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KONICA HEXANON AR 57mm f1.2
演劇を見る機会があり、先日、東京へ行った。
東京へ行くのはこれで四度目。
そろそろ地下鉄の乗り方も板についてきた。
電車の乗り方なんてどこも同じなようでいて、若干勝手が違う。
駅の中なんて複雑な迷宮だし、路線が多ければ人も多い。
実は列車そのものの勝手も少し違う。
知ってるか? 地方の電車って扉の開閉ボタンが付いてるんだぜ。
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KONICA HEXANON AR 57mnm f1.2
以下全て同じ
連れて行ったのはKONICA HEXANON AR 57mm f1.2とsigma fp L、それとレンズを二本。
GFX 50Rには休暇を言い渡した。
重いのもあるが、バッテリーが今年の寒さで駄目になってしまった。
一応、ヘーネルの互換品を注文したのだが、納品が出発日までに間に合わなかった。
それにしても、57mm f1.2の写りは素晴らしい。
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絞った写真が多いのでよくわからないかもしれないが、このレンズ、開放からよく写る。
以前はSMC PENTAX-A 50mm f1.2がかなりシャープに写るレンズだと思っていたが、こいつは一つ次元が違う。
まあ、ちゃんと試したことのあるf1.2なんて数えるほどしか無いけれど。
しかしまあ、このレンズに関しても近頃の相場はいささか高すぎる。
このレンズ、店舗で買おうものなら、十万近く。
以前は4万程度で安定して買えたはずだ。
これではフォクトレンダーのf1.2が買えてしまう。
こちらのほうが写りはシャープ、しかもコンパクトで、当たり前だが状態もいいし、コシナ謹製のヘリコイドは官能的だ。
わざわざ高い金を出して状態の悪いオールドレンズを買うなんて馬鹿げている。
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この57mm f1.2は、KONICA HEXANONシリーズのかなり初期から存在しているモデルだ。
硝材の開発によって、50mmちょうどの焦点距離でf1.2の設計が可能になっても、このレンズは変わらず57mmでブラッシュアップされていった。
基本的なレンズ構成は変わらないまま、コーティングとガラスだけが変更され、コニカ製一眼レフシリーズの終焉まで寄り添い続けた。
ちなみに、アトムレンズである。
最後期のものはアトムレンズでないと思うが、EE、AEともに黄変した個体が散見される。
結構強めの黄変のある個体が殆どであるので、カラーバランスは相応に崩れるだろう。
気になる場合はUVランプなどで黄変を低減させると良い。
放射線を放ってはいるが、微弱で(というか減衰しやすい)例に漏れず危険性はあまり無いとは思う。
ただ、前面一枚目が酸化トリウムガラスであるので、あまり覗き込まないほうが良いかもしれない。
持論だが、ガラスを割るのは良くないだろう。
割れて散ったガラスを吸引するのは当然良くないが、微弱とは言え放射線を放つ物質を身体の中に蓄積するのは少しまずい気がする。
ゴミを処理する人のことを考えれば、こういうレンズを捨てるのはやめたほうが良いだろう。
カメラ屋に持っていったり送ったり、メルカリとかで売ったほうが得でいいぜ。
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コニカのレンズは、なんだか古臭くて奇妙な絵を吐き出すことが多いが、別に古いから古く写るわけではない。
フィルムメーカーらしさなのかもしれないが、しっかりと調整された味付けなのだ。
ただまあ、後年のUCコーティングレンズの描写を見るに、あのパープルのコーティングに限界があったであろうことは想像に固くない。
これがあまりにも好きなものだからたくさん集めてしまう。
標準域のレンズなんて、もう5本も持っている。
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作例としてはあまり有能ではないが、今回の写真はすべて、しっかりとrawで編集されている。
フィルムグレインも入れたので、ちょっとだけフィルムっぽい味付けだ。
f1.2という大口径はスペックだけで見ればf1.4とたいして変わらないが、その実、背景のぼかし方に新しい選択肢を提供してくれる。
ちょっと遠くの被写体でも、浅い被写界深度によってアウトフォーカス部は幾ばくか溶ける。
あまりぼかしすぎるのは好きではないけれど、こういった表現に、より大きなフォーマットが必要無いのは面白い。
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さて、今回はここまでにしよう。
面白いレンズなので、一度試してみる価値は有るだろう。
私はすっかり惚れ込んでいる。
そういえば、より廉価なレンズとして57mm f1.4が存在しているが、そちらとは全く別のレンズとして考えたほうが良い。
実はf1.2のほうが優等生だ。f1.4は魔鏡。これ以上の評価は存在しないだろう。