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高専(高等専門学校)はどんな特許出願をしているのか?

「知財情報を組織の力に🄬」をモットーに活動している知財情報コンサルタントの野崎です。

今回の日経ビジネスの特集は「変わる新卒採用 学歴が溶けていく」でした。

この特集の中で高専(高等専門学校)について取り上げられているのですが、そういえば今まで大学・研究機関の特許出願状況について分析したことはあったのですが高専の特許出願状況について分析したことなかったな。。。と思いまして、早速調べてみました。

1. 高専(高等専門学校)とは

そもそも高専とは何か?ウィキペディアには

高等専門学校(こうとうせんもんがっこう)は、後期中等教育段階を包含する5年制(商船に関する学科は5年6か月)の高等教育機関と位置付けられている日本の学校。一般には高専(こうせん)と略される。 学校教育法を根拠とし「深く専門の学芸を教授し、職業に必要な能力を育成する」ことを目的とする一条校である。

とあります。1962年に12校の12校の国立高等専門学校が設立され、現在は全国に国公立・民間合わせて57校があり、6万人の学生が学んでいます。

2. 高専の特許・実用新案出願は?

早速、高専の特許・実用新案について見ていきましょう。データベースPatentSQUAREで出願人・権利者=?高等専門学校?で検索したところ1,472件がヒットしました。

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どこの高専の特許出願が多いのかランキングから見てみます。累積件数10件以上の出願人・権利者を見てみると

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圧倒的に独立行政法人国立高等専門学校機構が多く、個別の高専名義では群馬工業高等専門学校しかなく、個別の高専では特許出願を行っていないようです。

念のために出願人・権利者別件数推移も確認してみます。

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上位にランクインしている群馬工業高等専門学校も2002年の出願が最後で、その後は出願が確認できないので、高専の特許出願は独立行政法人国立高等専門学校機構に一元化されていると考えて良いと思います。

1990年代後半の橋本内閣時代の行政改革で設立されたのが独立行政法人で、この時期に国立高等専門学校も独立行政法人化されたようです(出所:ウィキペディア)。ちなみに国公立大学の独立行政法人化は2004年です。

残念ながら出願人・権利者の住所で統計解析を行うことができないので(CSVリストであれば住所もダウンロードできると思うのですが・・・)、どのような技術分野へ特許出願しているのか見てみましょう。

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トップはH01L(半導体)、次いでG01N(材料分析・計測)、B01J(触媒)、C02F(水処理)と続きます。

日経ビジネスの記事ではICT(情報通信)分野が取り上げられていましたが、H04(情報通信)関連の特許出願はありませんでした。またB60のモビリティやEやFといった機械工学系の分野もありません。

「実践的・創造的技術者を養成」することが高専の目的なので、ICTやモビリティ、機械工学系は特許出願につながるような研究ではなく、より実践的な実務習得を念頭に置いているのかもしれません。

ちなみに上述した出願人・権利者ランキングには企業がランクインしていましたが、これは高専と共同出願しているためです。

どのような分野で企業が共同研究、共同出願を行っているか見てみると、

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のように東洋炭素や豊田中央研究所がH01L(半導体関連)、東京ガスやチヨダウーテがG01N(材料分析・計測)などで共願していることが分かります。

上位企業だと東京ガスがB01D(分離)やC01B(無機物質)、C22C(合金)などの素材・材料分野で共同出願しているのが目立ちます。

3. おわりに

日経ビジネスの記事で紹介されていた高専が気になって、高専の特許出願についてざっくりと調べてみました。

本当は57ある高専のどこの高専がどのような技術について特許出願しているのか確認したかったのですが、またそれは気が向いたらnoteの記事で取り上げようと思います。

ちなみに日経ビジネスの記事には

偏差値の輪切りで大学も就職先も障害年収さえも決まった時代は去り、「学歴」が溶けていきます。(中略)「学歴があればどうにかなる社会は、完全に過去のものになる」

とありますが、本当にその通りだと思います。

学歴を全く否定するわけではありませんが、良い(=偏差値が高い)大学を出ていれば仕事ができる、というのは取り組むべき課題が明確な時代であれば良かったと思いますが、現在は取り組むべき課題を自ら設定する能力が求められていると感じています。

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