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2023年末現在の一軍プラグイン(フリーも幾つか有)

DTMをやりだしてからそれなりに時を経て、お小遣い制の貧しいサラリーマンの自分にも、それなりにプラグインがそろってきて、取捨選択できるくらいにもなってきた。
そこで、今まで自分が使用してきた数々のプラグインの取捨選択の末、一軍に残って来たナイスプラグイン群をまとめてみたい。


Reveal Sound 『Spire』(シンセ)

別にEDMやるわけではないので、Serumより汎用性が高いと思われ、割引セールもよくやっているという事もあり、そんなセール時にSpireを導入した。個人的な制作方法として、MIDIを携帯アプリより書き出して、StudioOneに入れて、適当なシンセ音色を探すのだが、この用途においてはやはりSpireでまず鳴らしてみる事が多い。「とりあえずビール」という感じの「とりあえずSpire」である。プリセット音色の中に大体満足できそうなものがあり、ちょっといじれば、もうこれでいいか、となる。多分自分に合ってる。プラグインに1万円以上かけたのは恐らくこれのみだが、それだけの価値は十分にあった。
メインはとにかくSpireで、後は音色のキャラによって他のシンセを使い分ける。Spireを軸としてやる事でとにかく効率が良くなる。

Boz Digital Labs 『Manic Compressor』(コンプ)

シンセのメインがSpireならば、コンプのメインはこれ。とにかく操作が簡単で視覚的にも非常にわかりやすい。だから、「コンプって何?」っていう初心者こそこれを使用すべき。アタックやリリースの設定の違いまで含め、視覚情報で「コンプのはたらき」ってものを理解できる。
そしてその設定したパラメーター値を保持したままコンプの種類を選択出来るってのも素晴らしいし、パラレルコンプに関してもスライドメーターを上げ下げするのみ。故に、これも「とりあえずビール、とりあえずManic」という類のナイスメインプラグインと言えよう。あとはヴィンテージ系のクセ強コンプとかを用途によって使い分けていけばいいじゃない。

Sonnox 『Oxford Inflator』(サチュレーター?)

音のラウドネス感を高めるためのエフェクター、との事。トラックの音色に対してとりあえずかけてみる。要らないと思えば外す。よってこれも「とりあえずInflator」なとりあえず系プラグインと言える。
これの良い所は、内部仕様がブラックボックスっぽいらしく、なんだかわからんがとにかく音がいい感じにラウドになる、という部分。そのよくわからなさにロマンがあり、そしてそれはそのまま実用性でもあると言える。つまりコンプとかをかけると、明確に音に対して潰す作用をほどこす事になるのだが、音の波形に対して何かを作為的に行う行為は、良くも悪くも理屈の道筋が出来てしまう。それに対し、こいつの場合は、結局よくわからない作用を謎にほどこしている事になるわけで、そのよくわからなさが実用性なのである。すなわち聴いてみて良いか悪いか、という事だけの感覚ツールであり、DTM作業には往々にしてそういうものが必要だったりする。もちろん操作も簡単で、スライドメーターの上げ下げのみ。万人がセール時に導入しておくべきプラグインと言えるだろう。

Wavesfactory『TrackSpacer』(ダッキング)

曲全体におけるトラックとトラックの音のぶつかり合いを回避するサイドチェーンダッキング32バンドダイナミックEQ、なるもの。その処理をわかりやすく言うならば、とある音Aが鳴ったタイミングでとある音Bの音量を自動で下げて、音のぶつかり合いをなくす、というシンプルな処理。その音の下げ方に32バンドダイナミックEQという技術が使われており、とある音Aと、とある音Bの関係はEQメーター上で表裏になる的なナイスな処理が自動で施される。
ゆえに、音のタイミング的に音ぶつかってそうなパートにはまずかけてみる。それで良ければ良いし、良くない場合には音符フレーズから変えて行く。ここで大事な事は、音と音がぶつかった時に、フレーズを変える以外の選択肢があるという事であり、すなわち可能性が広がる。とはいえ、あまり生音なジャンルでは使いにくいかもだが、エレクトリックミュージックにおいてはそのダッキング自体がシンセシーケンスに対するひとつのスパイスであり、エフェクトともなるわけで。つまり守りの発想での音整理に使う事も出来るし、攻めの発想でのエフェクトにも使う事が出来るわけで、まあよく使う。しかも設定等の操作性がめちゃ良くて非常に簡単なので、「ダッキングって何?」っていう初心者にも非常にお勧め。

Caelumaudio 『Flux Mini 2』(ダッキング)

こちらはサイドチェーンじゃないダッキング。ダッキングカーブをグラフに描き、そのループでダッキング処理を施す。そしてそのループ周期はDAWのテンポと同期出来る。この処理をわかりやすく言えば、たとえば白玉シンセ音や長いサンプルフレーズを、シーケンス的にぶつ切る事が出来る、というようなもの。
そして大事な事は、これがフリーソフトであるという事。つまり音に対してそういう類の処理を施したいという時に、誰でもすぐに導入出来て、かつフリーソフトにありがちな不足感がほとんど感じられない。しかもプラグインブティックに置いてあるフリーソフトなので、管理もしやすくてまあ最高。万人が即座に導入して間違いの無い素晴らしいフリープラグイン。

UJAM 『Beatmaker IDOL』(ドラムマシン)

自分の場合ドラムの打ち込みはまずUJAMのドラムマシンプラグインのどれかで適当に鳴らしてみて選び、そこからMIDIをトラックに張り付けて、音符を削ったり追加したりいじって行くのが一番早いしラク。
そんなUJAMドラムマシンは何種類か持っているが、エレクトリックミュージックなので生音系よりもマシン系の方がやはりしっくりくる。かつ別にEDMやるわけではないので、汎用性が高いこの『IDOL』をチョイスする事が多い。内臓されているパターンも音も自分の音楽には一番しっくりくる。音単体だけとっても、普通に好きなドラムマシンの音してる。かつUJAMドラムマシンに共通の機能ではあるが、パターンにシャッフルをスライダーでかけられるし、単音パラアウトも出来るし、もう言う事ないでしょ。BOSSのDR-55から始まったプログラミングドラムマシンも、時を経てここに極まれり、と言えよう。UJAMのドラムマシンプラグインがどれだけトラック制作の時短やモチベーションに貢献していることか。それは正にはかりしれない。

Universal Audio『UAD Guitar FX Bundle』(エフェクターバンドル)

2023年末現在セール中で、自分もこのセールで最近導入しさっそく使いまくっている。自分の狙いはRoland/BOSSの空関系名器群「SDD-320」「RE-201」「CE-1」。この3つだけでも49ドルってのはまあ破格。
個人的にリバーブの音ってなんか不自然な感じがしてあんまり好きじゃない。ハード機材でテクノやってた時には、リバーブではなくアナログディレイやエコーで空気感を出す事が多かった。DTMでもその手のフリーソフトとかで誤魔化して来たが、プラグイン最高峰のUADで、いずれも持っていないバンドルがこの価格とあっては買うしかないでしょ。実機との差異はわからないが、そこはUADの歴史とキャリアを存分に信頼しよう。俺はデジタル上でRoland空関系名器群をたったの49ドルで手に入れた。それだけで十二分に素晴らしい事だ。実際使ってみても、非常に使いやすい。音にすんなりとなじんで違和感はまるで無い。やはり時代を超えて愛される名エフェクトというものは、なんつうか音楽的。それを実感できる。
あとレキシコンのリバーブもロータリースピーカーもちょっと試しに音確認してみたくらいで今はまだ使いこなせてないので書けないが、こちらも使いどころは必ずあるでしょ。『Teletronix LA-3A』はこないだフリー配布されていたLA-2Aと使い分けが出来る感じで、早速音によってさしわけている。
セールは2024年1月8日までの模様。「SDD-320」「RE-201」「CE-1」いずれも持ってない人ならこの機会に買っておいて間違いないかと。

MeldaProduction 『MSaturator』(サチュレーター)

MeldaProductionのフリープラグイン群には可能性が詰まっている(GUIのせいで可能性が狭められているとも言える)ので、気になるものはとりあえず入れておいた方が良いと思う。その中で自分はこれをよく使用する。
こいつで主に何が出来るか、個人的にしたいかってえと、それは倍音付加。たとえばベースに対して倍音付加処理するプラグインで有名なものにWAVESのルネッサンスベースってプラグインがあるが、あれはワンノブ系で、グイっとスライダーを上げて自動でいい感じに倍音付加するプラグインであるのに対し、こちらはそれぞれの倍音をどれくらい付加するかっていう数値を指定する事が出来る(数値で指定するしか出来ない。MELDA的=数値)。よって自分はルネッサンスベースとこれをダブルでかけてる。ルネッサンスベースでとりあえず自動でバランス良く倍音を付加して、その後ろにMSaturatorで、耳で聞きながら適当に数値を微調整する、というぐあい。するとさらにグイっと良い感じの倍音付加処理をすることが出来る。
とにかくフリーである事が素晴らしいプラグインであるという事は間違いないのだが、やはりMELDA的GUIのクセが強いので、「MELDAと鋏は使いよう」というDTM諺を提唱したい。

Psychic Modulation 『Phonec CM』(シンセ)

英コンピューターミュージックマガジンの付録おまけプラグイン群の中の一つ。Spireのところに書いた様に、Spireをメインに据えて、Spireでは出せない世界観の音を他のシンセで表現する、という制作姿勢において、このPhonecはそのサブ役割においての絶対に必要なスーパーサブ。とにかく音が明確にわかりやすくいなたい。くすんだ色彩の様な音のシンセ。[MELT]というパラメーターがあり、このツマミをひねれば、ただでさえメルティンな音色が、更にメルティンメロウされて行く。そんな特殊な音に特化したシンセ。ゆえにこの音が必要であれば、いかにシステムがリッチに進化しようとも、こいつは残る。一芸に秀でる事の重要性。
ちなみにCM版における機能制限とかは知らない。CM版で普通に必要な使い方が出来ている以上、素晴らしいフリープラグインという位置づけで良い様に思う。

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