見出し画像

コラボ企画展vol.4『アナザー・高松』〜漆芸王国から届く、香川漆器〜

はじめまして!3期セトラーの増井です。
いつもアナザー・ジャパンを応援していただき、ありがとうございます。

12月3日(火)から8日(日)までの6日間、「アナザー・高松」を開催します!

「アナザー・高松」は、香川県高松市とのコラボレーション企画展です。
香川漆器を中心に、高松のものづくりのいまを特集します。

「アナザー・高松」の内容詳細はプレスリリースへ!
▶︎https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000026.000098146.html

[香川県高松市コラボレーション企画展情報]
開催日時:2024年 12月 3日(火)〜2024年 12月 8日(日)
営業時間:10:00-19:00
定休日:毎週月曜日 ※月曜祝日の場合は営業
所在地:東京都千代田区大手町二丁目6番3号 TOKYO TORCH 銭瓶町ビルディング1階 ぜにがめプレイス
電話番号:03-6262-1375

これまでの企画展は、通常3週間、もしくは2週間で開催されてきました。
しかし、今回の「アナザー・高松」の期間は、なんと1週間!(厳密には6日間!)
これはアナザー・ジャパン初の試みです。

もちろん1週間だからといって準備や熱量が変わるわけではありません。
3週間の企画展に負けず劣らず、いや1週間だからこそできることがあるはず!と思考錯誤し、皆さんの協力をいただきながら、ここまで進めてきました。

このnoteを書いている今もまだその準備の真っ只中にいますが、
ここで少し息を整え、「アナザー・高松」について、お話してみようと思います。

皆さまにとって、高松っておもしろそう!、久しぶりに高松に行きたいな、「アナザー・高松」をのぞきに行ってみよう!と思ってくださるきっかけになりましたら、嬉しいです!


まずは、私がなぜ「アナザー・高松」を特集することになったのか、
自己紹介から始めさせてください!

自己紹介

実は、私は生まれも育ちも高松ではありません…!
東京で生まれ、小学生の頃は父の実家がある京都で過ごしました。京都での日々のなかで、自然とつくることが好きになり、中学・高校は美術を学ぶ学校で工芸を専攻。制作に熱中する6年間を過ごしてきました。大学進学後、友人が2期セトラーとして活動していたことから、アナザー・ジャパンに出会いました。

高松出身でない私が、なぜ「アナザー・高松」?


3期のアナザー・ジャパンでは、特定の地域にフォーカスし、日本各地を「狭く、深く」掘り下げて届ける数週間の企画展を実施しています。
その中で、高松市とのコラボレーション企画「アナザー・高松」を担当できる機会が訪れました。
地域の風土と文化から生まれるものを知りたい、伝えたいという想いがあった私にとって、新たな地域のものづくりを知り、作り手の方々にお会いできること、その仕事を見せていただけることにとてもワクワクしました。
一方でちょっと冷静になると、高松出身ではない私の郷土愛とは?私に何が伝えられるのだろう?という不安も。しかし、「香川漆器をメインにした企画を」と聞き、それなら私が、と素直に手をあげたくなる好奇心がありました。

その理由の1つは、高校の時に、漆を使った制作の体験から。
素材はそれぞれに個性があるけれど、優れた漆の作品をみる度に、その技はもちろん、静かな顔を持つ漆の情熱的な面に惹き込まれていたからです。
また、少し話が変わりますが、「アナザー・高松」のお話を聞いた時、私が小学生の時に瀬戸内国際芸術祭をきっかけに家族と高松を訪れ、高松港からフェリーに乗った時のこと、その時浴びた瀬戸内海の風や振動、船上から島々や景色を眺めていた感覚が鮮明に思い出されたのです。
高松で心に刻まれる原風景の1つに出会っていたことに、気付かされた瞬間でもありました。

当時の写真。高松港からフェリーに乗り、桃太郎伝説のある女木島へ!

その時の高松港は、旅の起点であり、島へ作品を見に行き戻ってきては、また出発する往来の拠点でした。それは実際の移動の意味でも、作品をみて揺れ動く気持ちという意味でもです。余韻をもったまま戻ってこられる、おおらかさを感じるまち。
私の記憶の中の高松は、ずっとそんな港まちのままでした。アナザー・ジャパンを通して再び訪れるまでは。

今回の出張では、フェリーに乗って男木島へ! 「漆の家」を見てきました。

皆さんは、高松と聞いて何を思い浮かべるでしょうか?
現代アート、世界的に有名な芸術家の彫刻アトリエ、おしゃれな港町に日本一長いアーケード商店街...、そしてやっぱり讃岐うどん!でしょうか。知る人ぞ知る盆栽の聖地でもあります。
そんななか、「香川漆器」と聞いて、「あ〜いいよねぇ」と思う方もいれば、初めて知る方もいるかもしれません。

漆は、日本では縄文時代の道具にもすでに使われていて、長い長い歴史と技があります。全国にすばらしい産地もあります。そして漆器といえば、寒い地域で作られるイメージを持つ方が多いように思います。

けれど、高松には高松の気候と風土の中で完成されてきた美しい漆があって、ずっと昔から、そして今も若い人たちが続く「漆芸王国」なのです。
しかもそれは、たった一人の志からはじまっているのです...

「漆芸王国」とは?

出張やリサーチを通して高松の歴史とものづくりを巡っていた私は、江戸時代後期の傑作した人物「玉楮象谷(たまかじ ぞうこく)」の一生をかけた漆の仕事を知ることになります。

彼は、当時漆の表現で主流だった蒔絵に追随するのではなく、中国、タイ、ミャンマーなどの漆器の技法を研究し、後に「香川の三技法」と呼ばれる「蒟醤(きんま)」「存清(ぞんせい)」「彫漆(ちょうしつ)」を生み出し、香川漆器の礎を築きます。

全国に漆器の産地はいくつかあり、香川漆器もその1つですが、高松が漆の制作に特別に適した環境だったとはいえない一面もあることを知りました。それにも関わらず、漆器の産地となり、漆芸家も輩出し、漆芸王国と呼ばれるまでになった背景には、玉楮象谷と、それに続く担い手の存在が、本当に大きいと思います。
そして、今もそんな彼のスピリットを受け継ぐ作り手の方々がいます。それは技を継ぎ磨きながら、それぞれが新しい創造で未踏の地を進んでいくことなのかな、と高松でたくさんの事業者さんや作り手さんと会わせていただき、お話をうかがう中で感じました。

制作途中のものを見せていただく本企画のデザイナー。
香川漆器を代表する技法の1つ「象谷塗」に、高松でしか採れない庵治石の粉と漆を混ぜ合わせたもので独自の模様をつけた漆器。本当にかっこいい!

実用的な漆器と鑑賞を目的とする作品としての漆芸は違いますが、普段使いの漆器にも、多彩な色漆を用いたデザイン性が高いものが多いのは、漆芸王国・高松だからこそと感じます。

高松の挑戦するスピリットを持つ人たちは、あたたかく、穏やかで、でもものすごく粘り強くて挑戦的。そんな高松の「やってみまい」の気風を感じる商品を揃えています。

さらに特集期間中には、香川漆器の魅力をたっぷりお伝えするイベントを予定しています!

▼12月6日(金)漆器と食で味わうトークイベント「はじめての香川漆器を知って、使って、愉しむ夜」を開催

「さぬきうるし Sinra」がつくる、『Ishiko』シリーズの漆器。花崗岩のダイヤモンドとも呼ばれる「庵治石(あじいし)」の粉を漆に混ぜることで、漆器でありながら金属カトラリーを使うことができ、指紋もつきにくい新しい漆器に仕上がっています。そんな漆器を使い、讃岐の郷土料理やおつまみ、飲み物など、アナザー・ジャパン選りすぐりの食品をいただきながら、「さぬきうるし Sinra」の代表・松本光太さんよりお話をうかがいます。

 ・日時:2024年12月6日(金)18:30~20:00
 ・場所:アナザー・ジャパン
 ・参加料金:大人1,500円 学生500円
 ・お申し込みはこちら▶︎https://anotherjapan-01.peatix.com/

▼12月7日(日)「漆のお箸に金粉・銀粉で絵付け!世界に1つだけの特別なお箸をつくるワークショップ」

「さぬきうるし Sinra」の代表・松本光太さんをお招きし、オリジナルの箸づくりを行います。庵治石の粉を漆に混ぜた『Ishiko 箸』からお好きな色のお箸をお選びいただき、金粉や銀粉を用いて絵付けを行います。ワークショップ後には、世界に1つだけのオリジナルお箸をお持ち帰りいただけます!

 ・日時:2024年12月7日(土)【第1回】13:00〜14:00/【第2回】14:30~15:30/【第3回】16:00〜17:00
 ・場所:アナザー・ジャパン
 ・参加料金:4,800円(Ishiko箸付き・材料費込み)
 ・お申し込みはこちら▶︎https://aj-event-02.peatix.com/

商品紹介(一部抜粋)

さぬきうるし Sinra

花崗岩のダイヤモンドともいわれる「庵治石」の粉を漆に混ぜて塗ることで、金属カトラリーを使っても傷がつきにくく、指紋も目立ちにくい新しい漆器。香川県ならではの材料や技法が使われています。

漆原早奈恵(うるしの漆原)

漆芸家・修復士の漆原さんが作る漆のアクセサリー。金継ぎに着想を得て、漆原さん自らが島の浜辺に漂着したシーグラスを集めて作られています。
また、「漆花」のアクセサリーは、時を重ねながらより鮮やかに、色艶を増していきます。

クラフト・アリオカ

樹齢数百年の黒松の中心部分「肥松」を使った器。時を重ねるごとに器は飴色に変化し、艶も増していく、まさに世代を超えて育つ器です。

Rie Glass Garden

瀬戸内の温かく穏やかな空気を届けるガラス作品。高松市でしか採れない「庵治石」やオリーブの枝葉を混ぜることで生まれる、奇跡の色です。

うどん・そうめん かじかわ

お店でうどんを作る時に出る端っこ部分を、「うどんのセカンドライフ」として蘇らせたお菓子。もちもちとしたコシのある讃岐うどんとは違う、サクサク、カリッとした食感がやみつきになります。

最後に

ここまでお読みいただきありがとうございます。

「アナザー・高松」開催にあたり、出会ったたくさんの方々、お力添えをいただきました皆様に心からお礼を申し上げたいと思います。

今回の「アナザー・高松」で出会ったのは、静かに未踏の地を進みゆく事業者さん、作り手の方々。
一生ものとはよく聞くけれど、一生を共にするだけでは短かすぎる、毎日どんどん使いながら次の誰かに手渡し、さらに魅力が深まっていく、そんなものたちが揃いました。

今回、未熟な私に大切な商品を預けてくださった事業者さま方に、本当に感謝しています。

初めての企画展、そして地元ではない地域を特集すること、不安や自分の至らなさが大きくなる中で、高松で見て感じたものを、しっかり伝えたいという気持ちで、多くの方に助けていただきながら、ここまで走ってきました。支えてくださっている皆さま、本当にありがとうございます。

1週間、1人でも多くの方にこの企画をお届けしたいと思っています!
皆様にお店でお会いするのを、心より楽しみにしています。

ライター:Momoka Masui

いいなと思ったら応援しよう!