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総集編 2024冬#1 写真詩集
これまで、twitterにあげてきた写真とフレーバーテキスト(詩)をまとめたものです。
SIGMA fpLを撮影に使用しました。
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日々の断片を拾い集めると空になる。
そうしたものを浮かべていくのが私の仕事だが、近頃、不思議と空の青みが増してきた。
旅人は言う。
「空の密度が深くなって、粘っているんだ。海になろうとしている。直に雨も降るだろう」
なるほど。世界はこうやって成り立っているらしい。

大抵の場合、多くの人間は嘘をついていない。
自らの認識と他者の認識にズレが発生しているだけなのである。
しかし、この場合はどうだろう? 傾きを感じる。
地軸が曲がっていると思い込むほどに。
目の前の宇宙人は言う。 「地表は初めから水平だろう」と。
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暖かな陽射しが剥げた塗装を照らしている
朝か夕かはわからない。この街はずっと陽に焼けていた
悴む指が世界の終わりを教えてくれる
何度目の終わりだろうが、関係はない
錆びた階段に足をかける
反響する足音は風に消えてゆく……
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17時。
終日の質感が現実味を帯びてくる頃。
僕は天使に出会った。
翼の折れた彼女は酷く汚れていて、俯いた影が美しかった。
傷だらけの顔と目が逢う。
慈愛に満ちた眼差しは、死期を知っていた。
気づけば、たくさんの白い羽根が、風に飛ばされていた。
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唐突に訪れる春のにおい。
かつて世界を焼いた火種が、再び芽を出したのだ。
未だに鼻孔を刺激する冬の冷気は、太陽に潜む狂熱を隠せていない。
じきに夏が来る。そう、直感した。
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雨に浸した街が絶え間なく揺らぐように、朝日に沈む街は常に滲んで見えた。
街は、こうして表情を変えながら、少しづつ朽ちていく。
スクラップ、アンドビルド。
今はただ、思い出せなくて。