鷹羽の神紋 穴生・鷹見神社@八幡西区
北九州市の八幡には、多くの鷹見神社があります。
ここ穴生(あのお)に鷹見神社、市瀬に鷹見神社、永犬丸にも鷹見神社、折尾にも鷹見神社、遠賀郡水巻町にも鷹見神社があり、その他に八幡東区の高見神社、則松に高見神社もあり、タカミジンジャが密集しています。
また、それぞれの神社の地名にも、鷹ノ巣、鷹見台、南鷹見といった鷹にまつわる地名が多くあります。
ちょっと不思議な穴生・鷹見神社は、周辺の鷹見神社の総本宮だそうです。
さて、毎年正月は実家で過ごすのですが、元旦の午前中に御神酒の酔い覚ましに散歩がてら三社詣りを行うのが最近のルーティーンなのです。
本来であれば、氏神様(先祖代々の守護神)、産土神様(出生地の守護神)、鎮守神様(現在住んでいる地域の守護神)に詣でることから始まったという説のある三社詣りですが、実家の周辺にある三社を参拝しています。
そのうち一つが穴生・鷹見神社なのです。
JR黒崎駅より筑豊鉄道に乗り、4駅目の穴生(あのお)電停で下車。
そこから歩いて数分のところにあります。
樹々が鬱蒼と茂った丘陵上に鎮座しています。
一の鳥居をくぐると小さな広場があります。
ここは近所の子供たちの遊び場です。
二の鳥居から急な階段が続きます。
本殿
少し古びたお社ですが、鎮守さまって感じの神社です。
本殿の屋根には「丸に違いの鷹の羽」、鷹羽の社紋が見えます。
また、周囲には貴船神社、五社神社、赤池神社、菅原神社、恵美須神社などの末社があります。
昔は、境内の横手に土俵があり、秋になると子供相撲大会が開催されていたことを思いましました。
さてさて、
鷹見神社は、熊野三神を祭神とした熊野権現を招請して遠賀郡の氏神とし、近隣の鷹見神社はすべてこの宮を勧請したものと言われています。
しかし、鷹羽の社紋を有する神社と言うことは、鷹羽の社紋を持つ英彦山神宮との関わりが強くあると思われます。
市瀬の鷹見神社の縁起は、「役行者が熊野で三所権現の招請を祈願した折、神殿から鷹が飛び立ち、この山に飛来したため、山上に祠を祀って鷹見大権現と号した。」と鷹の神祇を伝承すると言われます。
これは、権現山は英彦山修験の峰入りの起点でもあり、英彦山は日本有数の修験の霊場であったことからも非常に関係が深いと考えられます。
また、英彦山神宮の東麓の霊山を鷹巣山、英彦山神宮がある田川郡は、鷹羽郡が転じて田川になったと言われ、直方には鷹取山があり、八幡から英彦山までのこの一帯に強く影響を及ぼす力があったのでは無いかと推察します。
さらに肥後の一宮阿蘇神社の神紋も鷹羽であり、久留米の高良大社の高良山は古名を「鷹群山・高牟礼山」(たかむれやま)といい、九州北部の広域に関係があったと考えられます。
郷土史学者では無いので、これ以上は分かりませんが、北部九州に「鷹」にまつわる何かがあるのでは無いか・・・なんてことを想像してしまいます。
とはいえ、こんな小さな鷹見神社がとても歴史深く、鷹羽の神紋を通じて各所との繋がりがあることに、ちょっとビックリです。
御祭神
主神 伊弉冉大神(熊野那智宮) イザナギノオオカミ
主神 素戔鳴大神(熊野本宮) スサノオオオカミ
主神 早玉之男大神(熊野新宮) ハヤタマオノオオカミ
熊野三座十二社十四神
御由緒
神功皇后征西の折帆柱山にて戦勝を祈り山上九合目に熊野神を祀り高見ノ宮と稱せられる。
文武天皇慶雲二年役行者小角五穀成就を祈り祭祀を再興高見大権現と稱す。
建久年中宇都宮氏(改麻生)花ノ尾山に城を築き高見宮を遠賀郡四十三ヶ村の総氏神となし近官波多野家倶を遠賀郡総大宮司職、高見大権現社職惣司となす。
麻生氏在城の間歴代祭祀を重んず天文二十年大内義隆深く当社を尊び秘蔵の宝玉「夜光の玉」を寄進す。
帆柱山より穴生諏訪山に移転鎮座ありし高見宮を黒田長政古屋敷に再建、
元禄十三年黒田綱政穴生汐干潟開墾にあたり土工安全祈願成就し新田五反を寄進、宝永五年綱政の命に依り当地に遷宮鎮座す。
往古春秋の大祭には郡中社家社僧奉仕し神楽・流鏑馬・大相撲を興行し
神輿を一ノ宮勧請宮(現在の市ノ瀬鷹見神社)より出し遠賀郡村々の参拝者列をなし百二十膳の饗膳ありて翌日まで行われる郡中第一の盛大な神事あり
分社を創立したもの十余社、当社を本宮と稱す。
寛文年中より鷹見と改められる。
穴生鷹見神社奉賛會より
初詣の際の御本殿
今では初詣の際にしか訪れることのなくなりましたが、この鎮守の森は、昔も今も地域コミュニティーの場としての機能を有していたことを改めて感じます。
今までは由緒さえも知らずにいましたが、今回このようにして調べてみると、さまざまな出来事や歴史、地域との関わりが見えてきました。
さらに、改めて八幡の地における神功皇后伝説の多さに驚き、それに関わる地名の由来を知ることができました。
私たちの身近に多くの神社仏閣があります。
京都や鎌倉と行った観光地や太宰府、宮地嶽、祐徳などの有名な神社も良いですが、もう少し身の回りの神社仏閣に目を向けてみてはどうでしょうか?
私たちの生活に知らず知らずに影響を与えてくれていることに気づくことと思います。
最近耳にする「シビックプライド」と言う言葉は、ここから生まれるのでは無いかと思います。
そして、なぜ何百年も神社仏閣が残っているのでしょうか、そこには残っているだけの理由があるはずなのです。
・・・・・ 是非そんなことも考えていただきたいです。
神社: (穴生)鷹見神社
住所: 福岡県北九州市八幡西区穴生2-13-6
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