ようやく押されたリセットボタン。
皆さんこんちには。既に聞き及んでいるかとは思いますが,ドラフト時からワシントンを支え続けたBradley Bealが先日フェニックスへトレードされました。この結果に至るまで,外野から見ていても色んな事があったのかなと思うので,つらつらと書き残します。
予めではありますが,筆者は特にワシントンファンではありません。悪しからず。
1.Bradley Bealの放出
思い返せば多分3年くらい前から,「Bealをトレードしろ!」という論調自体はずっとあって,私もその一派でした。背景としては以下の通りです。
・チームがパッとしない
・彼に大金を渡す未来が見えていた
チームがパッとしないに関しては,ワシントンのここ数年の成績を見れば
分かる通り,”すごい弱くは無いけどすごい強くもない”を体現しています。
Bealが本格的に活躍し始めた2016-17シーズンもカンファレンスでは4位でしたが,プレーオフは2回戦敗退でした。
この頃からチームはJohn Wallと共にバックコートの2人にコミットし,
合計で約40mil注ぎ込んでいました。また,センターの2名にも合計で
28milも使っていた事実があります。
(複数のセンターに大金…どこかで聞いたような…ミネ…?)
現代NBAでバックコートに大量のサラリーを渡して優勝した例は
ゴールデンステイト以外存在せず,今考えてみればチームビルディングで
大きなミスをしていた事が良く分かります。
過去の振り返りの性質上,全て結果論にはなってしまいますが,
当時は現在ほどウイングプレーヤーの価値は高いものではなく,
まともなウイングと言えば,Otto Porter Jr.くらいでした。
こんな感じで一生懸命戦うものの8位が天井のまま戦い続けた結果,
”THE・中途半端フランチャイズ”になってしまった訳ですね。
今に至るまでは皆さんご存じかとは思いますが,Russell Westbrook,
Kristaps Porzingis等のブロックバスターでスターを引っ張ってきたり,
LAからKyle Kuzma,KCP等連れてきたりと,フロントは諦めずに
戦う姿勢を見せていましたが,どれも結果には結びつかず,
そんなこんなをしてる内に,Bradley BealとはSMAX契約を結んでしまい,
「あ~あ~やっちゃったよ。」ムードが漂っていました。
しかもトレード拒否事項までつけてしまったのが余計に酷さに拍車をかけています。
SMAX契約の1年目だった昨シーズン,BIG3の2~3番手を3人集めたチームで
当然勝てるはずもなく,大金使ったのにプレーインすら出られないとかいう
大コケをかましてしまったのは記憶に新しいですね。
誤解されないように言いますが,Bealが下手くそだとは全く思いません。
5y/250milの価値が無いとも言いません。
ただ,AAV50milの価値”しか”無いという意味です。
AAV50milクラスの選手はリーグに数名いますが,彼らは1人で50mil以上の
結果をコート上で残しているので,戦術面だけでなく編成面でもプラスになるんですが,Bealはそこまでの選手では無いという意味です。
2.なぜ今なのか
1番分かりやすいのは,フロントオフィスの主要人物が変わった事です。
個人的には,選手の獲得に関与しているシニアバイスプレジデントの
トラビス・シュレンクが目を引きました。
彼はアトランタで非常に良いチームを作り上げた経歴があり,ドラフトでも下位指名を当てて戦力化するのが上手な人です。
NBAでは良くある話で,前のフロントが獲得した選手や,重い契約の選手はどんどん放出する傾向があります。
実際に今オフはBealのトレードにすぐKristaps Porzingisをボストンへトレードし,遅すぎるタンキングの意思を見せています。後はKyle Kuzmaをどうするかがメインになりますが,これは最後に記述します。
3.トレードの見返りとして得られたもの
まず,Bealのトレードで受け取ったものを振り返ります。
・Chris Paul
・Landry Shamet
・6つの2巡目指名権 (2024, 2025, 2026, 2027, 2028,2030)
・4つの1巡目交換権 (2024, 2026, 2028,2030)
まずCPですが,彼は更にフリップでゴールデンステイトへ
トレードとなりましたので,多くは語る必要が無いと思います。
強いて言うなら,サラリー合わせかつ,フリップできない場合は
保証サラリーが少ない内にカットする事で少しでもペイロールの
柔軟性を確保する為にCPを求めたのかな,と予想できますね。
Shametはオフボールで動いてキャッチ&シュートの人なので,
別にいても困る事は無いと思います。サラリー的にも10mil程度なので,
トレードもしやすいかなと思います。
さて,問題は指名権ですね。2巡目は戦力的な意味で言うと期待はできないですが,トレードのしやすさに加え,今年から適用される新CBAの都合上,2巡目で安く選手をドラフト出来て,育てられたらラッキーの側面があるので,ここに関してはワシントンが得をしてるような気がします。
1巡目交換権ですが,2024と2026に関してはほぼおまけみたいなものだと
個人的には感じます。短期的な予想ですが,恐らくサンズは2026年までならまだ優勝を目指して強いチームで居続ける可能性が高く,尚且つワシントンはギリギリ再建終わるかな?くらいの状態だと思っています。
この状態だと分かる通り,ワシントンの1巡目の方がサンズより高い順位になる確率が凄く高いので,この2年の交換権はおまけと表現しました。
一転して残りの2028,2030に関してはさすがにサンズも多分弱くなっている可能性が高く,価値のあるピックになっているかも知れないので,数年後のお楽しみです。
Bealではありませんが,Kristaps Porzingisのトレードで受け取った物にも
触れます。
・Tyus Jones (メンフィス経由)
・Danilo Gallinari (ボストン経由)
・Mike Muscala (ボストン経由)
・2023年ドラフト全体35位(ボストン経由)
ワシントンでキャリアハイシーズンを残したKPの対価としてはちょっと
弱いのかな,とも思いましたが,彼の大きな契約を3つの細かい契約に分割しつつ,勝敗に大きく左右するような選手を求めなかった事でタンキングの
後押しとなるでしょうか。
また,上でも記述した通りCPをゴールデンステイトへフリップして貰った物にも軽く触れます。
・Jordan Poole
・Ryan Rollins
・Patrick Baldwin Jr.
・2030年1巡目指名権 (プロテクト済み(内容分かりません,ごめんなさい))
・2027年2巡目指名権
最もプレーヤー的に価値が高いのはPooleでしょうか。非効率ではあるものの,スキルそのものはある24歳なので期待した感じでしょう。
ちなみに,筆者は嫌いです。
未来への投資と見るならやはりPBJですね。高校時代は大活躍でしたが,
怪我で大学ではほとんど実績なしでした。ただ才能の片鱗は随所に感じるので,Pooleよりも期待しています。
■貰ったもの一覧・Chris Paul
・Landry Shamet
・Tyus Jones (メンフィス経由)
・Danilo Gallinari (ボストン経由)
・Mike Muscala (ボストン経由)
・Jordan Poole
・Ryan Rollins
・Patrick Baldwin Jr.
・2023年ドラフト全体35位(ボストン経由)
・2030年1巡目指名権 (プロテクト)
・2027年2巡目指名権
・6つの2巡目指名権 (2024, 2025, 2026, 2027, 2028,2030)
・4つの1巡目交換権 (2024, 2026, 2028,2030)
4.2023-24シーズンの過ごし方
さて,貰ったものをずらっと並べた上で,現時点での来シーズンの
デプスを確認します。が,数が多すぎるのでリンクで勘弁して下さい。
※ポジションにツッコミどころはありますがそこは無視で
https://www.lineups.com/nba/roster/washington-wizards
オフと来シーズン中にやる事は明確です。
オフ:Kyle Kuzmaとの再契約
シーズン:取捨選択
Kuzmaは現在UFAな訳ですが,ここは再契約がマストです。タダで出ていかれたら話にならないので,まずは残しましょう。多分4y/120milがスタートラインだと思います。理想としては今年再契約しすぐトレードして他所から1巡目を回収です。
Jordan Pooleですが,彼も同様トレードチップにすべきでしょうか。来シーズンからAAV約30milの契約が始まるので,彼が活躍しないとまた新たな不良債権が生まれてしまいます。シーズン中は一生懸命お膳立てをしてあげて,どこか1つでも引っかかったら悩まずすぐトレード,が賢い動きかなと思います。
また見たら分かる通り選手が多すぎます。プレータイムを与えたい選手が
どれくらいいるのかは分かりませんが,トレードアップしてまで8位で指名したBilal Coulibalyが腐ってしまっては意味がないので,チーム内での軋轢無く彼をスムーズに使える環境作りが必要で,その為のKuzmaトレードが待たれます。ただ,歴史的に何人もウイングプレーヤーを潰している過去があるチームなので,今回は失敗しない事をお祈りしましょう。
そしてここが1番なんですが,PGの層ですね。現時点だと正統派PGを求めているチームが比較的多い印象があるので,Tyus JonesかMonte Morrisのどちらかはトレードした方がお得でしょうか。
また,去年大失敗したロッタリーピックのJohnny Davisですが,今年は多少まともになるんじゃないかなと思っています。大学で1回もやった事のないPGをやらせ続けた結果,下部リーグで得点だかアシストがTOより少ないとかいう意味の分からない事件が起きていたと記憶しています。昨シーズン最終盤にNBAでプレーし成績自体はまだ見られるものだったので,皆さんもう少し期待しても良いと思います。
長々と記述しましたが,全ては”中途半端フランチャイズ”を卒業する為に必要なプロセスでしょうか。煽り感情抜きに,今のチームで将来コアになる選手は一人もいないんじゃないかと思っています。順調に成長すれば,Deni Avdijaが足りない所をピンポイントで埋めるロールプレイヤーっぽい雰囲気は感じます。完全ウェーバー制ドラフトが敷かれている以上,強くも弱くも無いチームが1番しょうもないのは事実なので,一生懸命タンクしましょう。
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