週末の失敗事件
金曜日、アルバイト帰りに郵便局に荷物を取りに行った。保管期限ギリギリで取りに行くのには理由がある。
自宅にいる時間があまりにも少なく、最寄りの郵便局は一駅先と遠い。そこで、アルバイト近くの郵便局にわざわざ移してもらったのだ。
保管期限間近に取りに行くことに若干の申し訳なさを覚えつつ、私はアルバイト終わりに早々と郵便局に向かう。不在票を忘れてはいけないと、鞄から引き出しながら歩いた。
「ここには保管されてないようですね」
郵便局についた後、職員の一言に呆気を取られた。
何事かと尋ねると、A郵便局にあるとのこと。
A郵便局、駅中にあるのかと尋ねると、「いえ、聞いたこともない郵便局ですね。とにかく調べて行ってみてください」とあっけらかんに伝えられた。なんたる無責任な。はて、もしかしてとおもむろにスマホを取り出し、その場所を検索する。
(あーやらかした…)
どうやらその受け取り先はここから一駅歩いた先にあるようだ。そんなとこまで取りに行くのはスマートでない。
保管先を近くの郵便局に変えようと粘ってみるが、保管期限がギリギリでどうやら難しいらしい。アルバイトで歩き疲れしていたし、せっかくの便利な受け取り先変更機能が仇となるとは。
スマートさのかけらもなく、徒歩で歩く。とぼとぼと。
交通の多い駅近を離れ、大きな橋を渡り、川を越え、閑静な住宅街へと、足を運ぶ。
小さなホテルが立ち並び、こんなところが都会にもあったのかと驚く。
郵便局などあるのかと不安になりながら、新鮮な気分で街を歩いた。
華の金曜日に何をやっているのだろう。
街を観察し歩きながら、ふと我にかえる。こんな失敗も人生にはつきものだと自分を慰める。A郵便局で郵便物を受け取った帰り、私は久しぶりに高めの晩飯を食べて帰ることにしたのだった。