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自治体へのプロボノ参画後に"有償での業務継続"に発展!生まれ育った場所で初めての自治体複業に挑戦
生まれ育った静岡県で、未来職員創作アドバイザーとして初めての自治体複業に参画した南郷さん。プロジェクト中の取組が高く評価され、期間終了後には有償での業務を継続することとなり、今後も職員研修に取り組まれるそうです。
今回は、地元で自治体複業に挑戦した理由や、有償での業務の継続に至った背景についてお話を聞きました。
*プロフィール
南郷 佑奈 氏/都内IT企業勤務
静岡県袋井市:袋井未来職員創作アドバイザー
静岡県西部で生まれ、岐阜県で育つ。静岡大学卒業後、新卒でNTTコミュニケーションズ社に入社。ITコンサルタントとして従事後、人事を担当。その後はマイクロソフト社やAIスタートアップにて、地方自治体・中央省庁を中心にITツールを活用した働き方改革やWell-beingの向上を担当。
現在は、都内でIT企業に勤めながら、夫と4歳の息子との三人暮らし。プライベートでは、ロードバイクとスノーボードを嗜む。
縁ある地域で自分のスキルにぴったりな自治体複業に初挑戦
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ーー南郷さんにとっては今回が初めての自治体複業だったと思いますが、挑戦しようと思った理由は何ですか?
職員の方が自分の力を十分に発揮できない環境にいることに対してもったいなさを感じていたからです。
今まで一緒に仕事をしてきた行政職員の多くが市民や国民のために頑張りたいという高い志で働いていました。しかし、スキルやノウハウが行政では不足しているため、現状を改善していくことが出来ないことにもどかしさを抱えていました。
この経験から、民間企業の力で行政の現状を変える手助けをしたいと思うようになったことが自治体複業に挑戦しようと思った理由です。
ーー複業クラウドでは数多くの自治体の案件が募集されていますが、その中で袋井市のプロジェクトに応募した理由は何ですか?
大きく分けて2つの理由があります。
1つ目は袋井市が縁のある地域だったからです。静岡県西部に生まれ、親戚も多く住んでいるので、いつか生まれ育った地域に恩返しがしたいと漠然と思っていました。
2つ目は案件の内容が自分のキャリアを活かすことが出来そうだなと思ったからです。袋井市は未来職員創作アドバイザーを募集していたので、過去に人事の業務に従事していた経験が活かせそうだなと思いました。また、今回は『未来思考』がキーポイントだったので、現在取り組んでいるDXやITの領域の知見も役立ちそうだなと思い応募しました。
ーー静岡県には現在も多くの親戚の方が住んでいるのですね。静岡出身で、地元に恩返しがしたいという気持ちが素敵ですね!南郷さんが今回のプロジェクトに参加することを親戚の皆様に伝えたときの反応はいかがでしたか?
私が袋井市の職員の方と一緒に仕事に取り組むことに驚き、特に祖父が喜んでくれました。
実は就任式のときの写真が地元の新聞社で取り上げられ、従姉妹が切り抜いたものを祖父にプレゼントしてくれました。掲載前にもプロジェクトの説明はしていたのですが、高齢のためピンと来ていなかったそうです。私が市長と握手している写真を見たら実感が湧いたみたいで、激励のメールが届いて嬉しかったです。
祖父が入院している病院にお見舞いに行ったとき、ベット脇に切り抜きの写真が置いてあったときは少しうるっとしました。
人材育成基本方針の改善への道
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ーープロジェクトでは具体的にどのようなことに取り組んだのですか?
袋井市の人材育成基本方針を改訂するための情報収集と改善案の検討を行いました。
改訂のために新しく組み込む内容を検討するために、人事院に私と職員さんの5人で意見交換に行きました。前職の上司がリスキリングやDXの知識を活かして人事官として働いていたからです。そのご縁でアポを取ることができ、実際にどのような取組をしているかを聞くことが出来ました。同じ日に地方自治体を管轄している総務省も訪問し、これから掲げていくべき人材育成の方向性や先進自治体の事例について教えていただきました。
中央省庁への訪問後、職員の方と繰り返しミーティングをした結果、プロジェクト終了時には改訂版人材育成基本方針の骨格や方向性を決めるところまで出来ました。中央省庁で学んだことや私が今まで民間企業で培ってきた知見を取り入れ、未来志向の職員が育成できる方針を作ることができて一安心しました。
ーー自治体複業に参画したことで学びになったことは何ですか?
先進自治体の取り組みや、職員のリスキリングの体制に投資することの有用性などを知ることで、私自身の学びに繋がったのは良かったなと思います。
たとえば、地方自治体の中でも360度評価など先進的な取組を実施している所がある事に驚きました。
360度評価とは、上司、部下、同僚など複数人の評価者から意見を集めることで、公平かつ客観的に従業員を評価する手法です。民間企業ではスタンダードになりつつありますが、働き方が大きく異なる行政でも取り入れることが出来るということを新たに学びました。
プロジェクト期間終了後に有償での業務継続に発展
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ーー今回のプロジェクトを通して一番嬉しかったことを教えてください
袋井市の職員の方に「南郷さんが来てくれて良かった」と言ってもらえたことです。複業人材ではなく”私”と一緒に働けて良かったと思ってもらえて本当に嬉しかったです。最終報告会の前後では市長からも嬉しい言葉を頂くことが出来ました。
また、取組内容を評価していただきプロジェクト期間終了後、有償での業務継続に発展しました。今後も袋井市のために尽力していきたいです。
ーー有償での業務継続に発展したのはすごいですね!具体的にはどのようなことに取り組んでいくのですか?
主に職員の方へのキャリア研修やデジタル化に向けた研修を担当する予定です。
公務員の方は民間と比べ、自分のキャリアについて考える機会が少ないように思います。しかし、人材育成基本方針は職員のあるべき姿を定めたものです。そのため、職員一人一人が方針を体現するために何をするべきかという今後のキャリアについて考えなければいけません。なので、方針を改訂するだけではなく、それを浸透させるためのお手伝いとしてキャリア研修を今後担当していくことになりました。
研修では、他の自治体で活躍している職員の紹介やワークショップ形式で5年後、10年後になりたい姿について考えてもらうことなどを想定しています。
その他にも、掲げている『未来思考』の行政サービス、庁内業務への実装としてデジタル化の研修もおこなう予定です。
ーー次に繋がるプロジェクトになったのですね。最後に、初めて自治体複業に挑戦しようと思っている人に向けてメッセージをお願いします!
自分のスキルでは行政の役に立つことが難しいのではないかと思い、挑戦を躊躇している人はたくさん居ると思います。しかし、行政では高いスキルだけが求められている訳ではありません。自分では当たり前の様に思っていた考え方が行政にとっては新鮮で役に立つ場合もあります。なので敷居が高いものと思わず、構え過ぎずにチャレンジしてもらえたら嬉しいです。
また、初めての自治体複業はゆかりのある地域で挑戦することをオススメします。土地勘がある地域の方が職員と同じ話題で盛り上がることができ、リラックスして臨めると思うからです。ゆかりのある地域で自分のスキルが活かせそうな案件の募集を見つけたら、ぜひ応募して欲しいです。
▼南郷さんが監修した、袋井市の人材育成基本方針
https://www.city.fukuroi.shizuoka.jp/material/files/group/5/honpen_fukuroijinzaiikuseiR603.pdf
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取材、執筆:井原 沙樹