Ano(t)raks 設立から8年目の現在 これから

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2012年に個人のネットレーベルとしてスタートした Ano(t)raks ですが、2019年6月より法人化し、新たなスタートを切りました。今回はレーベル設立当時の状況、法人化による変化、今後のリリースについて話して行きたいと思います。

レーベル設立

1990年代前半、Indie Pop を活動の出発点とした2人組ユニット FLIPPER'S GUITAR の大躍進。僕は当時まさに彼らに影響を受けまくったバンドで活動、カジヒデキさんが在籍していた Bridge などと対バンしていました。 


FLIPPER'S GUITAR の登場以前、地方住まいの学生だった僕は、地元の輸入盤屋中古レコード屋で (当時は田舎にもあったのです)、UKのインディ盤なんかをちょいちょい買い漁っていました。こんなの聴いてるの、日本で僕だけなんじゃないかな…という、優越感と寂しさの入り混じった複雑な気持ちを抱えながら。だから、上京後 FLIPPER'S GUITAR が登場した時はぶったまげた。日本人が Indie Pop で勝負に出てるんだもん。自分のリスニング系統とリンクする人が日本にいた事にまずびっくりしたし、当然のように、一瞬で夢中になった。

日本において、現在を別にすれば Indie Pop が一番注目されていたのは、彼らが登場したその頃だったように思います。
その後、リアルタイムでその波に乗るには若かった世代による Indie Pop〜渋谷系リバイバル的な流れは、90年代後半以降もあるにはありましたが、2010年代に入る頃には国内でIndie Popという言葉を見かける機会はほぼなくなり、国内インディ・レーベルからの Indie Pop アーチストのリリースもほぼ皆無という状況になっていました。今では考えられない事かも知れないけれど。

FRIENDS AGAIN - フレンズ・アゲイン - / FLIPPER'S GUITAR【Official Music Video】

BRIDGE - Windy Afternoon


SoundCloudは、楽曲のデモ音源や曲の断片をUPするのには最適なツールで、僕も曲の断片なんかを、年に2〜3度あるかないかの気まぐれでUPしていました。UPするだけで、そこで特にアーチスト探しをしたりする訳でもなく、ぼんやりとした使い方で。2011年前後の話です。

なにかのはずみで、90年代の頃を懐かしむような気持ちでIndie Popという言葉を検索する機会がありました。日本人でこの時代にIndie Popを鳴らしている人なんていないだろうとも思いつつ。しかし、The Paellas (PAELLAS)BoyishHomecomings などなど…予想を裏切り、音は荒削りではあるけれど、90年代とはまた違う新鮮さを持ったアーチスト達が複数地下深く埋もれている事に気づきました。自分が気づかぬうちに国内 Indie Pop の新たなシーンが形成されていたのかと思いネットで色々検索してみたものの、そのような情報は皆無。信じられませんでした。こんなにも Indie Pop においてピュアな才能のある人達が、誰にも取り上げられず横の繋がりもなく、ただただ埋もれたままにある状態が。

なんとか彼らをより多くの人に知ってもらいたい。手段はなんだ?ブログか?などとひとり悩んでいたのですが、BandCamp であればリリースという形態を取れる事に気づきました。ネットレーベルという手段です。

ネットレーベル、調べても調べてもバンドサウンドを売りにしている所はほぼない。電子音楽のための手法という印象だ。これで果たして色んな人に聴いてもらえるのだろうか…。手段に自信はありませんでしたが、数%、確信がありました。間違いなく彼らの音は音楽として良い音だったし、複数いる同軸のアーチストを横つなぎに紹介する事で、シーン化させて行く事が出来るのではないかと。

レーベル名は、Ano(t)raks (アノトラックス) と名付けました。Anorak (80年代のUKインディ・シーンにはアノラック・シーンなるものがあったのです) と、Tracks をくっつけた造語です。

初リリースは2012年7月28日、"The Paellas (PAELLAS) “Following EP” でした。現在は解散してしまいましたが、メジャー・デビューを果たし、活躍については言うまでもありません。同年9月14日には初のコンピレーション・アルバム “Soon V.A.” (実は僕も音源で参加してます) をリリース。2014年には Pitchfork の記事、"10 Essential Japanese Netlabels" でレーベルが紹介されました。

他にもThe fin.LUCKY TAPES (SLOW BEACH) など、ここから幾つかのメジャー・デビュー・アーチストが登場する事になるとは、当時は思いもしませんでした。なぜなら Indie Pop を基軸とした国内インディ・シーンと言うのは、今では当たり前に存在していますが、信じられない事にほんの少し前、2010年代初頭には無人の手付かずの荒野だったのだから。

The Paellas - Following EP

Soon V​.​A.

Pitchfork "10 Essential Japanese Netlabels"


新しいスタート

2012年に個人の趣味としてネットレーベルという形で地下に埋もれるアーチストの紹介を始めたわけですが、2019年6月より企業の一部署として法人化し、新たにスタートを切りました。今までしていなかったアーチストとの契約も始めました。
現在の所属アーチストは、evening cinemacinnamons です。彼らは cinnamons × evening cinema 名義で2017年に “summertime” という楽曲を配信リリースしましたが、この曲は Tik Tok から火が着き、昨年末から東南アジアで大ブレイクしています。Spotify バイラルトップ50ではベトナムで1位フィリピンで2位を記録しました。
法人化を期に、今まで出来なかった海外へのアプローチをプラン立てしていましたが、彼らは既に海外での大きな実績があるため、そこを土台に更にグローバルな展開を進めて行く考えです。

cinnamons × evening cinema - summertime (Official Music Video)

Spotify ベトナムバイラルトップ50   1位 (2019/11/14)

Spotify フィリピンバイラルトップ50   2位 (2020/1/15)


今後のリリース

今年は所属アーチストのリリースは別として、コンピレーション・アルバムのリリースに力を入れて行く予定です。せっかく良い音楽でも、知名度がない状態でアーチスト単独リリースをしても、なかなかリスナーに届かないという苦い思いが多く、コンピレーション・アルバムをリリースする事でどのようなアーチストに対する反応が多いか見極め、その後単独リリース・アーチストを決めて行こうという計画です。コンピレーション・アルバムは、参加アーチスト同士の横の繋がりが作りやすく、また親和性の高いアーチスト同士を複数同時に見せる事で、次のシーンがどんなものなのか、そのヒントを得る事が可能なのではないかと思います。
早速ですが、今年のコンピレーション・アルバム第一弾のリリース、現在準備中です。詳細についてはまた次回に書こうと思います。


最新リリース作品

Capote - Capote Green


Ano(t)raks

Spotify
https://open.spotify.com/search/label%3AAno(t)raks
BandCamp
https://anotraks.bandcamp.com/
SoundCloud
https://soundcloud.com/anotraks
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https://www.youtube.com/channel/UC-Rp1_TjmivDIMkHdiFgWsw/
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