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雨読



 

10月19日 土曜日   朝から曇天。 

朝食後、お茶を飲んでいたら ふっと畠山美由紀が聴きたくなった。

日本語の歌詞は 纏わり付くようで不快な時と 人恋しさに似た心地良さがある。

清潔な浴槽に湯を張るように 彼女の声が 部屋の隅々までゆっくり満ちていく。

今週も色々あったけれど なんとか生きていて 週末に辿り着いた。

粛々と掃除、洗濯、洗い物、家具の配置換え。 

急いだつもりなのに ハミングしながらtekipakiなんて 野暮なんだな。

母の昼食を作り始める頃 とうとう雨が落ちて来た。

雷が鳴ったら 図書館には行けない。 

心臓に毛の生えた無愛想なオバサンでも 雷だけは苦手。



母の昼食を済ませた頃 雨がひと休み。 自転車で 図書館へ。

図書館所蔵の古い書籍、雑誌etcを、自由に持ち帰ることのできる

人気イベントの列に並ぶ。掘り出し物も多いのか 業者らしき人も見かける。

整然と並び 私語も控え トラブルもない会場に 派遣スタッフの声だけが響く。

彼女は いつもなんだか刺々しい。

折角の静かな土曜日が ガサツに運んだケーキみたいに残念。

夕方から本降り。 雷は鳴らず。

高橋源一郎『飛ぶ教室』を聴きながら 常備菜を作る。

彼の声は いつもなんだか 仄かで落ち着く。



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