特許・発明者分析の活用-ソニーが新たなドローンプロジェクト「Airpeak」を例に
「知財情報を組織の力に🄬」をモットーに活動している知財情報コンサルタントの野崎です。
先日の日経ビジネスの記事でソニーグループのドローン事業参入「Airpeak」について取り上げられていました。
この記事の中に川西執行役員のコメントとして
Airpeakの開発スタートは2018年。犬型ロボット「aibo(アイボ)」のチームが母体となり「要素技術を自社でゼロから作り上げた」。
との記載がありました。
ソニーグループがドローン事業への参入を発表したのは2020年11月9日。
このプレスリリースを受けて、以下のような解説記事が出ているのですが
実はソニーグループはロボットベンチャー企業であるZMPと合弁会社エアロセンスを立ち上げています。上記の記事内には
今回のAirpeakの発表文ではエアロセンスとの関係性は一切示されておらず、別事業として展開することになりそうだ。
と推測されています。実際のところどうなのでしょうか?
このような時には発明者分析が役立ちます。
競合他社が新規事業を立ち上げるというニュースを入手した際に、どのような技術をベースにしているのか?それはその新規事業関連出願の発明者が過去にどのような研究開発に従事していたのか確認することで推測できます。
本記事ではこのソニーグループのドローンについて発明者分析を通じて、開発体制やどのような研究者・技術者が関与して「Airpeak」事業へ参入することになったのか確認していきたいと思います。
今回は発明者分析の流れを説明するため、MS Excelではなく特許検索データベースPatentSQUAREの統計解析機能(+Excel)を用いて解説します。
1. 発明者と発明者分析
既にご存じの方も多いと思いますが発明者とは、特許のベースとなっている技術的なアイデア=発明を生み出した人のことです。
特許公報には以下のように (72)発明者 として記載されています。
この発明者の情報を用いた分析が発明者分析です。
企業や研究機関に所属している研究者や技術者が必ずしも特許出願するわけではありませんが、この発明者の数をカウントすることで、ヒトの面からどれくらいリソースをかけているか把握することができます(今回は発明者数分析は行いませんが、発明者数分析の基本については次に説明します)。
またソニーグループのドローン事業参入の例では、以前にどのような特許出願(=研究開発)を行っていたか確認することができます。
2. 発明者数分析の基礎
以下の簡単な例を用いて発明者数分析の基礎について説明します。
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