黒澤くんと私。【01】
彼の存在に気付いたのは、中学2年生の春。
学年が変わって初めての授業は
オリエンテーションで、
出席番号順にひとことずつ自己紹介をしていく。
「黒澤です。よろしくお願いします。」
みんな自分の部活動や、好きな授業を添える中、
彼はそれだけだった。
それだけ?と思って目を向けた顔は
緊張しているのか、それとも不機嫌なのか……
怖っ
これが第一印象だった。
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「え……、え?」
「ヤグザの息子らしいよ、黒澤くん」
「えぇ!?」
今朝の自己紹介で、少し浮いた存在になった
黒澤くん。
休み時間に友だちとわいわい話していると、
彼と同じ小学校だった子がそう言った。
思わず大きな声を出してしまった口を
バチンと手で塞いで、彼をちらり。
大丈夫大丈夫、気づかれていない。
「喧嘩も強いしね。静かそうに見えるけどやんちゃなとこあるよ」
け、喧嘩?それって殴り合いってこと?
そっと横目で見ると、男友達とじゃれ合って……首絞めてる!?
うわうわうわうわ、怖い人じゃん!
わあ!目が合ってしまった!!
慌てて目をそらして、下を向いた。
その人と関わってきた人が言うことは間違いない
と思って生きてきた私は、
完全にその言葉を信じ込んだ。
いつも彼を見てきた人から見れば、
自己紹介も友達との絡みも、
ただのいつもの光景だったが、
彼の事を知らない私からすると、
何とも言えない怖さがあった。
なるべく、なるべく関わらないようにしよう。
そう決めた、初対面の日だった。
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黒澤くん存在を知った日の話。
身長はそんなに高くはないし、
細身なほうでしたが、
非常に目つきが悪かったので怖かったんです(笑)
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