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2022年1月に新設・改訂されるIPC(国際特許分類)

「知財情報を組織の力に®」をモットーに活動している知財情報コンサルタントの野崎です。

昨年のJapio YEAR BOOK2020に寄稿した「特許情報をめぐる最新のトレンド」でも触れた国際特許分類(IPC)の新設・改訂ですが、この1月にも結構大きな新設・改訂があります。

ちなみにJapio YEAR BOOK2021は2022年2月の特許情報フェア開催時に合わせてウェブサイト上で公開される予定です。Japio YEAR BOOK2021にも「特許情報をめぐる最新トレンド-コーポレートガバナンス・コード、IPランドスケープ、ESG・SDGsなど特許情報を取り巻く環境の変化」と題して寄稿させていただいております。

2022年1月からの新しいIPCについては、WIPOより既に昨年7月にアナウンスされています。

WIPOのIPCウェブサイトに行き、RCLでチェックしてみます。

こちらはNew-To-Oldにしていますので、それぞれのIPCサブクラスが新しいバージョンになっています。

いままで存在しなかったIPCサブクラスとしてはG06Vがあります。

G06Vは「IMAGE OR VIDEO RECOGNITION OR UNDERSTANDING(画像・映像の認識・理解)」となっており、これまでG06K9/00に含まれていた分類から画像・映像関連を分離するようです。

G06K9/00は「印刷されたまたは手書きされた文字を読取るまたは認識するため,またはパターン,例.指紋,を認識するための方法または装置」ということで、画像認識関連が含まれているのですが、その画像がもともとは印刷された文字や手書き文字を念頭においていたのですが、テクノロジーの発達とともに、画像や動画などの認識も含むようになり、混乱するようになったことが新たなIPCサブクラスG06Vの設定につながっていると考えられます。

あと個人的に注目しているのが量子コンピュータ関連特許分類の細分化です。

G06NというAI関連特許分類に量子コンピュータの特許分類であるG06N10/00が追加されたのが2019年1月でしたが、メイングループしかなく、量子コンピュータについて細分化された特許分類ではありませんでした。

今回の改訂でG06N10/00の下位に以下のようなサブグループが設定されました。

G06N10/20 量子コンピュータのモデル(量子回路、汎用量子コンピュータなど
G06N10/40 量子ビットを操作するための量子プロセッサーまたはコンポーネントの物理的実現またはアーキテクチャ(例:量子ビット結合または量子ビット制御)
G06N10/60 量子アルゴリズム(例:量子最適化、量子フーリエ変換、量子ハダマード変換に基づくもの)
G06N10/70 量子エラーの訂正、検出、防止(例:表面暗号、魔法状態蒸留法) 
G06N10/80 量子プログラミング(例:量子コンピュータ上で動作するプログラムを作成または取り扱うためのインターフェース、言語、ソフトウェア開発キット);量子コンピュータのシミュレーションまたはアクセス用プラットフォーム(例:クラウドベース量子コンピューティング)

その他の分類についても、テクノロジーの進歩により新規分類(サブグループ)の追加や細分化がなされていますので、ぜひご自身に関連する分野についてチェックしてみてください。


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