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ウラヌス缶作りでわかったこと

2021年
3年K組 観似爪瑠

 卒業までの三年、一番うちこんだものはウラヌス缶作りでした。
ぼくは何かを作るということにてんで興味がなかったのですが、部活紹介で見た宇蘭先輩の作る青白く光るウラヌス缶に心を惹かれ、ウラヌス缶部に入部しました。
 部活に入ってビックリしたことはウラヌス缶を作る方法はとても簡単だったことです。架空ヶ崎高校の裏手にあるウラヌス川からとれる青白い石にコイルを巻き、缶に詰めるだけで完成します。自分も試してすぐできました。しかしこれを美しく作るとなるととても難しいのです。
 石にコイルを何回巻くか、これで石から出るガスの量が決まります。巻きすぎて缶に入れると膨らんでしまい、形が不格好になります。かといって巻きを少なくすると缶が青白く光らなくなり、ウラヌス缶にならないのです。
 石はどれも似た形、似た大きさをしているのにどのくらいコイルを巻けば丁度いいのかはまるで違います。何度も試してみて、わずかな手触りの違いや、重さの違いを感じ取り、その石にあった回数を感覚でわかるようにならないといけません。
 ぼくは缶作りを繰り返し、いつのまにか石の違いを感じ取れるようにどのくらい巻けばいいのかわかるようになりました。そしてあることに気付いたのです。
 架空ヶ崎高校のみんなは他所の学校からよくみんな似た髪型、似た顔、似た笑い方をするものが多く、まるで個性を感じないと言われます。たしかに僕もみんな似てると思います。しかし似た石でもそれぞれコイルの巻く回数が違うように、見た目が似てるだけ個性はまるで違うのです。きっとコイルを巻けば誰もがガスを出すのに必要な巻き数は変わると思います。
 これからもコイルを巻き続けウラヌス缶作りに励み、誰かに似てると言わてもすぐさまコイルを巻き、違いを見せられるようになっていきたいです。

さぽーとすると映画館にいくかいすうが増えます