などがおき、進行した場合は、呼吸困難、喀血、食欲不振、発熱などが現れます。肺疾患としては、Mycobacterium avium complex(MAC)菌による肺MAC感染症が約70%を占め、次にMycobacterium kansasii菌による肺カンサシ病が20%と言われています。近年、肺MAC症は中年以降の女性や若年者に増加傾向にあります。気管支拡張症や慢性気管支炎と言われていた患者さんの中に肺MAC症と診断されるひとが少なからずいます。NTMをリストしておくと次のようになります。
Mycobacterium avium complex(MAC)
Mycobacterium kansasii
Mycobacterium scroflaceum
Mycobacterium szulgai
Mycobacterium gordonae
Mycobacterium xenopi
Mycobacterium fortuitum
Mycobacterium abscessus
Mycobacterium chelonae
肺MAC症
肺MAC(Mycobacterium avium complex)症は、非結核菌性抗酸菌症の1つで、日本で一番多い非結核菌性抗酸菌症です。結核のような発熱、寝汗などの特徴的な症状がなく、偶然に健診の胸部X線検査やCT検査で異常指摘されることで見つかります。もちろん咳や痰などの呼吸器症状を呈するものもあります。また気管支に病変をつくるため、病気の重症度と関係なく血痰が出ることもあります。
2008年に肺MAC症の診断基準が、日本結核学病学会の非結核性抗酸菌対策委員会と日本呼吸器病学会感染症・結核部会から合同で公表されました。胸部X線検査で肺MAC症を疑う画像所見と喀痰からのMAC菌の検出で確定診断されます。
肺MAC症の治療は、化学療法で、クラリスロマイシン(CAM)、エタンブトール(EB)とリファンピシン(RFP)の3剤を併用します。従来から「培養陰性化から12カ月」が治療期間の目安でしたが、15カ月以上を推奨する報告もあります。少し長めに治療をした方が再発も少ないようです。
生命保険の引受査定
生命保険の加入については、結核に準じた査定評価になると思います。肺MAC症も治療終了後3年間以上経過していれば、生命保険加入が検討できるのではないでしょうか。