Tempalayが売れちまう... のか?
2021年2月5日、事件が起きた。
TempalayがMステに出たのだ。あのへんてこなバンドが。
「Spotlight」というニューカマーを取り上げる企画でVTR出演したので、Mステにゲストで出たわけではない。がしかし、にわかに信じがたい事態だ。
前衛的、個性的、ぶっ飛んでる、色々彼らを形容する言葉はあるが、聞いてもらったらよく分かるんじゃないかな?
こんな感じの人たちです。
あと尖った音作りをしつつ、ライブパフォーマンスもハチャメチャにかっこいい。
そんな彼らだが、昨年12月にメジャーデビューしてからメディアでの露出頻度も増えてきた。流れとしてはこれからヒットすることを見据えた動きをしている。
これは、あれか?Tempalay売れちゃうやつか?いやー でもなー ちょっとイメージできないなあ。日本の隅々でTempalayが聞かれてる未来。Tempalayの音楽、ちょっと終末感あるし…
僕の中では「文明の廃れた星で流れてる音楽」ってイメージがTempalayの音楽にはあってですね。Tempalay聴いてると、世界と一枚距離を挟みながら移ろいゆく世界をただただ眺めているイメージが湧いてくるんですよ。懐かしいような、虚しいような、でも美しい。そんな曲を作る彼らのことが僕はずっと大好きです。
でもさそんな終末感ある曲が、日本中で流れてる未来、ちょっとまずくないですか? その未来、ほんとに大丈夫? 日本征服されてない?
そんでもって先月出たアルバム『ゴーストアルバム』、これもやばかった。すごいもん、変な曲しかない。一方で玄人好みの作品ではなく、多くの人の心を揺り動かす作品だった。小原稜斗氏はインタビューのなかで「人って自分の心象に(創作物が)触れたときに、なんとも言えない胸がギュッとなる感覚があると思うんですよ。その郷愁感に触れられたらいいなとはいつも思っている」と言っていたが、心の奥底に秘められている感情が掘り起こされるようなアルバムだった。
特にぐっときたのが『GHOST WORLD』と『冬山惨淡として眠るが如し』の2曲だった。僕だけじゃなく皆がこの1年色々なことが制限されて、様々な感情を抱いたと思うが、この2曲はそんな思いを包みこみ、成仏してくれたような気がした。このアルバム、及びアルバムを出してくれたTempalayには本当に「ありがとう、作ってくれて」と思う。
序盤でTempalayは尖ってるだとか、日本の真ん中で鳴るには終末的すぎると言った。あれは間違ってないと思う。ただこの曲が広がり、色々な人の色々なわだかまりを成仏してくれるなら、これほど素晴らしいことはないんじゃないかと思う。
だからこそ思う「Tempalay、売れちまえ…!」と。