セトラー企画展vol.6『アナザー・東京下町』〜拝啓。下町から届いた手紙。歴史と想いがつまったひととき〜
はじめまして!3期セトラー、東京出身の戴麟懿(タイリンイ)です。
いつもアナザー・ジャパンを応援していただき、ありがとうございます!
企画展をきっかけに、私は江戸から続いてきた歴史を深掘り、そして実際町に出かけて、10年住んでいたこの下町の新たな魅力を見つけてきました!企画展開催に向けた想いをたくさん綴りました。ぜひ最後までお読みいただけたら幸いです!
自己紹介
東京都江東区生まれ。中国にいる祖母の元で幼少期を過ごしたのち、小学5年生で再び下町・台東区に戻ってきました!今年で江戸っ子10年目。下町の人と人の付き合い、人情あふれる様子に魅力を感じていて、晴れた日の下町散策が大好きです。
女子美術大学2年在学中。
高校からデザイン科出身で、さまざまな素材やものづくりに興味を持っていて、大学では“もの”ではなく“こと”にまつわるデザインを学んでいます。大学一年時の授業でアナザー・ジャパン1期生の店舗を訪れ、現地で作り手さんのお話を聴きたいという思いから、現在3期セトラーの一員として参画しています。
『アナザー・東京下町』について
東京下町はどのエリア?
「下町」と聞くとあまり馴染みがない人が多いかも知れませんが、日本橋・神田・浅草といった場所は多くの方がご存じではないでしょうか。江戸時代、江戸城からみた町人地とされていた場所で日本橋をはじめとする、商人や庶民が住んでいた地域です。
今の東京都23区の東側に位置する7つの区が当てはまります。(エリア的に、千代田区と中央区の一部も含まれます)
東京をイメージするとビル街が立ち並んでいる風景を思い浮かべることが多いと思いますが、実は東京下町は今でも一軒家や住宅街が多く、街の中に昔からある問屋が並んでいます。
私はなぜ東京下町を選んだのか
3期から郷土愛×偏愛特集の企画展が中心になり、みんなそれぞれの地元をリサーチしていたので、私も自分が10年住んできた「東京下町」を今回の企画地域にしました。
東京は他の地方と比較した時に、その地で取れた原材料や風土を使って作られているものが少なく、外から入ってきたものが多いイメージでした。最初はすごくテーマ設定に苦労しましたが、私は一度「下町」の由来について調べることにしました。
江戸下町から繋がる歴史
歴史を遡ると、江戸時代に全国から人やものが「江戸城」に集まったのがきっかけとなり、下町が形成され始めました。江戸幕府ができて、全国からものが集まり、町人が住む街では商売が日に日に繁栄していきました。
商売の繁栄によって下町が拡大していき、現在でも残る、食器具やキッチン道具・飲食店用のプロ用品を扱う「かっぱ橋道具街」、はきもの、靴、スリッパなどを扱う「花川戸靴・はきもの問屋街」、生地や布を扱う「日暮里繊維街」、玩具・和人形・花火・装飾を扱う「蔵前・おもちゃ問屋街」など、さまざまな問屋街が生まれました。
さらに江戸の歴史を調査するために、私は深川にある深川江戸資料館を訪れました。
そこで多くの庶民の子どもが商家や街職人の元に丁稚奉公にいくことが歴史として残っていました。そして、商家に入る前に寺子屋で読み書き算盤を学んでいたことを知りました。簡単な教科書以外に「往来もの」を使って文字を学んだという歴史が残っており、その時期既に手紙というものが存在していたことがわかりました。
そんな背景があり、江戸時代後半には日本・江戸の識字率が世界一位と輝いた歴史があります。日本郵便がまだ始まっていなかった江戸時代末期、江戸市中では町飛脚という職業が生まれ、安いお金で手紙を出すことができました。こうして、文字を使って想いを伝え合うことが庶民文化として浸透していったのです。
コンセプト選定
東京下町の歴史を紐解き見えてきた「手紙」という文化。
そこには東京、下町だったから発展した暮らし、人々の交わり、想いがありました。
自分の文字で誰かに思いを届けることは、少し恥ずかしく感じるかもしれませんが、誰かからもらう手紙は、もらった時も、読み返す時もその時の嬉しい気持ちを感じます。企画展を通して、文字を使って伝える想いの素敵さを、下町の書くもの書かれるもので想いを届けたいと思い、コンセプトを
〜拝啓。下町から届いた手紙。歴史と想いがつまったひととき。〜に決めました。
✉️リサーチ出張での出会い&商品紹介
今回の企画展では 書くもの、書かれるもの、江戸の文化が組み込まれたデザインをテーマに商品の仕入れをしてきました。リサーチでは、事業者さんとの出会いがたくさんありました。二つエピソードを語らせてください!
①谷中銀座での出会い
特に印象に残っているのは、普段よく通っている谷中銀座商店街で出会った起こし文の山岡さんです。通りかかったときに、素敵なはがきが目に止まり、山岡さんとお話しをしたところ、私と同じ小学校出身の大先輩でした。
山岡さんは昔の街並みを一枚のハガキにデザインし「街並みはがき」を作りました。このはがきは、「いただいた想いを飾れる」工夫が施されていて、飾って楽しめる一通の「手紙」になっています。
こうして、普段なんとなく散歩で通っていた場所でも、実はすごく地域との縁があるものが多くあり、リサーチを通して地元の新しい発見ができました。
②初めてのガラスペン
書くものの選定で、普段はあまり馴染みのない「ガラスペン」を仕入れました。近年、文房具の収集家、通称「文房具マニア」の中ではガラスペンが流行っています。自分の好きなインクと組み合わせて書けることが醍醐味なんです。
私も少し前からガラスペンに興味があり、いつか使ってみたいと思っていました。
そんな時ご縁があり、墨田区にあるclartoさんで、人生初のガラスペン作り体験をさせていただきました。
ガラスペンのパーツを熱で溶かして接着し、インクを吸い上げるための先端を作る作業がすごく難しく、何回も失敗しました。自分で体験したからこそ、綺麗なガラスペンを眺めると職人技のすごさを強く感じます。
ガラスペンで書いてみた感想は、予想以上にすごく書き心地良くて、文字も絵もとても簡単に書くことができ、完全にガラスペン沼にハマってしまいました。
個人的に、後片付けも推しポイントの一つ。水でインクを落とすだけなのでとても簡単です!
「ガラスペン使うの難しくないかな」「お手入れとか扱いとかが心配」など、初めてガラスペンを知った方に向けて、今回の企画展では、特別に「ガラスペンの試し書き」ができるイベントを用意しました!年末に向けて、大切な誰かにはがきを出す体験も行います!
最後に伝えたいこと
研修期間から計画してきた「アナザー・東京下町」。たくさんの支えがあってこその開催です。デザインを学んできた私にとって、初めての商談、商品選定、緊張する場面がたくさんあり、わからないことだらけで、仲間たちにたくさん助けてもらいながら歩んできました。同期をはじめ、事業者さんやいつもアナザー・ジャパンを応援してくださった方がいたからできたことです。
私も2024年、新しい仲間と出会い、新しいことへの挑戦をしました。そして二十歳になり、10年住んでいた地元の新たな魅力がたくさん見つかりました。8月から3期目の店舗リニューアルオープンから5ヶ月が経ち、いよいよ2024年も残りわずか1ヶ月です。私が企画した「アナザー・東京下町」は、2024年最後の企画展になります!
会期中は、クリスマス、お正月を控えており、誰かに思いを伝えるのにぴったりの時期です!ぜひ店舗に立ち寄って、自分の想いを残しませんか。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
皆様のご来店を、お待ちしております!
ライター:たい りんい(Dai Linyi)