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蟲神器30チャンピオンシップを終えて私が思ったことと、なぜやったか

 よく来たな!

 私は長らくカードゲーム(以下TCGと省略)をしている。しかも、それを仕事にしている。かれこれ9年になる。TCGのプレイ自体は、1996年から遊んでいる。人生の半分以上TCGしているクレイジーガイって訳だ。

 そんな、私が主催として開催した蟲神器30チャンピオンシップが5/11に完結した。これはそのことについての記事だ。

 ちなみに、この記事は完全に趣味で書いている。誰かに読ませる気はない。


蟲神器30チャンピオンシップをやった理由

参加賞で配布したゴライアスシール

 蟲神器を使った別の遊び方をできないかなと思っていた時に、ハイランダーで遊ぶのはどうだろうか?と考えていた。
 一神器ってフォーマットが今はあるが、それがでるもっともっと前の話だ。
 しかし、通常の20枚の構築ではあまりにも再現性がありすぎるため、ハイランダーの意味をなさないと考え、30枚のデッキでやったところ、それがかなり面白かった。

 そこで、ヒグラシサーバーでこの遊び方を広めたところ、公認サポーターのkoroさんが異様なまでに楽しんでくれていた。

 夜中にkoroさんと雑談していたときに、「これ(蟲神器30)で全国大会やろうぜ!」と言い出した。
 これがすべての始まりだった。

 現在の水生昆虫ほぼ1強の環境に思うところのあった私は、ちょっとでも蟲神器の面白い話題を提供できればと思い、その主催をすることにした訳だった。

もう一つの狙い、SDGsな大会運営

 今回は、時間的にも大創出版様より金銭的なサポートは受けられないだろうと思っていた。その為、大会運営を自分たちだけの資金でやらねばならなかった。そこで、各地の大会を1000円以上を推奨とした。
 はっきり言ってこの金額設定で人が集まってくれるかは心配だった。ただ、予選と本戦を考えると、ほとんどの会場で場所を1日中借りなければならず、本戦でオンライン大会をやる都合上、ある程度通信速度が安定する施設が求められる。そうなってくると、会場費、スタッフの手配と、最低限上記参加費くらいでなければ、赤字になる会場も出てくることは容易に想像がつく
 私は多くの公認サポーターが自腹を切って公認大会を開いていることを知っている。もちろん、それぞれのサポーターが色々な思いでやっているのでそれをとやかく言うつもりもない。だけど、今回の大会に関してはできる限り赤字になる会場を減らしたいと思って上記金額の設定にした。金銭的にも、時間的にも無理のない大会運営になればと思ってのことだ。無理は続かない、続かなければコミュニティーは育たない、SDGsな大会運営が今後の蟲神器の課題にもなると思っている。
 また、この大会は地方も含め、多くの地域で同時に開催されることに意味があると思っている。大きな大会は都心部ばかりに行われることが多く、せっかく地方で盛り上がっているのに、どうしても蚊帳の外といった感じだ。
 全国で大会が開かれることに意義があり、それが蟲神器が長くこれからも続くことに繋がると私は思っている。SDGsな蟲神器であって欲しいし、そのために尽力したいと思った。
 そのためににも、大きな大会を運営し、そこへ参加するなら1000円くらいの金額がかかるってことを参加者にも知ってほしいと思った。
 今後、だれかが大きな大会を開くときに1000円の参加費で開いても、大きい大会だからそれぐらいはかかるよね?そう思ってもらえることで、面白い企画を考えるサポーターも増えることを望んでいる。

結果どうなったか?

多くの人が集まってくれた

 オンライン会場を含め、全国の11会場でこの大会は開催された。
延べ参加者168名がこの大会に参加してくれた。
 新たに私が考案し、公式が作っていない特殊フォーマットにも関わらずこれだけの数の参加者が集まってくれたことは、この大会に携わってくれた多くの人の尽力のたまものです。ほんまに、ありがとう!
 そして、願わくば公式フォーマットとして認定して欲しいと考えている。頼んます!
 加えて、おもしろそうと思って参加してくれた多くの人がいたから、これだけの人数の人が参加してくれた。参加してくれた蟲主、ありがとう!!

 また、協賛いただいた、大小説家のアマラ先生、滋賀の公認サポーターのもしもしさん、そして、トロフィーを提供してくれた大阪の公認サポーターのヤマタさん。ほんとうに、ありがとう!!めちゃんこに助かりました!

 大変なことも多くあったが、この蟲神器30チャンピオンシップを開催してほんとによかったなと思っている。

 っと、まぁ、私の感想やら想いばかり書いたところで面白くもないだろうから、ここからは、各地の代表者のデッキを順位準に紹介する。

 フォーマット設立者の私からコメントもつけて紹介だ!

蟲神器30チャンピオンシップ 16-9位デッキ

岩手代表ATS選手

低コストアグロ

 低いコストの虫を大量に搭載した低コストアグロデッキ。ハナグモをはじめ、カナブンと通常構築ではなかなかお目にかかれない虫も搭載されている。チャドクガ(幼虫)の採用はかなり渋い。また、除去も2枚取れており、一気に複数体展開して盤面を制圧した場合の返しに強い、装着もちの<鍬形虫の甲冑>も渋い構築だ。水生昆虫を1枚もの採用していないデッキだ。

大分代表 パンナコッタ選手

水生昆虫デッキ

 現在の通常構築のティア1である、水生昆虫に近しい構成のデッキ。打点の爆発力だけでなく、それぞれの色の攻撃力の高い虫を多くいれることで一撃でたおせる虫の種類を増やしている。除去として<息吹の開放><蚊遣火>を搭載し、どうにもならない盤面を切り開く力を高めている。注目すべきは、同型の対面を意識した、体力700攻撃力300の青い虫を3種も採用している点だろう。

福岡代表 koro選手

いかにもkoroさんらしいデッキ。間引き、キマダラとこのフォーマットの研究が見える

30時間耐久蟲神器30を完走した伝説の蟲主のkoroさんのデッキ。1コストの虫を多く取り、手数を増やせる構成と、蟲神器30において強い虫たちを詰め込んだ研究結果が出ているデッキ。今回は当たり運に恵まれなかったが、本大会で強かった上位勢のデッキに非常に強い構成になっていたので、トーナメント次第では、優勝もありえたデッキでだ。

徳島代表 MOGAMI選手

7枚の6コストのカード、通常構築ではみられない数

重めのミッドレンジデッキ。3枚の除去と、2枚のカメムシ、そしてサシハリアリを使い相手のリソースを減らすことで速度を下げ、自分の得意とする6コスト以降で勝負するデッキ。虹の架け橋などロングゲームに強いカードを採用し、サイズで相手を倒す重量級のデッキ。最後の打点を上げる、虫時雨、蜉蝣、玉響が光る。

オンライン代表 白猫選手

タメアグロ型デッキ

1コストの大量の虫と、2打点以上をたたき出しやすい、隠れると擬態の虫を搭載したデッキ。オンライン大会での優勝が目立つ白猫さんらしくオンラインからの代表として彼がその枠を獲得するのは至極当然のように感じる。ワンショット的に相手を倒すことができるこのデッキを選択したのも納得だ。とびだす枠として、ヤブキリ、ゴライアス、チッチゼミの3種を採用している。水生昆虫が採用されていないのもポイントだ。

宮城 ヘレナモルフォ選手

パンナコッタ選手に近い水生デッキ

蟲神器30はまだ生まれたばかりのフォーマットで、ここまで近しいデッキになるのは非常におもしろい。細部に違う部分はあるし、とっているカードもことなるが、コンセプトがパンナコッタ選手とかなり近く、研究の結果、強いでっきを求める中でシンクロニシティ的にこれが生まれ、そして代表となった。緑をより極限まで絞り、青い虫を増やしている。

福岡代表 ホイホイ選手

2度予選トーナメントを優勝している実力派のデッキ。

やはり、蟲神器30でも水生昆虫の強さは健在。2度の予選を優勝しているところから、このデッキの強さがうかがえる。アトラスやコーカサスとあまり通常構築では見かけない虫も取られている。緑のカードを2枚までに抑え、青の虫を17枚も採用している。実に56%を超えるカードが青と極端に青を餌場に埋められることを意識した構築が伺える。

静岡代表 ベランダ選手

多くとられた攻撃力を上げる術カードたち

1~3コストの虫で構成された生粋なアグロデッキ。擬態や隠れるを持つ虫で2打点入れ、タメアグロ的に動くことも、序盤から殴りに行くこともできるアグロデッキ。血盟と息吹の開放で早期着地した大型の虫を処理できるなど多角的に相手を葬れる構成がされている。こちらも、水生昆虫の採用のないアグロデッキだ。

蟲神器30チャンピオンシップ 8-5位デッキ

東京代表 もんし螂選手

代表者のデッキの中でもひときわ異彩を放つデッキリスト

緑の虫を大量に投下した緑単とも言えるデッキ。その数18枚。他の色の虫は1枚だけと、異常なまでにとがったデッキ。術カードも10枚と非常に多いながらも多くのデッキを倒してこの舞台に勝ち上がっているのは、その強さもうかがえる。乗り手である、もんし螂選手の魂の込められたデッキ。

福島代表 TMN選手

青多め、緑極小の水生昆虫デッキ

ホイホイ選手と同じく、緑を2枚まで極限に抑えた水生昆虫デッキ。TMN選手のが1勝多く進めているが、大きく異なるのは術の枚数も極限まで抑え込んでいる点だ。3種のダメージ除去、1枚で2打点だせる瀬戸際と、強い術だけを厳選した印象。また、水生ミラーを意識した、アサギマダラや、クマゼミの採用も光る構築。

大阪代表 もょもと選手

水生昆虫を搭載したミッドレンジ

本決勝戦の中では、もっとも術の枚数が少ないデッキ。水生昆虫のために、青い虫を多く採用しているが、術を減らすことで緑の虫を4枚とる構成にしている。また、ゴマダラカミキリを加えることで、とびだすの枚数を4枚にしアグロへの耐性を高めている。1コストの青い虫を増やすことで、水生昆虫が並んだ盤面をどうにかできるなど、レンジ調整も考えられた構築。

オンライン代表 みゃっひ選手

18枚の1コストの虫たち

ほぼ、極限までコストを落とした1コストアグロデッキ。30枚中18枚が1コストの虫で構成されており、3コスト以上の虫は、とびだすと、リオックのみ。術も0~1コストのものしかなく、極限まで軽く構成されたアグロデッキ。デッキ全部のコストを足しても50までしかいかず、平均コストは1.6コストと軽さに全部振りした、とびだすアグロデッキだ。ハグロトンボやチャバネアオカメムシと公認大会ではなかなかお目にかかれない面子がいるのも良い。

蟲神器30チャンピオンシップ 4-3位デッキ

いよいよトップ4のデッキです。どちらの選手の決勝へ上がった選手から1ゲームずつとっている強豪デッキたちだ。

愛知代表 まゆちゃむ選手

重めの水生昆虫デッキ

他のデッキに比べ、6コストの虫を多くとった水生昆虫デッキ。6枚の6コストの虫と、どっしりと戦える構成になっている。蚊遣火、電気虫、息吹の開放、ゴミムシの爆熱弾と除去をふんだんに搭載し、序盤の相手の速度をくじいて、このデッキの真価を発揮する6コスト以降で戦えるコントロール的な要素も兼ね備えている。虫時雨だけでなく、白銀蜘蛛の糸も採用しており、後半に強い構成だ。

福岡代表 ブルー選手

水生昆虫不採用のミッドレンジデッキ

除去を4種入れることで盤面をコントロールできるデッキ。ロードハウとオオコノハムシと2種の擬態やグラントシロカブトなど、場に残りやすい虫とともに2体以上の虫をたてて盤面を取っていくデッキ。ジョロウグモや、グンジョウオオコブハムシとこのフォーマットで強い虫もしっかりおさえられたグットスタッフなデッキ。水生昆虫を採用せず、トップ4入りしたのはすごい!!

蟲神器30チャンピオンシップ準優勝 大阪代表 びしゃもんてん選手

SP選手と共に共同開発した、カメムシアグロ

2位のデッキは、カメムシアグロデッキだ。水生昆虫と、全種類の全体強化カードを搭載した、タメアグロデッキ。ナナフシモドキや、ジグモ、クラウディーナを起因に動けたりとかなり面白い構成。相手の虫をカメムシの毒霧散布で葬って、手札を枯渇させることで、より有利な立ち回りができるようなっている。使用には練度が必要であるが、多くの人が予想していなかったデッキ構成だったこともあり、初戦で勝利するのは非常に難しいデッキタイプである。

蟲神器30チャンピオンシップ 優勝     愛知代表 SP選手

2位のびしゃもんてんさんと1枚も変わらないデッキ

優勝、準優勝と、1枚も変わらないデッキ。上位を総なめにしたのは、カメムシアグロデッキだ!彼らは本大会に向け、研究に研究を重ねこのデッキへとたどり着いた。大型の虫を1体たてて戦うやり方が、リスクに対してリターンが少なく、安定して勝つことが難しいことを悟り、小型の虫を大量に展開しつつも、術ばかり引く事故を無くした上で相手の手札を枯らすことができるカメムシに着目し、このデッキになったとのことだった。現在の蟲神器の環境においては複数の虫を倒せる1枚のカードが非常に少なく、そこに活路を見出したデッキとも言える。3-4位である大きな虫と除去の多いデッキに不利ながらそれをはねのけて決勝の舞台へ二人を送り込み、優勝を果たした素晴らしいデッキだ。使用するにはかなりの練度を要するが、時間内にその難しいカメムシ算を終えらえるSP選手の腕前の賞賛すべき点だろう。

上位デッキ分布図

デッキの分布図、ランプデッキは0人だった。

上位16名のデッキ分布図だ。除去の術を4枚以上をコントロールとして振っているので、実際はもう少しコントロールが多かったように思うが、概ねデッキはかなり分散されていた。かなりバランスの取れた環境だった。

水生昆虫の採用分布図

水生昆虫の採用率は60%だった。デッキによって使用枚数が異なるものの、通常構築大会に比べその採用率は格段に減ったように感じられる。ニジイロクワガタを禁止にした点も大きかったのではないかと思われた。

とびだせゴライアス!

我らの蟲神器の顔、ゴライアスは1人を除いてデッキに採用されていた。

という訳でした

まさか、カメムシアグロが決勝で対峙することになるとはって感じ。
それぞれの蟲主が研究し、練習した結果で優勝者が出た大会となった。
多くの人が楽しんでくれたこと、やってよかったなって思う。
ちょっと仕事も忙しくなった(これの準備で後回しになったってのが正しいけど)ので、すぐに何かって、できんけど、おもろいことまたできたらええなって思ってる。

また、何かのおもろい大会で会いましょう!シーユーアゲイン!!

さて、ここまでが表向きの話で以下は、運営の裏側の話。

読みたい人だけ読んでくれやって感じかな。

もっと詳しい蟲神器30誕生秘話

 蟲神器30が生まれた理由は、水生昆虫が強すぎることにある。
 蟲神器3弾が発売して、水生昆虫が登場した。

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